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都知事の仕事術

こんにちは、都知事です。

私は24歳で民間企業に就職してから、多くの仕事に忙殺され、追い詰められ、人間関係に苦しみ、また、多くの先輩やお客様に出会って今に至ります。

私の人生をざっくりと分けますと、「葬儀屋時代」「不動産時代」「バイク査定員時代」「警備員時代」と4つに分類ができます。


今回は「まるで仕事が出来ない穀潰しがどのように仕事をするようになったのか」をお話したいと思います。


【葬儀屋時代】

葬儀屋に勤めた私は、宗教ごとには興味がある程度で、勉強も仕事に対する知識も覚えるのが遅く、部署に配属されてからもその覚えの悪さや物忘れが顕著で、毎日毎日多くの先輩に叱られ、落ち込み、落ち込んでいるからまた失敗して叱られ、失敗を恐れる、というようなスパイラルに陥っていました。


場所が変われば今まで出来ていたことも出来なくなってしまい、自分の応用力の無さや不甲斐なさが悔しくてたまらず、毎晩家に帰って泣いていました。


この頃はとにかくがむしゃらに目の前の事を頑張ることしか出来ず、「頑張ることが正解」だと思っていました。

今となってはそれは大変な間違いだと分かるのですが、それを何とか教えようとご指導下さった先輩方には今でも感謝しきれません。


仕事は分からないながらも繰り返していれば何となくは出来るようになりますが、儀式に必要な道具の準備を忘れたり、ほかの同期たちはとっくに知っているような知識が抜けてて本番で慌てふためいたり、もう散々なものでした。

この頃に特に学びになったことは、「辛い事や大変な事からは絶対に逃げず、挑み続けること」です。


当時、私は部署のリーダーから「出来ないなら出来ないなりに頑張ることが大切、その姿は皆が見ている」と教えていただき、「嫌だな」「面倒そうだな」と感じる前に規模の大きな式典に参加を申し出るなど、とにかくそのマインドを大切にしました。

そのおかげか、「規模の大きい現場」ばかりをこなす事でその経験値は貯まり、「規模の大きい現場」のことだけは何となく分かるようになってきました。

しかし、大きな現場を取り仕切る先輩にとっては私など居ないも同然か、足でまといもいい所だったでしょう。それでも「こういう時はこう」という模範解答を教えてもらい、メモして、1+1=2 という考え方だけはできるようになったのです。


ただ、この頃は1+1は分かっても、1+2は分からなくてフリーズしたり、心の中で周りに助けを求めるなど、傍から見たら「相変わらず出来ない奴」でした。

【ポイント】
仕事にはある程度決まった流れや展開がある、それを自分で記録して、始まりから終わりまでの地図を書いて、地図を見ながら自分でやってみることを意識する事が大切。まずは全体像を把握しよう


【不動産時代】

葬儀屋で失敗を繰り返し、ついに仕事から干されてしまった私はやりがいが無くなったことに耐えきれず退職しました。

次に向かったのは転職エージェントに紹介された一部上場寸前のリフォーム会社の傘下にある不動産事業部でした。


ここで、私は熱血かつ論理的に仕事を教えてくれる上司や、元大手アパレルメーカーのマネージャーをしていた先輩に出会い、「デスクワークの片付け方」や「仕事に対するワンステージ上の意識の持ち方」を教わります。


男性だけの職場という事もあり、人間関係では割と上手くいっていましたが、やはり立ち塞がったのは、葬儀屋の頃とは比べ物にならない数の仕事の量。

仕事の量が多いと言うことは、それだけ覚える事が多くなるということです。

葬儀屋の頃でも目の前のことに忙殺されていた私は、日々叱られながら、辞めたい気持ちでお腹がキリキリ痛みながら業務を続けました。


ここで学んだのは「タスクの片付け方」や、「建築業の施工管理の大変さと難しさ」でした。


私は結局不動産営業としては完成せず、1件も成約に繋がることはありませんでしたが、部長の計らいでリフォーム営業兼、現場の施工管理として従事することになりました。


現場はおおよそ月に5~10件、家が1軒まるごとリフォームされるという現場がそれだけあり、とにかく仕事量が多かったのです。

工事予定表の作成、慣れない業者との打ち合わせ、専門用語が出ても理解出来ず、その都度聞くから話は進まないし職人は目に見えてイラつく、お客様は予算オーバーで要望を言ってくるし、営業との話が噛み合わないこともしばしば。

家を建てるというのはとにかく莫大な量の打ち合わせと取引と手配が発生します。

私は専門用語も分からないまま、車で何件も現場をハシゴし、物資を届けたり業者に手配したり、物の準備を忘れて大目玉を食らったり…とにかく散々でした。


しかし、元アパレルメーカーマネージャーの先輩は決して見放すことなく、根気強く指導してくれて、休日出勤した時も自分の仕事は終わっても終日まで付き合ってくださるような方でした。


やる事に追われて、つい思考停止して動きが止まってしまう私に、先輩は教えてくれました。


「君はタスクのこなし忘れがとにかく多い、自分の記憶を頼り過ぎている。人は思ったより能力なんてないし、仕事もできない。でもお客様からしたらそれは関係ないこと。我々はとにかくミスなくやらなくてはならない。」

「これからやる事、なす事、全てを1枚ずつ付箋に書いてデスクに貼りなさい。終われば破って捨てる。貼っている付箋が無くなった時、君は家に帰れる。そして全てが無くなったら明日の予定の付箋を書いてデスクに貼る、翌日、朝の段階で増えたものを付箋に貼る」


この仕事の片付け方を教えてもらってからは、莫大な量の仕事に「どうしよう、何からしよう」となる事がなくなり、優先順位を考えて片付けられるようになりました。


【ポイント】
目に見えない仕事は全て見える化しよう
その場で書出せば全てが俯瞰的に見えるようになり、一つ一つを見れば優先度が考えられるようになる。

人は分からないものに対して大きな不安を抱える。


【バイク査定員時代】

不動産屋での激務が祟って十二指腸に穴が開き、その流れで私は退職しました。

次に向かったのは紹介で入社したバイク買取査定の会社。


誘ってくれたのは葬儀屋の頃に後輩として入ってきた歳下の子で、その子と同じ店に配属されることになりました。


葬儀屋の頃とはめっぽう違い、先輩となった元後輩にパワハラやモラハラをとにかくぶつけられました。

そして、彼から学んだのは「仕事に対する本気度」です。


営業の方はどなたでも「ロールプレイング」、つまり先輩を相手に営業のシュミレーションをするという経験があるかと思いますが、これはバイクの査定でもその文化がありました。


私は実際に現場に出てしまえば人柄やその場のノリで何とかできる場合が多かったのですが、自分より知識量の多い先輩を相手にすると、舌も回らず、困ったことがあると無言になって俯いてしまうこともありました。


それでも何とか現場に出してもらって商談をする中、先輩との差は歴然でした。


先輩のやり方は強引で、決して褒められたものではありませんが、とにかく数字を上げるという営業の世界ではそれが正解でした。


ある日言われたのは、「お前は失敗が許されると思ってるから失敗する、俺はミスったら死ぬと本気で思ってるからミスらない」でした。


意味不明だし、理解不能でした。
しかし、今ではそれがよく分かります。

仕事に対する意識とはゲーム攻略の時の気持ちと似ています。


例えば、RPGゲームでダンジョンに潜り、ボスの間近まで行けた時、レアアイテムを見つけられた時、「絶対に失敗したくない」「この成果を必ずモノにしたい」と、あらゆる失敗のリスクを避けるために全集中力を結集します。


仕事にはその気持ちが必要で、そこまで考えているからこそ先輩は結果に繋げていたのだと思います。

「仕事は運次第、失敗やミスをしても仕方ない」とその場限りで働く私と、徹底的にリスクを排除して人の心を掴んで商談に持ち込み、「ミスったら死ぬ」という覚悟で臨む先輩。差が開くのは当然でした。

【ポイント】
仕事は覚悟と意識の持ち方で成果も変わる。
「チャンスは今しかないかもしれない」「限られているかもしれない」と意識高く臨めば、得られる物も多いはず。

ここまでが、ざっくりと私が今の仕事をするに至ったマインドの移行期です。


今では現場の仕事をどうやって人に教えるか、その人がどうすれば楽しく明るく元気に働けるのかを考えながら、新天地で現場に立っています。


せっかくなので、今の私の仕事への取り組み方を簡単にご紹介して終わりたいと思います。


警備の仕事において、全く同じ現場というのは全国に2つとありません。


その時、一度限りの経験しか出来ないものと考え、とにかく記憶し、記録し、思い出して文章にする。

文章にして、写真を添付し、その現場の事は誰よりも詳しくなる。「自分は隊長だから」という責任感の元、部下も現場も守る義務がある、と自分に言い聞かせる。

職人の仕事を横目で監視し続け、何をやっているのかを時系列で書き残し、その時に職人が取った行動や言動を記録して、家に帰ってから思い出し、また文章を考えて書き込み、写真を添付して記録する。

そして、風呂に浸かりながら目を閉じ、その日の現場の流れを全てシュミレーションします。

現場に着いて、打ち合わせをして、必要事項を話して、職人が到着して、どの作業が始まって、なんの作業に人員が必要なので、そこに部下を派遣して…派遣する前にどんな説明をするべきか、理解出来たかの確認も、全て脳内で行います。


もちろん、私自身素人なので、途中で作業工程が抜けることがあります。

「あれ、この前はどこで何をやってたっけ」
「この工程に移る前の一つ前の景色が抜けている」

そう感じた時、何が抜けてたのかを洗い出して、【もう一度初めから】シュミレーションします。

集合して、打ち合わせして…

これが無事に最後まで終わるか、気分が悪くなるまで続けます。


これをしておく事で、【現場の全体像】を掴むことが出来るので、「自分がいつ、どこで、何を、どうすべきか」が分かり、頭で分かっていれば身体もスムーズに動きます。

これを日頃、毎日毎日こなす事で、間違いなく昨日の自分より成長する事が出来るのです。


「ポンコツ」「役立たず」、そう言われていた自分でも、多くの方のご指導のお陰でここまで来ることが出来ました。


この記事が今もどこかで仕事に苦しんでいる方のお役に立てば幸いです。

人は何者にでもなれる。いつからでも、何度でも。

ではまた。

2023/09/05追記
多くの方にご覧頂いており、大変嬉しく感じております。
続編という訳ではありませんが、関連する記事を新たに執筆しましたので、こちらもぜひご覧下さいませ。
【仕事の習い方】
https://note.com/tochiji/n/nf4adca181410

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