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私と記憶、ピュアとヤンキー『お花とエッセイ』

…「花」か…。

noteに何を書こうかな、と考える。
『お花とエッセイ』企画に参加するつもりだ。

私のnoteは、「記憶の掘り起こし」がほとんどなので、いつものように自分の脳内を散策する。
滑らかな場所を指で触っていって、ほんの少しひっかかったところを掘る。

40年と半分、一見何もない滑らかに見えている表面の下には、アレやこれやが埋まってる年齢のはずだ。
「これか?」…いや違うねぇ。
「じゃ、こっち?」…なんか惜しい!
「お!なんかあった!」…いやそれは捨てろ!

埋もれていた記憶を開けていく作業は、宝探しに近い。
特に、題材が「花」とくれば、掘り出すものも花の形、色、香りが華やかだ。


実は、最初に出てきたのは、真っ赤なバラだった。


中学時代、それはもう、私がそういう年代なんだけど、とにかくヤンキーが多かった。
「今日から俺は!」の予備軍みたいなのがいっぱいいる中学校だった。

彼らは、学校に反発しているにも関わらず、学校好きが多い。
わざわざ制服を着て、わざわざ学校に来て、わざわざ見えるところで授業をサボるのだ。
今思うとカワイイ。

そして、卒業式の日、生徒たちが、卒業おめでとうと書かれたピンクの造花コサージュを胸につけて式に出席する中、ヤンキーくんたちは、真っ赤なバラの生花を胸に挿して出席していた。

前日あたりに、彼らはこっそり集まって、お花屋さんでバラを人数分購入し、花が枯れないよう、そっと花瓶にそれを挿し、当日大事そうに胸につけて、「ダルいぜ卒業式ー!」とか言いながら、遅刻することなく式典に出ているのだ。

え、猛烈にピュア!!
体中から中学校への愛あふれてる…!!

私は色々震えた。
言い出しっぺは誰なの、どこのお花屋さんに行ったの、ヤンキーのくくりはどこまでなの、
「俺はヤンキー属性」と思ってたのにバラが用意されてないヤツおらんの!?

そんな私のうちなるドキドキをよそに、彼らはちゃんと校歌も歌って、式後、そのバラを好きな女の子にあげたりもしていた。
…ピュア…。

あの赤いバラを、もしも私が貰っていたら。
私は2,000字ぐらいの思い出として語れたのではないだろうか、いやしかし、残念ながら貰えなかった。
それより、ピンクの造花をつけている雄太郎君(仮名)の第二ボタンをもらうことに執着していたので、彼らの真っ赤なバラを貰ったとて、雄太郎くんの第二ボタンほどの価値が無いのだ、バラは、価値の知る人のところへ行ったのだろう。
(脳内の思い出箱をそっと閉じる)


ええと…花、そう花…そういや、卒業式のピンクの造花のコサージュ、ああゆうのなかなか捨てられなくて、取っておいて、その後どうしてるんだったかな…
ああゆう造花って、なかなか捨て難いんだよね…


あ。
あ、今、なんか記憶がひっかかったぞ…!!
造花…黄色…嬉しくて飛び上がったあの日…
あの捨てがたい黄色い花、幼い記憶。

私はまるで、考古学者が遺跡を発掘する様に、それを丁寧に掘り起こす。
土埃を払って、欠けてる部分がないか、欠けていても補えるのか確認する。

そうして生まれたエッセイがこれ。


これが…
なんと、お花とエッセイ企画のグランプリになりました…!!

……!!
…っつぁ…っ!!

驚きと喜びで、謎の声が文字に出来ない感じ。


実は、通知がいっぱいくるぞ、と思った瞬間があって「…まさか…?入賞したかも…!」
そう思ったのだが、ドキドキしてなかなか開けず、とにかく家事を全部終わらせてからにしよう!!と家中をウロウロし、お茶を入れ、それからわざわざ自分のエッセイを読み直しておりました。

い、いくよ、開くよ…?
通知、実は全然関係ないやつかもしれないけど、ガッカリすんなよ?
せ、せーの!!


それからしばらく、カーペットにひっくり返ってました。嬉しすぎて力入らなくて。

noteを書く時、いつも「たくさん読まれておいで」と思って放ちます。それはもう、我が子を見送る気持ちで。
欲を全面に出して言えば、「この人の文章は面白い」たくさんの人に、そう思ってもらいたい。
もちろん、それは、とても難しい作業だと知っている。

だから。

こうして、形として評価を頂けたことは、もう……喜び以上の…(泣いていいですか?)


ともきちさん、yuca.さん、つる・るるるさん
この企画を立ち上げて下さったこと。
お忙しい中、丁寧に感想を書いて頂いたこと。
全ての作品への愛情が詰まりすぎてて素晴らしかったこと。
この企画は、まさに一面の花で埋め尽くされてました。

感謝してもしきれません。

本当にありがとうございます!!

もう、これしか書けない…
感謝の気持ちが決壊して溢れ出てます、しばらくこの気持ちでご飯食べられます。


ちゃっかり、ボツにした中学時代の花のエッセイも添えて、私の気持ち、お伝えしました笑

読んで下さった皆様にも、本当に心から感謝してます。ありがとうございました!


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