ごはん司令塔、数年ぶりに動き出す

数年に一度。
それは、今まさに、オリンピックが開催されているからかもしれない。
私のチャクラが開く。


…いや、ごめん、チャクラよく知らないんだけども。

数年に一度、私の体には、変化というか、体が欲すると言うか、とにかく、体に何か波みたいなのが来る。

ある時は、とうもろこしだった。
そしてあるときは、鮭。
ある時はキムチ、またある時は大豆製品。

コレだと思うものを、ひたすら体が欲し続け、私はそれらを己の体に与え続ける。飽きるまで、朝に夕にと、調理法を変えながら食べる。
大変なのは、巻き込まれる家族で、鮭ブームの時は、わりとブーイングだった。
「4本足の肉がおもいきり食べたい」
響きがグロテスク!

ちなみに、波だけで終わらず、凪となっても続く場合もある。甘酒、納豆、ヨーグルト、その辺はもう5〜10年選手だ。


さて。2020TOKYO
まさに異例尽くめのオリンピックなこの年。
私の体が欲するものも、また異例だった。

それは。

無添加、無砂糖


ややこしや!
未だかつてない、ややこしいお題に加えて、面倒くさい。

きっかけは多分ある。

近しい友人が、癌の疑いあり、で内視鏡手術による検査入院をした。
彼女は、まだ下の子供が2歳になっておらず、初めてその話を聞いた時は、心臓がギュッと縮む音がした。
友人のそれは、悪性とは診断されず、ホッと胸を撫で下ろしたものの、「私たちも若くないんだから、健康第一で生きよう!」と、お互い誓い合った。
それから後の、父の癌の宣告もある。

そんなこともあって、食べるものには気を使いたいなと思っていた。
思っているだけだったら、今の食生活でも、まぁそんなに酷くはないのだが、ここへ来て、カッ!!!と私のチャクラが開いた。
だから、チャクラって何よ。

白砂糖、添加物取るべからず!

ひぇー。そんなことを言ってたら、外食は不可能。買い食いさえままならない。落ち着け。まずルールを決めよう。

まず、おやつは、できる限り天然素材を。
クックパッド先生に聞いて、5分で作れる感じでいこう。決して無理をするな。
さつまいも、かぼちゃ、それと果物を用意しておけば、先生が良いように教えてくれるはずだ。

調理の際の砂糖は、蜂蜜とミリンでやり過ごせ。
調味料は、できる限り、添加物の含まれないものを使用すれば良い。
納豆には、酢と醤油だ。
麺つゆ?一旦忘れろ。

外食をするなら、出来るだけ定食だ。
いいか、お前は、別に低糖質を目指しているわけじゃない。米に罪はないからな!
数少ない外食は心から楽しめ。
その代わり、帰ってからの食事は分かってるな?

私の中の、謎の司令塔が動き出す。
顔のイメージは真矢みきさん。さては開会式の影響だな?はいそうです。
口調は、ドラゴン桜の桜木先生。命令されたい。
要するに、性別は不明だ。

細胞たちが騒ぎ出す。
「とき子、添加物やめるってよ」
「なんか、砂糖もやめるって言ってるらしいぜ」
「マジかー、ハーゲンダッツとかどうなるん?」
「いやそれより夏休みだろ、小学生の娘がいるんだぜ、マック行かないでどうやって乗り切るつもりなんだよ」
「まぁ、いつまで続くか分からないし、我らにとっては良いことだからな、様子を見よう」

体が欲してる時は、私にはどうしようも無い。
我慢とか、頑張りとか、そういうのでは無いのだ。


先日、友人に「マック買って、その辺で川遊びしよう」と誘われた。
娘は「マックピクニック!」と喜んだ。

私は、司令塔に聞く。食べたい?食べたく無い?
雰囲気重視?何を我慢して、何を我慢したくない?

司令塔の回答はこうだった。
「今マックは食べたく無い。面倒だけど、おにぎり作る方が我慢出来る。雰囲気?ああ、あの友人なら大丈夫、説明すれば分かってくれる。娘にはマックを買ってやれ。お友達と川で食べるマックは美味いからな」

私は一体、何に支配されているんだろう?
桜木先生、私東大に行きたいです!
そして、さすが真矢みきだ、指示出しが早い。

そんなわけで、おにぎりとトマトジュースを持って川に行った。友人に「チャクラが開いてさー」と説明すると、友人は親指を立てた。
「分かる!実行に移せないと思ってたけど、私もそのうちやるわ!」
雰囲気なんて、全然壊れなかった。

「うそーすごーい、えー?なんでー?ダイエット?」
この様な流れになったら、ちょっと嫌だな、と思っていた。何が嫌なんだ、逆なら私は言うと思うぞ。


だけど、友人は気持ちよく受け入れてくれて、さらに「他には?何気にしてる?やっぱり気になるよね砂糖。甘味料もアウトだよね?」

最高の会話かよ!
細胞たちも拍手喝采だ。
そして振り返って叫ぶ。

「今日の添加物、ゼロです!」

この波は、いつ終わるか分からない。
我が司令塔は、突然席を外す。
私には、そのタイミングがまったく分からない。
あと1週間か、1か月か、体を想うのならば、数年単位でお願いしたいのだけれど、ある日突然「カップラーメン食べなきゃ死ぬ」と言い出したりもするんだろう。


考えてみれば、母もなんだかこんな感じで私を育てていた気がする。
「体の声をよーく聞いてごらん、必要なものが食べたくなるし、それは本当に美味しいから」


私のこの司令塔は、きっと母が育てたんだろう。
今、小学生の娘も、いつか自分の中の司令塔の存在に気がつくはずだ。
私の司令塔と似ているかな、似ていたら嬉しいな。


食べ物が体を作る。
食べ物を選べるというのは、贅沢なことだ。
完璧じゃなくていい。
雰囲気や付き合い、ほどほどにすれば、加工品や添加物も美味しいし、コンビニは心の救世主になる時がある。


大事なのは、食べている時、私が幸せであること。
身体が、喜んでいること。
家族が健康であること。

そして私は今日も司令塔に聞く。


「無添加、無砂糖、今日もいっとく?」

「もちろん!!プールに持って行くゼリーは、既製品を凍らせて行っても良しとする!」






この記事が参加している募集

習慣にしていること

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?