プロダクトオーナー兼組織マネージャが年末年始に読んだ30の本の要約と感想
ポチって読まずに熟成させてしまっていた本を年末年始を使って消化したのでメモとして記録を残しておくためのnote。
---
■プロダクトマネジメント
・INSPIRED 熱狂させる製品を生み出すプロダクトマネジメント
(再読)
もはや説明不要。
これは、プロダクトオーナーやプロダクトマネージャーの教科書。
プロダクトマネジメントしていく中で何か壁にぶつかったらこの本を読むと解決のヒントをもらえると思う。
・プロダクトマネジメント
ビルドトラップから脱する為にどうすべきかという内容。
ビルドトラップというのは、アウトカムではなくアウトプットの追求になってしまってる状態で、それは正しく価値が提供できずビジネスとしても上手くいかないことを指している。
誰に何の価値を提供するリリースなのかを考え、顧客中心に取り組んでいく方法が仮説検証や事業戦略や組織構造の観点で説明されている。
プロダクト開発する人全員に読んでもらいたい本。
・良い戦略、悪い戦略
タイトル通り、良い戦略とは何か悪い戦略とは何かについて事例と共に紹介されている。(戦略というのもあって、戦系の事例が多い)
良い戦略の基本構造(カーネル)とは以下
1. 診断
状況を診断し、取り組むべき課題を見極める。良い診断は死活的に重要な問題点を選り分け、複雑に絡み合った状況を明快に解きほぐす。
2. 基本方針
診断で見つかった課題にどう取り組むか、大きな方向性と総合的な方針を示す。
3. 行動
ここで行動と呼ぶのは、基本方針を実行するために設計された一貫性のある一連の行動のことである。すべての行動をコーディネートして方針を実行する。
特に大事(というかできてないことが多い)なのは、1の診断だろうなと思う。この点に関しては、「イシューからはじめよ」も参考になりそう。
悪い戦略はビジョンや目標になっている。
良い戦略はWhy,What,Howがわかり紐づいてる。
というのはこれまでの経験からも「なるほど、たしかに」と思った。
方針を提示する役割の人が読むと良さそう。
・岩田さん: 岩田聡はこんなことを話していた。
優しい気持ちになれる本。
岩田さんの人柄の良さが知れるというのもあるけど、考え方として「わかるな〜」と思うことも多いのでプロダクト志向の人としては目指したい姿だと思う。
良い意味で人を驚かし続けることを大事にしてるみたいな話があり、言葉としては単純なんだけれど、それってビジネスの根幹だということに気づいた。
開発者/プロダクトオーナー/組織長 あたりが読むと良さそう。
■ピープルマネジメント
・図解 人材マネジメント入門 人事の基礎をゼロからおさえておきたい人のための「理論と実践」100のツボ
人材マネジメントの仕組み(採用/育成/評価/異動/これらの関係性や流れ等)が網羅的に知れるので全体感を知るためには良さそうな本。
人事や管理職の人向け。
・心理学的経営 個をあるがままに生かす
マネージャ向けだが、チームリーダー層が読んでも参考になる部分ある。
ex) モチベートするための3つの心理的要素/個人目標より集団目標の方がパフォーマンス出る/組織の活性化方法/リーダーシップの4つの要素
後半はMBTIの話がメイン(信頼性はアレらしい?)
その中でなるほど〜と思ったのが、特性にないから存在しないということではなく、あくまでも未熟なだけという話。
一見特性がないように見える人でも、その特性は持っていて、その特性が出る場面は未熟故に問題が起きやすいので対応が必要になるということ。
■チームマネジメント
・本気でゴールを達成したい人とチームのためのOKR
OKRという題材だが、マネジメント論ぽい内容。
KPIとの違いなど書かれているが、知りたかったKSFとの違いははっきりわからないまま。
・チーム・ジャーニー 逆境を越える、変化に強いチームをつくりあげるまで
物語をベースに解説が入る構成なので、苦手な人は苦手かも(逆に物語として読める分スッと入る人もいるはず。)
職種関係なく、チームリーダーなどの役割の人が読むと良さそう。
集団と組織の違い/チームの条件/チームで発生しやすい問題と対処/良いチームとは?/日常と非日常の効果的な使い分け/複数チームにまたがる場合に情報が行き渡らない原因/視座と視野 あたりがキーワード。
カイゼンジャーニー → 正しいものを正しく作る → チームジャーニー
という順番だけれども、これ単体で読んでも大丈夫な内容。
雰囲気だけ良くできても、それはチーム(組織)じゃないということを改めて感じた一冊。
■データマネジメント
・データマネジメントが30分でわかる本
データの扱い方、活用について説明されている本。
30秒/30分/3時間 で読む用に分けられているのが新しくて面白かった。
なお、30秒のところだけ読むと意味がわからない。
■エンジニアリング
・1人でアプリを作る人を支えるSwiftUI開発レシピ
SwiftUIの内容は半分でCombineとWidetKitがもう半分という印象。
iOS13でのSwiftUIのVStackやHStackにはUITableViewのように画面外のViewを生成しないという機能がありませんでした。画面外のViewも画面を表示した瞬間にすべて生成するので、メモリの無駄が発生していました。
iOS 14からはLazyほにゃららちゃん達が解決してくれるみたいだが、正直なところプロダクションで導入するに早そうな印象を持った。
iOS 13サポート切れるようになってからが本番?
■開発プロセス
・More Effective Agile “ソフトウェアリーダー”になるための28の道標
アジャイルというタイトルだけどほぼスクラムの話(XPやカンバンの話が少々)で効果的に取り組むためにはどうすればいいかについて書かれている本。
アジャイルに熱心な人は、「これはアジャイルじゃない」と言うけど〜というセリフが多々あり、現実(ビジネスとして)的にどうすべきなのかが書かれているので、アジャイル系の宗教みあるテイストじゃなくて個人的に入ってきやすかった。
スクラム開発している人は全員読んだ方がいいと思うが、特に開発リーダーやスクラムマスター向け。役割の密度を上げる必要性やPDLと言われる役割ごとのキャリアパス(スキルチェックシート)みたいなところは組織長としても参考になる。
アーキテクチャによって大規模なプロジェクトをサポートするという言葉はかっこよかった。
一方で極端に技術負債をためないにするのも違うみたいな考え方で、技術負債をコントロールしようという話も共感できた。
それはつまり、ビジネスメリットと負債のバランスを取って判断できることが大切ということ。
他にも感情知性やRULERモデルはチーム作りにおいて大事な考え方であること、開発する順番として遅延コストという考え方(CoDとWSJF)があること知れたのは収穫だった。
■UI
・IAシンキング Web制作者・担当者のためのIA思考術
(再読)
初めてネイティブアプリじゃなくWebサイトの情報設計/UIデザインすることになってビビって読んだ本。
情報設計ってなんで大切なの?どういうことを考えるべきなの?に答えてくれるので、デザイナーやUXデザイナーは一回読んでおくといいと思う。
■UX
・UXデザインの教科書
(再読)
UXデザインのプロセスが網羅的に説明されているので、UXデザインというかプロダクトを作ってる人は持っておくといいと思う本。
自分は、プロセスの中で理解が弱いことが出てきたらこの本で調べてみるといった辞書的な使い方をしている。
今回調べたのは、プロトタイプ検証についてで、プロトタイプ検証の手法/目的/評価について理解を深められた。
・予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」
行動経済学という視点で人間の判断、意思決定がいかに不合理かについて事例と実験をもとに紹介している内容(詳しくはないけど経済学だと合理前提での考え方?)
行動に影響をおよぼすポイントというのが、感情/相対性/社会規範によるものとのこと。
社会規範と市場規範を混同すると事故るぞ〜というのは誰もがわかりやすい話だと思う。
グロースハック(死語?)の元となりそうな視点が多いので、ABテストで沢山のパターンを考える人には参考になりそう。
ただ、倫理感やビジョンがない状態でこういった知識だけをつけるとダークUXにつながるんだろうなと・・・。
■マーケティング
・たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング
顧客ピラミッド/9セグマップ/N1分析 なるフレームワークの活用とマーケティングで大事なことは何かについて書かれている。
一貫して語られていたのは、「プロダクトアイディア」がないとダメということ。(プロダクトアイディアというのはUVPにあたるものという理解)
デジタルマーケティングで自動化やABテストにより効率性が上がってるが、顧客の心理変化が何によるものなのかがないと再現性がなく、部分最適の連続で縮小を辿るみたいな話は強く共感した。
ブランディングについても話があったものの、プロダクトの価値があってブランディングになっていくものでプロダクトに価値がなければどうすることもできないみたいな話やCPIやCPAを目的しちゃうのはおかしくて、方針決定のための評価指標にすべきみたいな話も共感度高かった。
顧客ピラミッド/9セグマップ/N1分析 は普通に定性調査とセグメント整理なだけなので、あまり参考にはならないかも?(普通に量的調査と質的調査の使い分けの話)
■仕事全般
・コンサル一年目が学ぶこと
コンサルと書かれているが、ビジネスマンとしての基礎がおさえられている内容だと思う。
職種問わず仕事の進め方に苦戦してる人は一度読んでおくと良さそう。
特に社会人の1,2年目におすすめ。
・コンサルタントの読書術 確実に成果につながる戦略的読書のススメ
本を読んでもうまく知識にならない(アウトプットが出せない)人にとって参考になる本だと思う。
目的設定/本の読み方/本の選び方/考えながら/アウトプットを出しながら読む
ということがキーワード。
特に目的設定が大事で目的なく読むと全て読む必要があり、効率性が悪くなるという話。
「人によって 、必要な知識や 、スキルは必ず違ってきます 。前提となる年齢も役職も違えば 、持っているビジネススキルの蓄積もバラバラです 。本は 、人それぞれに 、必要なタイミングで必要なものを読むべきであって 、万人に対して役立つ本は存在しないのです 。」
この一文に同意し「ハッ」とした。
誰かにただオススメを聞いても意味ないことや、その時に必要だと思った本(目的がある)を積んでしまうのは良くないことだよなと。
・人は話し方が9割
いきなりですが、まず結論から申し上げます。会話がうまくなる方法、それは「苦手な人との会話を避け、大好きな人と話す時間を増やす」。これだけです。
冒頭の一文。
避けられないから上手くなるために手に取ってるんじゃろ〜と思ってしまったものの、心理的安全性が確保されてる状態で練習しろってことなのかな?という理解をした。
■ファイナンス
・コーポレートファイナンス入門
タイトル通りコーポレートファイナンスの基礎を学べる本。
完全に理解するには2,3回読み直す必要ありそうだが、出てくる数式自体は簡単。
資本コスト(CAPM, WACC)/現在価値(DCF)/投資決定方法(NPV, IRR)/資本構成
あたりがキーワード。
・一番わかる!経理の教科書
コーポレートファイナンスは経営者、投資家、投資部署向けだが、これは内部のより実務的なところによった内容。フローチャートやパターン毎にすべき作業(処理)が書かれている、まさに経理のための本。
■営業
・営業 野村證券伝説の営業マンの「仮説思考」とノウハウのすべて
営業は、仮説思考/因数分解/確率論的思考/PDCAを回し続ける力 これらが大事で自分はこれをやったからトップになれたという経験から営業も論理的思考で取り組んだ方がいいという話。
論理的思考とロジックツリーについて書かれてるのだが、このあたりは別な本で学んだ方がいいと思う。
倫理的にどうなの?みたいな事も書かれているので、流し読みだけ。
ex) 「電話番号の末尾を1個ずつ変えていってかければ、他の社員につながるんじゃないか?」
■興味
・ビジネス教養としてのウイスキー
内容としては、投資としてのウイスキーの話は5%くらい。
ex) オークションで最高2億の事例やファンドもあったりで利回り8%以上でやってる話など
残りは純粋にウイスキーの歴史について。クラフトビールと近いなと思ったので、ウイスキーにもどんどんハマりそうな予感がしている。
・夜と霧 新版
心理学、精神医学者視点で収容経験(自身と他者)を説明している本。
もう戻すことができない状況における人の変化や様子は現代でも起こり得るのかもなと思いながら読んだ。
(自分の好きな映画)シンドラーのリスト、ライフイズビューティフル、esを思い出すような内容でした。
・SDGsが生み出す未来のビジネス
Webページに書いてあることがほとんどといった感じの内容。
マーケティングの4PとSDGsの5Pのmatrixが斬新で新しい。
・Creative Selection Apple 創造を生む力
iOSの首席エンジニアがMac SafariやiPhoneの標準キーボードをどう考えてどう作ったかを紹介している本。
Appleの企業文化や内部プロセスについても触れられていて純粋に面白く読みやすい。
ex) デモ文化/アルゴリズムではなくヒューリスティックス/5感を大事にしている/データや数値だけでいい悪いを判断しない
Googleは文字色決めるために41パターンのA/Bテストをしたが、Appleではそんなことしないと書かれていて「(Apple)らしいな」と思った。
キーボード開発については、自分も前職でiOSのサードパーティキーボードを作ったことがあるので、ぶつかった課題に対して「わかるわかる」という気持ちに。
ex) インタフェース/キー配列/誤入力対応/オートコレクト/未知語対応
■息抜き
・鬼滅の刃 23
最終巻。終わり方に賛否両論あったかもしれないけど、これで良かったんじゃないかなと個人的には思う。
アニメの方が好きなので今後も楽しみ。
・うみべの女の子
浅野いにお好きで色々読んでたけど、これはまだ読んでなかった。
絶妙に現実的な人を描いた青春?の話。
好き嫌い分かれそう。
・ブルーピリオド
最近9巻出たばかり。
なんでも器用にできるけどやりたいことがない主人公が美術を通じて、成長していく話。
静かに熱い気持ちになれる。
・五等分の花嫁
ラブコメなので好きじゃないかな〜と思っていたが、最終的に誰とくっつくのかを予測しながら読める不思議なバランスがある漫画。
誰が好きかで分かれそうだが、自分は一花ちゃんです。
アニメ2期も楽しみ。
・出直してきます。
(再読)
今の会社の同期が作った本。元気がないときにこれを読むといい感じに力が抜けます。
---
プロダクトマネジメントする上で幅広い知識を持つことが強さに繋がると信じて進んでいった結果、摂取する情報の種類が散らばってしまったなと思うおじさんマネージャでした。
誰かの参考になったら嬉しいです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?