詩|境界
純白さが 病院の廊下を
どこまでも追いかけてくる
私を外へ押し出す
時間が確認されたがっている
私は彼をそっとそのまま
地面に広げ敷いておく
すると絹のように一瞬ふわりと浮く
素知らぬふりで その上を通り散歩に出る
ここまで許されたのは
病の偶然のせいか 心の脆さのせいか
その時 一陣の風が吹き起こる
後ろで焦って時間が小さく自己主張する
澄んだ風は もはや聞いていない
私は少し聞いてあげる
(月刊詩誌『詩人会議』'20年12月号、詩誌『北極星』第56号 収録)
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