データでEBPMを実現!(中室牧子さん(慶應義塾大学)からの応援メッセージ)
このコーナーでは、ふるさと納税を活用したクラウドファンディングによる「戸田市未来の学び応援プロジェクト」への応援メッセージを掲載しています。
第1回は、「学力の経済学」の著者でいらっしゃる、慶應義塾大学の中室牧子さんです!
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1. なぜこのプロジェクトを応援しようと思ったのですか?
実は戸田市さんとは、深くからのご縁があります。
平成28年に策定された「第3次戸田市教育振興計画」では、審議会の会長として参画し、戸ヶ﨑教育長をはじめ皆様と今後の戸田市の教育のビジョンについて議論をさせていただきした。
また、教職員を対象にした研修会の講師なども務めさせていただいたほか、昨年からは、戸田市のEBPMを進める組織である「教育政策シンクタンク」の外部アドバイザーとして委嘱を受け、子供一人一人に応じた「プッシュ型の支援」を目指す教育総合データベースの構築などに助言をさせていただいています。
私自身も「EBPM」や「データ利活用」をライフワークとしておりますので、このように思いを同じくする戸田市さんがこの度、新たな教育改革へのチャレンジを開始されたとお聞きし、「これは応援するしかない!」と思った次第です。
2. 今回、特に注目している提案はありますか?
優れた教師の指導技術を分析するという「匠の技の可視化」です。
かねてから戸田市さんでは、埼玉県学力・学習状況調査のデータをもとに、子供の学力を特に伸ばした市内の教師にインタビューをしており、その結果からは、
・子供たちにとって分かりやすい授業となるよう指示や発問を心掛けることや、
・一人一人の学びを大切にするという視点から、子供たちから考えを「引き出し」「つなげ」そして「深める」ような学習活動となるよう心掛けること
が有効であることが明らかとなっています。
また、学級風土に関わる、教室で間違っても叱られない、子供たちが安心して学べる学習環境をつくることの大切さも強調されてり、これらも参考になる取組であると言えます。
今回の提案の中では、
① 「児童生徒の発話量が多いほど(発話時間が長いほど)、学力や非認知的(社会情緒的)スキルによい影響があるのではないか」といった、「発話量(発話時間)と学びとの関係の分析」や、
② 「児童生徒の話合いが活発化した場合、教師の声かけ等がきっかけとなっている場合があるのではないか。」や「児童生徒の話合いの活発さは、教師の学級経営の在り方を示す県学調の質問紙項目との相関関係が見られるのではないか」といった、「児童生徒の話合いと教師の指導との関係の分析」を実施されるとのことで、これにより、これまで「見えなかったもの」がデータで見えるようになるのではないか。
そのような視点から、非常に興味深いと思っています。
▼提案資料はこちらhttps://www.city.toda.saitama.jp/uploaded/attachment/56022.pdf
3. このプロジェクトへの期待を教えてください!
上記のような研究が進めば、その教師の経験や感覚に基づく属人的なスキルになりやすく、伝承や普及が困難である「匠の技」について、効果的な伝承が進み、特に経験の浅い教員のサポートの役割を大きく果たすと考えられます。
昨年9月から非常勤のデジタルエデュケーション統括として参画しているデジタル庁でも、本年1月に関係省庁とともに「教育データ利活用ロードマップ」を公表しました。
その中でも、デジタル化によるメリットをまずは学校現場に実感いただくことの重要性が強調されています。https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/information/field_ref_resources/0305c503-27f0-4b2c-b477-156c83fdc852/20220107_news_education_01.pdf
この「未来の学び応援プロジェクト」を通じて、教育分野におけるデータ利活用の有用感を多くの関係者の方に持っていただけると良いなと思っています。
私自身も期待しておりますし、今後とも戸田市さんとは一層連携を深めていきたいと存じます!
中室先生、お忙しい中メッセージをありがとうございました!
いただいた御示唆はプロジェクトに生かしていきます。
今後とも引き続き、戸田市の教育改革への挑戦への御指導の程よろしくお願い致します!
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