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栄養士がVBAを学ぶべき理由と推薦図書

病院管理栄養士目線ですが、給食管理で疲れ切ってる栄養士・管理栄養士向けに書きました。VBAという魔法の言葉について紹介しています。仕事をもっと楽にしたい、残業を減らしたい、生活を変えたいと思ったら、読んでみてください。

私にはどーせ無理? ならTEDです

Excel VBAで給食管理が変えられる

VBAというのはExcel上で扱えるプログラミング言語で、正式な名称はVisual Basic for Application。結論だけ言ってしまえば、VBAを使うことで業務の自動化が行え、作業量ひいては残業を減らすことができます。

加えて、パソコンつおいポジという利権が手に入ります。
ガチでこれは絶対に手放してはいけない利権です。

栄養士がなぜVBAを学ぶのか

僕は直営病院で管理栄養士として働いています。年数で言えば4年目。業務としては給食管理と臨床栄養で、割合としては8:2といったところです。この職場は残業がめちゃくちゃ多くて、自分の能力の不足もあるのですが、給食経営管理が際立ってマズい。どうマズいかっていうと、残業時間がふつうに100時間行きかねないくらいマズい。

それを改善するにはどうしたらいいんだろうかと考えるわけですが、究極的には自動化しかない。なんて言ったって、それが一番楽なんだから。

RPAだのなんだの言われているけど、栄養士・管理栄養士の世界というか、医療の現場そのものがいつの時代だよってくらい自動化に乗り遅れています。そして、そういう環境で何も学ばないままだとどんどん取り残されていきます。

栄養士・管理栄養士の人材としての価値というのは色んな立場があるので一様には考えられない。ただ、あえて医療者としての病院栄養士に限定して考えると、キャリアとして必要な専門性は臨床栄養である場合がほとんどです。むしろ医療者として評価されないようでは、この職業にあまりいい未来は訪れない気がします。

だからこそ、学会に参加したり、資格を取ったりすることに一定の意味があるわけなんですが、逆に考えると給食管理の優先順位というのは低くなってしまうわけです。給食を改善するために集団を変えていくことよりも、個人の技量を伸ばすことの方が言い方が悪いかもしれませんが時間がかかりません。給食管理を変えていくのはどうしたって時間がかかります。で、結果として効率の悪い給食経営が残されてくるわけですが、考えてみれば当たり前ですよね。

でも、どんな業界でも間違いなく自動化が求められています。そして、ITに関しては若手だからといって決して上の世代に引けは取らない。

ここが、大事です。

むしろ、優位に立てる可能性すらあります。それは学べば学ぶだけ突出させていくことができる強みです。そして強みがあれば、責任のある仕事を持たせてもらいやすくなる。責任を持たせてもらえれば、業務を変えていくことができる。

基本的に病院をはじめとして施設はインターネットにはつなげられないのがデフォです。ローカルなネットワークだけで完結してしまっている。だから、RPAとか自動化とか言っても、実際はそのためのサービスやプログラミング言語が扱えるわけではないんです。けれど、Excelだったら大体どこの職場にもあります。ここです、ここが肝です。

もう一度いいます、Excelは大体どこの職場にもあります
そして、Excelがあれば、VBAという言語が使えます
そんで、VBAが使えれば、業務の自動化ができます

というわけで、僕はVBAを学びました。

 Excelスキルを飛躍的に伸ばす5冊

学ぶといっても、そうそう都合よく職場にVBAを扱えるVBAerはいません。基本的には独学で取り組んでいくしか方法はないわけです。一応VBAを学ぶための学習サイトとして、ドットインストールという動画学習サイトはあります。 *VBAは有料会員(500円/月)のみ

でも、学ぶのは書籍にしましょう!VBAに関しては、ノンプログラマーが取り組みやすいような現場目線の書籍が本当に充実しています。

僕もドットインストールは利用していましたが、どちらかというと書籍で学んだ知識を復習するために通勤時に動画を流して学習していた形でした。そうした使い方であれば、とっても有益だと思います!

では、どんな本を読めばいいのでしょうか

1.『仕事が早い人ほどマウスを使わない!超速パソコン仕事術』

 Excelに関係ないじゃないって思われるかもしれませんが、実はその通りです!まずは Excelよりも先に身に付けなければならないのがパソコン全般にわたる操作なんです。 

WordやExcelのショートカットキーを覚える必要はない。僕も覚えてない。でも、パソコン操作全般において、自分が普段どういったソフトを毎日使っていて、どうすればより使いやすい環境にできるのかは考えなくてなりません。それが十分でなければ、 Excelに限らず日常的なパソコン作業に手間がかかるからです。

というのが給食管理でパソコンに長時間向かってきた僕の結論です。

こうした書籍で知識としてだけでも蓄えておけると、諸先輩方よりパソコン操作に長けてくるようになります。そうすると徐々にそういう人として認めてもらいやすくなるし、質問を受ける機会も増えます。面倒くさがったりすることなく、是が非でもその役割を積極的に引き受けてください。それがアウトプットの機会を増やす一番いい方法だからです。

ちなみに、この書籍は僕が気に入っているから紹介したまでです。類書はいくつもあるのでパラパラと見て気に入った書籍があればそれでいいと思います。

続いて、こちら

2.『関数は「使える順」に極めよう!Excel最高の学び方 』

こちらもまだVBAではありません、まずは関数です!
ここに載っている関数がわかっていれば半自動化できるような業務もたくさんあると思います。

本書で関数を学んだことで給食管理上の帳票の入力作業を3〜4工程削減することができました。時間としては2分程度の短縮ではありますが、月では1時間、年では日勤1日分は確実に短縮されています。未入力でやり直しってこともなくなったし、ワーキングメモリ的にも余裕が生まれたので、実際には数字以上に改善されているように感じます。

9割の関数は不要と豪語しているように、本当に必要とされる最小限の関数が取り上げてられているので、新しい知識であっぷあっぷせずに、読みながら実務にどう活かせるか想像つくのが本当に素晴らしいです。その一点で間違いなく優れた書籍だと思います。

ちなみに余談なのですが、著者ははけたさん(@excelspeedup)という方で
最近『会計ソフトのすき間を埋める経理のExcel仕事術』という本を出版されました。実は僕はこのタイトルにものすごく衝撃を受けました。給食ソフトにもすき間があって、だから『給食ソフトのすき間を埋める栄養士のExcel仕事術』というのが必要なんじゃないかって。

3.『たった1日で即戦力になるExcelの教科書』

またまた関数です。著者の吉田さん(@sugoi_kaizen)がすごいのは、めちゃくちゃ現場目線に立って書かれていることです。関数の使い方が優れているとかなんとか、そういうことではないのです。難しいことをわかりやすくではなく、易しいことを組み合わせて使うということをわかりやすく書いているのです。

タイトルのたった1日で即戦力になるって謳い文句は大袈裟すぎると思うかもしれませんが、本当にたった1日で即戦力になります。読む前と後とでは自分に対する評価が変わります。

内容的には基本的な部分ではあるのですが、栄養士・管理栄養士でExcelに強い人ってそれほど多くはないと思うので、関数の本をいくつか多面的に読んでおけると理解が深まります。

また、同じ著者のVBA編があとで紹介する『たった1秒で仕事が片付くExcel自動化の教科書』になります。この2冊は、Excel、VBA初心者にはマストと言っていい。

4.『スラスラ読めるExcel VBAふりがなプログラミング』

さて、ここからです!

さっそくVBAでプログラム組んで業務を自動化といきたいところですが、おそらくいきなりVBAの入門書渡されても読み進めていくうちにだんだんとわからなくなって、一冊読み切ることができずに投げ出す人は少なくないと思います。そんな人に、というか初学者みんなにオススメしたいのが本書です。 

例えば、英文の意味がわからずに読むのは辛いけど、訳が振ってあればどうにか読めますよね。それと同じようにコードだけで理解するのは辛いけれど、意味が振ってあれば読み進めること自体はできる。『ふりがなプログラミング』シリーズはまさにそれで、他のVBAの入門書と比べたら圧倒的にやさしいんです。

もちろん、この本を読んだからといって VBAがすぐに使えるかというと、これはもう全く使えない。使えないけれど、全く真っ白な状態に比べるといくらかプログラミングへの慣れが生まれて、次の本に移っても挫折しない体力がつきます。

その意味で紹介する5冊の中では一番重要な書籍です。僕はVBAに挫折しそうな人がいたら、絶対にこの本を薦めます。学び始めて数ヶ月の感覚だからこそ、断言できます。

5.『たった1秒で仕事が片づくExcel自動化の教科書』

最後に、仕上げです。
というか、ここからが本当のVBAの学習になります。手を動かさないとわからないことがたくさん出てきます。今まで触れてこなかったエラーに出くわすし、検索して頭を悩ませながら考えてもわからなかったり、かと思ったらふと解決策が見出せたり、そういうことの連続なんです。

本書の何がどう素晴らしいのかはもう読んでくれ!としか言いようがないのですが、間違いなく現場にいるノンプロ、非エンジニアのための本です。誰がなんと言おうと、現場で動かせなければ、そして結果が伴わなければ意味がない。そういう本です。

僕自身まだまだVBA初心者の域ですが、数少ない給食経営管理の業務改善の経験から重要だと思うようになったことがあります。それが次の2点です。

・VBAでの自動化の流れを具体的にイメージできるか
・給食ソフトの特徴を把握しているかどうか

1点目は、実務レベルでの自動化はプログラミングのコードをどうかけばいいのかという知識的な不足よりも、どういう流れにすれば問題がないかを考える方がずっと大事だということです。僕も全く考え違いをしていたのですが、これはたぶん実際に業務改善に取り組むうちにわかってくると思います。

例えば、職場のパソコンを起動させて1日1回だけ在庫管理の集計表が自動的に動くようにしたい、とします。その場合、そもそもパソコンを起動させるのはタイミングっていつなのか、停電や不具合でシャットダウンせざるを得ない場合に再起動した時はどうするのか等々いろいろな問題が考えられるわけです。それらに対応できるようにしなければ、自動化は成し遂げられない。中途半端にこなすと、職場からは不安な声が上がり、結果的に何も結果を残せなくなります。そういうことがわかるようになってから、Twitterにいる本職でないVBAerのすごさが理解できるようになりました。

ちなみに流れをイメージできるのはとっても大事です。これはもしかしたらVBAでどうにかできるんじゃないかという発見があってこそ、改善しようと取り組める。

2点目が給食ソフトの存在です。ExcelのVBAを用いて業務を自動化できるかどうかは、給食ソフトの機能や仕組みをどれだけ把握できるかにかかっていると言えます。

なぜかと言えば、Excelを使う以上はソフトからExcelやCSVというファイルを出力できなければ意味がないからです。そして求めるデータが取り出せるかどうかはソフト次第になってしまいます。だから、よく知らなければなりません。把握していく中で、ソフト自体の機能を用いて業務量を削減できたり、あるいはカスタマイズしてもらえればどうにかなりそうだとかいったこともわかってくるようになると思います。

ぜひ本書でVBAを学んだら、この2点にを意識しながら業務改善に取り組んでみてください!

なぜVBAを学ばなければならないのか

栄養士・管理栄養士でExcel、ましてやVBAを学ぶのは、臨床栄養の知識すらままならないのに……と抵抗があるかもしれません。でも、臨床栄養より給食管理をどうにかしなければいけないと確信しているのであれば、迷ってはいけない。

給食管理に割く時間を短縮して、そうして作った時間でもっと短縮できるようにしていく。それを続けていければ臨床栄養のために割く時間もきっと生まれます。時間泥棒の会議にも、仕事上の付き合い程度の勉強会にも、なんかよくわからん職場の飲み会にも、もう参加してはいけません。そんな時間は残されていません。

全く苦もなく習熟できる方もいるだろ受けけれど、僕はそうではなかったし、だから楽に学べるなんて到底言えない。

残業してヘロヘロになって帰ってきたのに、なんでExcel学ばないといけないんだ?って思うこともあるかもしれない。その気持ちはめちゃくちゃわかる。

毎日ハードでいっぱいいっぱいなのに、どうして休みの日まで仕事のこと考えなきゃいけないの?わかる、痛いほどよくわかるよ。

でも、このまま仕事を続けていけば確実に人生が貧しくなると感じているなら、始めるしかない。環境を変えれば済むのなら、それでいい。でも目の前のことを変えられない人間が他の仕事で何ができるのかと考えると、たぶんあまり期待できない。

自分に置き換えて想像してみてください。想像できますか、自分が役に立っている姿を。僕は全くこれっぽっちも想像できなかった。

だから、逆にです
今のところでもう一度やってみたらいい
今度は、残業する体力を残さないくらい全力で

私にはどーせ無理? ならTEDです

植松さんがいうように、一度きりのぶっつけ本番の人生
だから、挑戦してみましょう、努力してみましょう

いつもありがとうございます。これからも役に立つnoteにしていきます。