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マスク反対、ここまで来た

 ノーマスク関係の話題、3回目です。
 いずれも主張する人はさも当然といった態度で、根拠を示してくれないので困るのですが、さすがにマスク着用を要請する施設は利用をボイコットせよという運動にまで発展し、新たな分断の火種となる程度に過激化してくると放置もできませんので、重複あるかもしれませんが再度まとめてみたいと思います。今回は図を用意できないかもしれません。ご容赦下さい。

 SNS等で当方の発言を御覧になっている方には既視感のあるサマリとなりますが、こちらもご容赦下さい。


〇マスクの隙間より飛沫核は小さいのですり抜ける


 もし、マスク不要論の根拠がこちらなら、自信を持って誤認識も甚だしいと言えます。専門家や現職の医師ですらこのような考えの方が多いと思いますが、思考の欠落と発信者に人間的な欠陥があると思います。
 一言で言えば、学校の授業の内容で森羅万象を語るという悪癖があります。教科書に書かれているから正しいのだ、という訳です。単なる教書権威主義です。

 偽科学は筆者のテーマの一つですが、まさにその真中を行くものです。
 科学的・医学的という言葉の危うさ怪しさは詐欺商法に匹敵します。
 以上が決して言い過ぎでない事をご説明します。

 飛沫核とマスクの構造サイズを比較して大小を語る、これは一片の「事実」です。この状況で飛沫核がどのように挙動するかという事は全く別の話になります。
 このサイズ比較をどのように行っているかと言えば、静止した(時間の止まった)状態で横並びの図で比較していると思います。

 結論から言いますと、飛沫核がマスクの隙間を狙って直進するという事は現実には絶対にあり得ません。これは教書の図だけで成立する空想です。
 実際には飛沫核は直進軌道を取れません。
 理由の一つは質量がたいへんに小さいので空気抵抗に逆らって、空気の壁を突破して直進できないからです。
 もう一つの理由は人間の体表は体温の熱により微小な気流が発生しており、飛沫はこちらの影響を受けて運ばれます。気流はそこへ到達するまでの空間にも複雑に存在します。飛沫核はこの力にも全く逆らえません。
 これが現実で、マスクの隙間を直進してすり抜ける飛沫核の図、といったものを想像している方には、それは全くのフィクションで現実ではあり得ないという事を指摘させて頂きます。
 仮に空気層の抵抗を突き破って直進させるなら膨大なエネルギーを飛沫核に与えなければなりませんが、例えば大型の粒子加速器でエネルギーを与える事などが考えられます。真空中であれば加速できるかもしれませんが、空気中であれば十分に加速させる前にウィルス構造が燃焼と気圧で消滅すると思いますし、真空中であれば破裂してRNAなど残らないと思います。強度的にそれだけの運動エネルギーを獲得できないのです。

 正解は飛沫核は擾乱されます。直進はできず、強風に煽られる木の葉のような動きをしながら吸い込まれる事になります。この際の擾乱半径(軌道半径)はマスクの構造より遥かに大きいため、マスクの構造に一切触らず通過する事は不可能といって良いと思います(99%侵入防止マスクであれば99%不可能)。その上で不織布マスクの構造上には静電気力が強く働いており、いずれかの軌道中で捕獲されてしまいます。実際にマスク工業会が実証実験をしていたと思います。東大がこちらと異なる実験をしていますが、吸入器を用いてあり得ない吸入圧で吸引している(マスクが凹むほど変形しています)と思われますので全く参考にならないと思います。

 むしろ、マスクをしていると、呼吸の吸入圧が下がりますので、失速して擾乱半径が大きくなります。仮に、こんな状態の飛沫核がマスクを通過したとしても上気道の粘膜や喉の繊毛に吸着されやすくなります。呼吸のエネルギー100%の勢いでは体内に飛び込んでこれません。マスクをしていない状態では、直接肺に飛び込むような吸入圧が発生した場合、一切減速されないので直ちに肺が感染するリスクが高まります。

 この吸気モデルはCOVID-19に関するマスクの研究では一切検討されていません(この時点でもう思考不完全です・過去記事参照)が、ICRPという団体で実証実験によるデータ取得が行われており、そちらが参考になります。厚労省の感染予防ガイドにもこちらの知見が引用されていたと思います。
 ICRPは放射線防護の基準を作る団体で問題は多々ありますが、放射性物質の粉塵を吸い込むと仮定して測定を行っています。

 ICRPの吸引モデルの場合、0.1μm(ウィルス用マスクの遮断効果がある最小サイズ)のような小さな粒子(それ以上の粒子も)は、鼻腔や上気道の粘膜・せん毛に捕獲されます。

 0.1μm以下(剥き出しのCOVID-19は0.08〜)飛沫核は微視的な擾乱のため喉のせん毛に捉えられ嚥下されます。

 マスクなしだと5μm〜0.1μmの間の粒子だけが気道を通過して肺に到達する可能性があります。飛沫核のサイズは多くの文書で1~5μmが多いと推定されています。PFE99%マスクであれば遮断可能ですが、マスクをしていないと肺に吸い込む恐れがあります。

 なお、このように分類していくと、鼻腔や上気道で感染するデルタ・オミクロン変異の飛沫核は5μm以上が多いと推定されますので、通常に考えるとマスクを外した状態で感染しているか、PFE・VFE・BFEいずれの品質試験にも適合しないマスクを着けている、装着時隙間が空いている、外食など共用空間の食事や洗面台でマスクを外している目を保護していない、接触感染しているなどの感染原因が考えられます。特に目を保護していないのではないでしょうか。

 サイズだけを見れば、オミクロン変異については喉の炎症が甚だしいという事ですから、0.1μm以下の飛沫核が多く、そのため重要臓器である肺には到達せず、結果的に重症化せずに済んでいる可能性もなくはありません。ですが、ここまでの話で大きさなどの断片的な知識に頼った推測は誤認識を生じる事は分かって頂いたと思います。
 このようなサイズ(ほぼ剥き出しのウィルス)の飛沫核は想定されていないこと、また0.1μm以上の飛沫核が多いと考える事に比べ0.1μm以上の飛沫核が少ないと考える事は難しいため、鼻腔内感染から鼻水の降下により喉で炎症を生じていると考えられます。(体液で包まれているので途中飛散して肺に入らない)
 少量で感染力が上がっているため免疫反応は静かに進行する可能性あります。鼻水が凝固する前に少しずつ分泌されれば意識せず少量ずつ喉に流れ込み滞留する事になります。

 ここまで考えると、マスクに効果がないという人は、PFEマスクのようなウィルス対策マスクではなく、マスクと言えば花粉症マスクのような目の粗いものを考えている(ウィルス対策指標やそういったマスクが現在普通に売られている事を知らない)ふしもあります。意識されてなかった方はPFE/VFE/BFE表記のある製品を使用して下さい。

 スケールで説明する方が具体的になると思いましたのでやや話が逸れましたが、生命の仕組みは数千万年単位で人間の体を守ってきた知恵の塊と言えます。1~2年で発生したプロパガンダとは知恵の深さが異なります。免疫機構は前提として単純に図に描いたような直進する粒子ではなく、複雑に擾乱する粒子を捉える事を目的としています。

 教科書的な現実にあり得ない直進想像図を根拠にマスクが不要と主張しているのであればとんでもなく愚かで短絡的な考えと言わざるを得ません。教書を作った文明が思考の品質を逆進させていると言えます。

 ですが、冒頭に述べたようにこのような思考で主張される人は識者と呼ばれる人の中にも多数います。学校教育の悪癖というか、解説や論文、教科書に書かれたモデルがそのまま現実に適用できると勘違いし、書かれた一片のキーワードがそのまま現実に通用すると自己都合的な解釈に引用しています。バイブルの通りにしていれば間違いはない、間違いがないので検証も不要、検証手順を省いても教書の通りだから自分は正当である、とこういった思考になっているのです。

 再度になるかもしれませんが、モデルとは仮定です
 モデルというのは数式と同じで仮想化されているからです。
 勉強のために
 分かりやすいよう
 現実の諸条件を省略して
 現実にはあり得ない図式で
 時系列の進行もなく(
時間が流れない現実は私たちにはありません
 説明するために作られた現実の一断片を表したものがモデルです。
 これを絶対として現実を説明するのは不可能です。
 なぜならモデルを現実に書き戻すためには省略された諸条件を全てクリアした上で付加しないと現実の現象にならないからです。
 架空の世界だから成立している事はそのまま現実に適用する事は不可能なのです。
 この書き戻し作業には膨大な思考コストがかかるので、主張に先走る人は無意識に省略しているのです。思考検証は省略して、どんぶり勘定で主張を始めても教書の記述を盾に正当化できると甘い見積もりをしている事が丸わかりです。

例えて言えばモデルというのは化学実験室にある分子模型です。
 分子模型は現実ではありません
 分子を模して作られた模型、つまりモデルです
 第一に大きさが全く違います
 その上、分子や電子は実際には球体ではありません
 特に電子は雲のような外観で定まった形はありません

 言ってしまえばフィクションです。

 分子模型を持ち出して、これが分子だと主張した所で、そもそも分子は目に見えないだろうとつっこみを喰らうのがオチです。

 マスクが意味がないと主張するのも全く同じレベルである事を理解し下さい。非常に幼稚な思考と言えます。
 小学生であれば、学習内容を吸収する事が優先なので、そのような思考であっても理解も働きますが、大の大人がこんな事を真面目に主張し始めるのは著しく思考判断力を疑われる状況です。

 このような主張を展開する人は現実には何の責任も負っていません。 それで許されると思っている甘えがあります。

 しかし本人は得意満面です。完全に勘違いしていると思います。問題なのは識者専門家医師にまでこういった人たちがいて感染予防行動に影響を与えている事です。

 大幅に思慮を欠いているのではないでしょうか。
 多数の人の命に係わる事柄について、このような判断を正当化してしまうーー正誤の見境なく主張する自分を優先する点が人間的に信頼してよいのか?という事です。


〇マスクをしているのに感染拡大している

 第六波に関してこのように言われますが、ダウトと言って差支えないと思います。
 正しいと思われるシナリオは以下です。
 ・第六波は家庭内感染から拡大した。
  家庭内感染とは、つまりノーマスク空間での感染であり、家庭の構成人数倍の感染速度となったために数値上感染拡大の勢いが大きいように見えた。
 ・ノーマスク派が急増した
  市中にノーマスクの人が増えた時期と第六波の感染拡大時期が一致する。気候的に人が動くシーズンとなった事と感染が低下してマスクのストレスから解放されたいという流れに勢いがついた。
 つまりマスクをしないという条件の下で感染拡大していますので、現実は真逆と思います。

 さらに、感染した原因として
 ・ウレタンマスクや布マスクを使用している
 ・ちゃんと装着していない
 ・外食でマスクを外している
 ・手洗いでマスクを外している
 ・目を防護していない
 ・物の消毒、手袋をしない
 といった事が考えられます。

〇マスクをしているのは日本だけ

 これは完全にウソです。もしくは言い過ぎ、もしくはこのように単純な話ではありません。日本はマスクを義務化していませんが、フランスや州が義務化(拡大の度に義務化と解除を繰り返しています)したアメリカでは反動で義務化撤廃という動きとなりました。義務化と実際の着用の慣習の浸透率は全く別の話です。
 

  引用させて頂きました。ありがとうございました。

 国際化するのが良い事、というのは欧米に対するコンプレックスですし、追従することが先進的な態度、というのも作られたイメージありきで根拠(あるいは中身)のない主張だということは明白かと思います。
 少なくとも欧米社会の方がこのパンデミックに混乱気味の対応になっていると思います。

 マスクを装着しないという行為には人権上の問題、デリケートな個人の体調の問題、これらに加えて感染防止目的がある訳です。最終的には個人の判断ですが、感染機会を生じる人の集まる場や施設で着用を促すのは、感染を広げない・健康上の弱者を守るという根拠のある配慮です。また、施設からすると陽性者が出れば休業や消毒などで損害が発生しますから施設管理・経営リスクの面からマスク着用を要請するのは当然の事と言えます。濃厚接触者の定義を論じる事は構いませんが、マスクに予防効果がないという主張自体に疑いがある状態では水かけ論にしかなりません。
 また、このような施設側の迷惑をはばからずマスク非着用を主張する事が大人げない、サービス提供側の立場を考えない行為である事が問題です。ここまでの話と同様、人間的にどうなのか?という疑問に行きつきます。健康上着用が問題ないにも関わらず自身の主張をアピールすることが最優先という事、アピールが目的なので自宅ではなくわざわざ関係者の多い施設に絡んで対立構図を作っていく事が問題です。

 非常に伝えにくい内容ですのでここまで書くことは若干はばかられましたが、はっきり言えば災害便乗的な不謹慎な盛り上がりの一つかと思います。

 以上です。ありがとうございました。

サポート頂けると嬉しいです。