マガジンのカバー画像

レビューBOX:映画、本の感想まとめ

98
映画や本の感想、レビューをまとめています。
運営しているクリエイター

記事一覧

【考察】機動戦士ガンダム「テレビ版」と「劇場版」の違いは、何を生んだか

 テレビ版「機動戦士ガンダム」に対して、劇場版三部作はダイジェストという位置付けであるが、劇場版「機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙」をみてみると、単なるダイジェストではなくセリフ等にテコ入れがされている部分が目立つ。主としてシャアとララァの関係、そしてシャアの目的意識である。どこが違うのか、変えたことで何が変わったのか、ということを少し考察してみたいと思う。 注目した変更点(1)ララァに素顔を見せているシャア テレビ版第34話「宿命の出会い」  ホワイトベースとコ

機動戦士ガンダム 全話レビュー第43話 「脱出」 (最終回)

あらすじ ガンダムが血路を開きモビルスーツ隊が宇宙要塞ア・バオア・クーにとりついた。しかし激戦の中、ホワイトベースはエンジンをやられて着底、白兵戦に突入する。アムロはジオングに直撃を加えるが、シャアは頭部コクピットを分離させて離脱、ガンダムの頭部を破壊する。メインカメラがやられたまま、要塞内部に入り込んでいくアムロには、そのとき本当に倒すべき敵が見えていた。 脚本/星山博之 演出/関田修 絵コンテ/斧谷稔 作画監督/山崎和男  コメント とうとう、ここまで来てしまった。

映画レビュー:Winny (2023) 〜天然な天才プログラマーに翻弄されつつ魅了されてゆく弁護士、彼らの戦った相手は一体なぜWinnyを敵視したのか?が見終わったあと静かに腑に落ちてきた

ストーリー  ファイル共有ソフト「Winny」を使って違法にコピーしたゲームのデータをアップロードしたとして、京都府警が群馬県高崎市と愛媛県松山市で、それそれ1名を著作権法違反の容疑で逮捕した。京都府警ハイテク犯罪対策室の北村(渡辺いっけい)は、東京在住のWinnyの開発者、金子勇(東出昌大)に任意同行を求め、Winnyの開発を中止することに同意させ、誓約書を書かせる。書き方がわからないという金子に、北村は自作の文章を示し、それを書き写させた。文意に疑問を抱く金子だったが、

機動戦士ガンダム 全話レビュー第42話 「宇宙要塞ア・バオア・クー」

あらすじ  ギレンは最終決戦に向け演説する。一方の連邦軍は、総司令であるレビル将軍と多数の艦艇を失って大混乱に陥るが、ルザルを旗艦とし、残存戦力をまとめてア・バオア・クーに進攻してゆく。シャアは、「ガンダムを倒すためにはニュータイプの可能性のあるものを一人でも多く戦場へ投入する」というキシリアの方針にしたがい、ニュータイプ用の試作機ジオングに搭乗。打倒ガンダムに向けて、最後の決戦に臨む。 脚本/星山博之 演出/藤原良二 絵コンテ/斧谷稔 作画監督/中村一夫 コメント

機動戦士ガンダム 全話レビュー第41話 「光る宇宙」

あらすじ  デギン公王は極秘裏に和平交渉に乗り出していた。しかしこの動きは逐一ギレンに報告されていた。ギレンは連邦軍の侵攻を前に、ソーラシステムの掃射準備を進めてゆく。キシリア麾下の艦隊と接触した連邦軍は、艦隊戦に突入。ララァもエルメスで出撃した。ガンダムのアムロはこれをすばやく感知して意識を集中、サイコミュ兵器であるビットを次々に破壊してく。しかしそのときアムロの意識がララァをとらえる。 脚本/松崎健一 演出/貞光紳也 絵コンテ/斧谷稔 作画監督/ コメント  第

機動戦士ガンダム 全話レビュー第40話 「エルメスのララァ」

あらすじ  連邦軍は、ア・バオア・クーとグラナダを結ぶジオンの最終防衛線を突破する「星一号作戦」の準備を着々と進めていた。そのころジオンでは、コロニー<マハル>の住民150万人が強制退去させられていた。このコロニーを、最終兵器「ソーラシステム」として使用するというのだ。この動きに対する報告を受けたキシリアは、ギレンの言動の裏にひそむ野心に疑惑をいだく。 脚本/荒木芳久 演出/関田修 絵コンテ/斧谷稔 作画監督/ コメント  34話「宿命の出会い」から6話を経過して、

画像生成AIを使ってみたら・・・

 まずは、ヘッダー画像を見てほしい。これは何だろうか。おそらく10人中10人が、こう答えるだろう。「ガンダムだろ?」と。  だが、違うのだ。  私が1日出かけている間に、連れ合いが、画像生成AIを試しに使って、どんな画像ができたかを見せてくれた。そのうちの一つが、ヘッダー画像であるが、トリミングしない全体は、次のようなものであった。 「ジオン軍」と入力したら、生成された画像  正直、爆笑してしまった。ジオン軍が、ガンダムに出てくる軍隊というのは認識していそうだが、いろい

機動戦士ガンダム 全話レビュー第39話「ニュータイプ、シャリア・ブル」

あらすじ  連邦軍の拠点となったソロモンでは、どこからともなく攻撃を受けるという奇妙な事態に遭遇していた。一方、ジオンではギレン総帥が「木星帰りの男」シャリア・ブルと謁見。彼をニュータイプ戦士としてシャアのもとへ送り込もうとしていた。フラナガン機関を設立してニュータイプの戦力導入を進めるキシリアを牽制するためである。シャアと合流したシャリア・ブルは、早々に専用モビルアーマー、ブラウ・ブロを始動させる。 脚本/山本優 演出/久野弘 絵コンテ/    作画監督/ コメント

機動戦士ガンダム 全話レビュー第38話「再会、シャアとセイラ」

あらすじ  マ・クベのギャンを討ち取ったアムロは、シャアの新型MSゲルググの急襲を受け格闘戦になるが、試作段階のゲルググは本調子でなく、シャアは偽の爆発を起こして戦線を離脱、脱出を図った。一方ホワイトベースはらジオンのチベと対峙していたが、ワッケイン司令の艦が砲撃戦に入ったのをうけ援護に動く。その後アムロ救出のためテキサスコロニーに進入すると、オムル、ジョブ・ジョンとセイラがバギーに乗って探索に出るが‥‥ 脚本/松崎健一 演出/藤原良二 絵コンテ/    作画監督/ コ

機動戦士ガンダム 全話レビュー第34話「宿命の出会い」

あらすじ  コンスコンの襲撃で浮きドックでの修理を受けられず、やむなく<サイド6>に戻ったホワイトベース。アムロは再び父に会うためにバギーを走らせていた。途中雨宿りのために駆け込んだコテージで彼は、老いた白鳥を見つめる不思議な少女に出会う。その頃港には、ジオンの戦艦ザンジバルが入港していた。あのシャアがやって来たのだ。そして初めてアムロは生身のシャアと偶然出会う。その横には、あの少女ララァがいた‥‥。 脚本/星山博之 演出/藤原良二 絵コンテ/    作画監督/ コメ

機動戦士ガンダム 全話レビュー第33話「コンスコン強襲」

あらすじ  中立コロニー<サイド6>に向かうホワイトベースの動きを受け、ジオン軍宇宙攻撃軍司令のドズル・ザビ中将は、ソロモンからコンスコンの機動部隊を出撃させる。ドズルは、弟ガルマを守れず幾度となく木馬を取り逃がしているシャアの無能さを、キシリア少将の前に明らかにしたかったのだ。<サイド6>で、ミライは婚約者と再会。一方食料品の買い出しに出たアムロは、街角で思いがけなく父テムを見かけ後を追いかけるが‥‥。 脚本/山本優 演出/貞光紳也 絵コンテ/    作画監督/中村一

機動戦士ガンダム 全話レビュー第37話「テキサスの攻防」

あらすじ  ホワイトベースはソロモンの残存戦力を掃討するため、テキサスゾーンに入った。そこには月面のグラナダ基地から出ていたマ・クベの艦隊とザンジバルのシャアがいた。ホワイトベースと遭遇したマ・クベは自らギャンで出撃。巧妙な罠をしかけて、アムロのガンダムをテキサスコロニーに招き入れる。シャアにつきそわれ、荒野でその戦いを見守っていた少女ララァは、今まで経験したことのない共振を感じていた。 脚本/山本優 演出/貞光紳也 絵コンテ/    作画監督/中村一夫 コメント

映画レビュー:ゴジラ-1.0(2023)〜それは、日本が経験した厄災と復興、その間で置き去りにされた人々のトラウマとの対決だった

ストーリー  第二次世界大戦末期の1945年、神風特攻隊の飛行士だった敷島浩一(神木隆之介)は、搭乗機の零戦が故障したと言って、大戸島にある整備隊の基地に不時着する。敷島の機体を点検した整備兵の橘宗作(青木崇高)は、どこにも不良箇所を発見することができず、敷島が特攻を逃れるため嘘を言っているのではないかと疑う。  その夜、敷島は海辺で不思議な光景を見る。深海魚が多数、浜辺に浮いて漂っているのだ。すると突然、巨大生物が彼らの基地に襲いかかってきた。橘は敷島に、零戦の20ミリ機

ドラマレビュー:どうする家康〜船頭多くして船山に上る 本当は一体どうしたかったんだ、家康?と言いたくなった

 年の瀬も迫ってきたので、2023年に見たドラマを振り返って、レビューを記しておこうと思う。今回は定番のNHK大河ドラマ「どうする家康」を取り上げる。  徳川家康を主役に据えた大河ドラマといえば、滝田栄が家康を演じた「徳川家康」(1983)と、津川雅彦が徳川家康を演じた「葵 徳川三代」(2000)に次いで3作目ということになる。戦国三英傑が登場する大河ドラマは数多いが、中でも家康は、その生涯が75年と当時としてはかなりの長命で、しかも織田信長と同盟を結び、豊臣政権の中では五