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2023年5月の記事一覧
医者や看護師さんが優しい声の時は、痛くて厳しい
乳房の細胞を取るために再び診察室に入った私は、ちょっとビビっていた。ビビっていたが、やらない訳にはいかない。今日のメインイベントだ。診察台に寝て、私は見ないようにした。自分の体がメスで切られるのも、そこから機械を入れられるのも見たくない。怖すぎる。
「ちょっとチクっとしますね〜」
注射をする時、先生も看護師さんも妙に優しい声を出す。いや、優しい声を出す時は、痛い時なのかもしれない。麻酔はすぐに
心臓バクバク、針生検直前
超音波検査を終えて診察室に戻ると、先生は結果の画像を見ながら話してくれた。私はどきどきしていた。超音波検査でリンパへの転移があるかもしれないと思ったからだ。
「画像を見る限り90%がんと思われますが、画像だけでは確定ではないんです。あと、リンパもちょっと腫れていますね。ちょっと触診していいですか?」
先生はリンパの腫れについて、転移という言葉は使わなかった。私が診察台に横たわると先生が触診し、
私、死ぬの? 想定外の超音波検査
戦闘モードで迎えた初診日。予約からの2週間、ネットで多少の情報は集めたが、専門用語だらけで病気や治療のイメージはわかなかった。初診の時に知っていたのは、抗がん剤治療のテレビドラマのイメージとか、全摘か温存手術があるとか、リンパ節に転移した母の知人は治療後腕が上がらなくなったとか、又聞き程度の噂話に過ぎなかった。
乳腺外科の待合室は、オルゴールが流れるほっこりした部屋になっていた。受付の人が優しく
がん治療法は、ネット検索前にあれを確認して!
ネットがん情報はホント、調べるほどカオス!だった。
予約から診察まで2週間。予約の時は長いと思えた2週間だったが、情報を集めるにはあっという間だった。
私の情報源はインターネットだった。乳がん治療で検索すると、数えきれないサイトと動画が出てくる。その中から病院のサイトや動画に絞り込んで、上から見ていく。
抗がん剤、放射線、手術、免疫療法、遺伝子、再生医療、重曹、食事療法・・出てくる出てくる。た
病院選びで基準にした大切な条件
冒険を始めるには情報が必要だった。介護業界で仕事をしていたが、乳がん治療についての知識は全くなかった。まずは病院を選ぶことからだった。がんといえば国立がん研究センターが真っ先に浮かんだ。一度仕事で、ポータブルトイレを持って行ったことがある。ホームページで調べると主治医からの紹介状が必要で、がん検診で引っかかったくらいのケースでは受け入れてくれないと書いてある。乳がんで検索をすると、東京都をはじめ沢
もっとみる乳がんと妖怪たちと、のりりんと〜告知から失職まで①〜
1,予感
予感は今から2年前の2021年6月、自宅のデスクで書類の整理をしている時だった。右乳房が熱くて痛い。乳房の内側から焼かれているような痛みだった。息をした時の微かな動きに、部屋着と擦れるだけでも辛い。
これはやばい!
身に覚えがないわけではない。10年ほど前から、右乳房には石灰化と言われていたしこりがあった。少しずつ大きくなっているのも知っていた。最近は、日によって大きくなったり小さ