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高校での観点別学習状況の評価の導入に向けた評価方法についての考察

2022年度から始まる新学習指導要領では,高等学校で観点別学習状況の評価が義務付けられ,これまでの評定に加えて3つの観点において,A,B,Cの3段階で評価することになります。

この観点別学習状況の評価では,「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点について評価し,学習と評価を一体化させ,児童生徒の学びを進めていくことが求められています。

私の勤務校では,この3観点をどのように評価するのか具体的な方針は決まっていないのですが、現時点の実行可能な観点別学習状況の評価について、私なりに考えてみたいと思います。

■ 観点別評価の趣旨

今回の新学習指導要領の改定では,「何を学習するのか」から「何ができるようになるのか」という視点に立ち,全教科等の目標が「知識・技能」「思考・判断・表現等」「学びに向かう力・人間性」の3つに整理され,学習評価の観点も3観点に整理されました。そのため,「目標とする資質・能力が身についているか」という視点で学習評価を行う必要があります。

■ 観点別評価の基本構造

文部科学省の「学習評価の在り方ハンドブック(高校編)」では,各教科における評価の基本構造として,以下のような図にまとめています。

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□ 知識・技能

これまでの学校教育で最も重視してきた観点です。

具体的な評価方法としては,「ペーパーテスト」が挙げられ,「事実的な知識を問う問題と知識の概念的な理解を問う問題とのバランスに配慮すること」と明記されています。

□ 思考・判断・表現

各教科等の知識や技能を活用し,問題解決等ために必要な思考力、判断力、表現力などが身に付いているかを評価します。

具体的な評価方法としては,「ペーパーテストのみならず,論述やレポートの作成,発表,グループでの話合い,作品の制作や表現等の多様な活動を取り入れたり,それらを集めたポートフォリオを活用して評価方法を工夫すること」と明記されています。

□ 主体的に学習する態度

知識や技能を獲得したり、思考力、判断力、表現力等を身につけたりするために、自らの学習状況を把握し、学習の進め方について試行錯誤するなど自らの学習を調整しながら、学ぼうとしているかという意思的な側面を評価しする観点になります。個人的に評価が一番むずかしいところだと感じています。

具体的な評価方法としては,「ノー卜やレポート等における記述,授業中の発言,教師による行動観察や,生徒による自己評価や相互評価等の状況を教師が評価を行う際に考慮する材料の 一つとして用いること」などが挙げられています。

■ 具体的な評価方法

観点別学習状況の評価は,既に小学校・中学校で実施されていますが,その大変さをあちこちで耳にします。できるだけ,教員の負担増にならないよう,これまでの評価方法を最大限に活かすという点から考えたとき,テスト問題を中心とする観点別学習状況の評価が妥当ではないかと考えています。

また,「主体的に取り組む態度」に関しては,テスト問題で評価することが困難なため,振り返りの記録やレポート等における記述などから評価を行うことを考えています。

しかしながら,テスト問題で「知識・技能」「思考・判断・表現」を評価しようと考えたときに,教員間での基準の統一を図る必要があり,どの問題が知識の問題に分類されるのか、思考の問題に分類されるのか、共通認識を持って進める必要があると感じています。

そのため、観点別学習状況の評価の導入に向けて、まず3つの観点から各教科の目標とする資質・能力ベースで、教科目標を整理すべきだと考えています。

具体的には,横軸を「3観点」,縦軸を「教科の軸」として「育成を目指す資質・能力」における目標を設定しました。情報科では下記のように目標を設定しています。ここから単元のまとまりごとに具体化し、その目標に紐づいたテスト問題を作成することによって、教員間での基準の統一を図ることがある程度できるのではないかと思います。

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まだ、仮説検証の段階なので、これから修正して精度を高めていく必要があると思いますが、ここで述べたことを踏まえて、それぞれの領域における評価基準に基づいて試験問題を作成してこうと考えています。

■ おわりに

観点別学習状況の評価を行うことは、はっきり言うと教師の負担がかなり大きいと思います。これまでは、全体の得点集計のみを行えばよかったのが、各観点を盛り込んだテスト問題を作成し、各観点別に得点集計で評価を行うことになるとすると、かなり手間が発生すると考えられます。

観点別評価における生徒にとっての利用価値と教員側の負担、そのバランスの中でこれからの評価方法とその活用方法について、検討していかなければならないと思います。

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