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みんな大山悠輔に助けられてたんだよ【9/14 対ジャイアンツ戦○ 優勝】

いろいろ書こうと思っていたけれど、大山悠輔の涙で全部吹き飛んでしまった。

岩崎優が最後のアウトを奪って、岡田彰布監督の胴上げが始まって、その輪が解けたとき、大山が泣いていた。ほかの選手にもたれかかるようにして大山が泣いていた。ミットで顔を覆いながら、大山がずっと泣いていた。

2年前にシーズン最終戦で敗れて優勝を逃したとき、大山は泣いていた。あのときとは違う。笑顔だ。まわりのみんなも笑っている。大山がずっと背負ってきてくれたものから解放されて、その重圧が大粒の涙と変わって溢れ出ているように見えた。


試合は大山の一打で動いた。
今日3度目の得点圏。1アウト1,3塁。高々と打ち上がった打球が外野手のグラブに収まる間に、3塁ランナー近本光司を迎え入れた。森下翔太が作ってくれたチャンスを、大山がモノにして先制した。重苦しい空気を大山が少し軽くしてくれた。
大山がつないでくれた打席の直後、佐藤輝明が2夜連続のホームランを打った。聞いたこともない歓声が甲子園に響いた。
本音を言うならずっと4番に入ってくれた大山にド派手に決めてほしかったけれど、イケイケの後輩たちに託して自分はつなぎに徹したのが、なんとも大山らしいと思ってしまった。

「いつもみんなに助けられていたので、なんとかしたいと思っていました」
先制の犠牲フライを打った後の大山の談話からは、チャンスで打点を挙げられたことの安堵が感じられた。

みんなに助けられていた。
違うよ。みんなが大山に助けられていたんだよ。
大山がいつもみんなを助けていたんだよ。

全試合で4番。打てたときも打てなかったときも、タイガースの4番の重圧と戦ってきた。大山が背負ってくれたから若い森下も佐藤輝ものびのびとプレーできた。
大山のいるファーストだから、内野手のみんなは思い切って送球できた。ちょっと高く逸れても低めにいってワンバウンドしても、大山が軽々とミットに収めてくれた。
見違えるように堅くなった内野の守りは「ファースト・大山悠輔」なしには成立しなかった。


大山の歴史は、今のタイガースの歴史だ。
金本知憲監督にその可能性を見い出された大山は強い体と精神を身につけた。矢野輝弘監督の掲げた「最後まで諦めない野球」を最も体現したのは大山だった。どんなときでも次の塁への全力疾走を欠かさなかった。

そして今年、岡田彰布監督が掲げた「四球を取る野球」を最も体現したのもやっぱり大山だ。選んだ四球88はリーグトップ。振らない怖さを身につけた。監督が誰になってもその人が目指す野球を理解して、チームを牽引した。

大山がいたから、タイガースは戦えた。
大山がいたから、タイガースはペナントレースの頂点に立てた。
みんなそのことを分かっているから、この男の涙にもらい泣きした。

大山が報われる瞬間がやっと来てくれた。
嬉しくて、嬉しくてたまらない。
金本さん、矢野さん。見ててくれたかな。

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