桜と私と魚の骨と。
今日の昼休み。
おつかいの帰りに、裏道を歩いてみた。どうしてその道を通りたくなったのかは、わからない。
ぼんやり歩いているとフワリと風が舞って何かの花びらが私の足元に遊びにきた。
桜?
今の職場に入ってもうすぐ三年。桜があるなんて知らなかった。誰も教えてくれなかった。
見上げると綺麗な桜が満開。
そのときふいに私の頭に浮かんだのは六年前の春の桜だった。
嬉しくて誇らしくて。とにかく嬉しくて。
笑顔で歩いた桜の並木道。
ここから広がる未来に期待してた春。たくさんの桜の花びら。
ぼんやり考えながら歩いていくと、私の職場が近づいてきた。これが現実だ。
風に舞う桜さえ遮る背の高い硬質の建物。
これが現実。
午後の業務をマイペースにこなす。
定時に帰るのが、はばかれるような空気をすり抜けて帰宅。
今日の夕食はサバの味噌煮。
上手に骨を取りながら、ずっと桜のことを考えていた。六年前と今日の桜を。
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