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ワークマンを支える「Excel経営」とは?という記事を読んで。

ワークマンといえばすごい勢いで成長している会社ですよね。
まだ店舗に足を運んだ事はありませんが、報道等ですごい会社というのは何となく知っていましたが、Excel経営????という事で興味が沸いたので記事を読んでみました。

同社のコンセプトは、"最重要目標に集中し、それ以外はしない"という「しない経営」です。

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”しない経営”というのは初耳でしたが、なかなかいい感じの響きですね。
無駄を徹底的に省くといった感じでしょうか。

データ経営と聞くと、データサイエンスなどの高度な知識やスキル持つ人材が先端のツールを活用している光景を思い浮かぶ方もいるかもしれません。しかし、ワークマンにおけるデータ経営では、各店舗の従業員が、Excelを使うというものです。どんな製品を開発すれば良いか、どの製品を店舗に配置すれば売上が上がるのか、といった分析を従業員自身がExcelで行い、改善を行っているのです。

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従業員がExcelを活用してデータ分析しているのはちょっとどういう内容か想像できませんが、店舗の従業員がダイレクトに商品開発や経営に関わっている仕組みのように感じました。

「当時、私が入社して驚いたのは、データ活用がほぼゼロの会社だったことです。極端にいえば、決算に必要な数字さえあれば問題ないという考え方です。店舗にある商品の在庫数すら十分に把握できていないのが当たり前でした」

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介護の現場でもこういう状況は多いと思います。
僕自身は、やはり数字や統計は信頼できるので、そういうデータ活用は意識してやってきましたが、最近取り組んでいるのが、職員個々の能力のデータ化です。

介護業界での売り上げは、介護サービスを提供した回数や時間によりますが、そのサービスを提供しているのは現場職員です。
要は、現場職員が商品そのもの、という事ですので、会社の売り上げを上げるためには、商品価値を高める必要があります。
介護職員の質(ケアの提供や言動)が、そのまま商品の質になります。
ここの部分のデータ化をしたいとずっと考えてきましたが、やはり個性のある人間であり成長する人間相手ですので、なかなか難しい面もありましたが、そこはある程度割り切ってデータ化してみなければどうにもならないな、というように思いました。

自分の会社にどのような職員(商品)があって、どういう戦略を立てるべきか、というのは、やはりある程度のデータを根拠にしないと失敗すると思います。

現に、人手不足の中で当法人内でも様々に欠員部署への異動などで補充対策が行われていますが、経営戦略の基本中の基本である適材適所を明らかに無視した、単なる人数合わせにしかなってない異動が乱発しており、当然そういう感じですので、実力を発揮できないか、チームに馴染めないか等、様々な理由で退職していく職員が発生している状況です。

そういう意味でも、評価システムと連動した職員の個性やスキルのデータ化は必要じゃないかなぁと思っていて、少しずつ取り組んでいるところです。

個々の職員が、それぞれどの程度収益を上げているかなど、データ化によって見える化する事ができれば、こういう傾向の職員は、この事業に強い等の分析もできそうですし、ここの能力が上がってきているからこの役職を任せられるのではないか、等の客観的なキャリアアップの仕組みづくりにも活用できそうです。それぞれの成長に応じた到達点や次のステップなどを示すことで、どの数値を伸ばすべきかなど、助言もしやすくなるかなぁ、なんて事も考えていますが、これもいろいろ試行錯誤しながらの取り組みにしかならなさそうです。

「社員それぞれが自分で関数を書き、データ分析ができるよう研修を実施し、平均90点を取るような試験問題も解いてもらいました。研修のテーマも、実際に店舗運営で行っている題材で分析させるなど、参加者が興味を持てる実践的な内容となるよう、細心の注意を払っています。結果、社員はExcelに対する恐れがなくなり、"仕事で使ってやろう"というモチベーションを持つようになりました」(土屋氏)

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やっぱりそうですよね、ちゃんと研修と評価をしていますよね。
じゃないと活用しきれませんよね。

こういうシステムを導入したり新しい仕組みを導入する際は、やはり徹底した教育研修と実際に使えているか、使おうとしているかという評価が必要ですね。
このあたりは介護現場の多くがやりっぱなしになっているので、工夫が必要な点だと思います。

データ教育の取り組みは、新人教育でも同様です。新入社員は、入社1年目は接客や商品知識を身につけますが、2年目から直営店の店長を経験し、現場でのデータ分析も行います。そこでは売場を改善した成果をデータで検証するレポートを毎月提出するよう義務付けているといいます。

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新入職員は1年目は接客と商品知識を身に着ける。
これも重要ですよね、1年かけてちゃんと基本的な事が身につくように育てています。
介護の現場はどうでしょうか。
僕自身は1年は育てる、といっていても、何度も何度も現場職員からも周りの同僚管理者からも、『まだ独り立ちさせないのか』と散々文句を言われました。2か月を超えるとほとんど毎日のように言われましたから、相当聞き流す能力がないとしんどいと思います。

まぁ、それだけ徹底して教えても、結局先輩職員の接遇や基本的な介護技術がダメならすぐにダメになってしまうので、それを見て現場を変えるにはベテランから変えなきゃだめだ、と痛感しました。
しかし、ベテランはよほど能力が高い人でないと変わりません。
なので、組織を途中から変えるというのは非常に難しいし、個人的には問題のあるベテランには辞めてもらうしかないと思っています。

ちゃんと採用した職員を1年かけて社員として恥ずかしくないようなレベルまで育てる、というのは当たり前だと思うのですが、介護の世界はそれが当たり前でないのがつらい所です。人手不足だから仕方ない、という意見も聞きますが、だからといって粗悪な商品を売ってクレームにならないなんて介護保険制度の甘えるのもたいがいにせえよ、と言いたい所です。
残念ながら、この職員が例えばトヨタが作った車だとして、接遇が悪い=エンジンの調子がエンジンの気分によって変わったり、ケアの質が悪い=ブレーキが利きにくかったりワイパーが動かなかったり・・・、ガソリンを入れても動かなかったり・・・。ひどい例えですけど、介護現場でのケアの提供というのは、そのくらいのもんだと思っています。
何等かのハンデを背負った利用者さんの人生の質を高める仕事ですから、少なくとも車であれば何不自由なく快適にドライブできなければなりません。

もっといえば、こういう育成・・・というか、職員への投資をきちんとしてこなかった介護業界が、自ら人手不足を招いているといってもおかしくないと思います。

「データ分析の研修の総まとめとして、2年目の社員には店長という重要なポジションを任せています。実験の場と割り切っているため、店舗の売り上げについてはほとんど問題にしません。その代わり、データ教育の成果が出ていないと判断した場合は、教育担当者が駆けつけ指導を行います。ワークマンでは、それくらいデータ教育を重視しています」(土屋氏)

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店長という立場が実験の場、というのは中々すごい発想だなぁ、と思いましたが、データ分析研修の総まとめとしての位置づけであって、目的はやはり育成であって、そこがはっきりしているし、そこで効果が見られなかったらちゃんと教育担当者が駆けつけて指導を行うというのは、やはり社員をきちんと育て上げるという強い意思を感じます。
データ教育が、なによりも大事だから1年2年目で徹底して教育するんだと思いますし、それがちゃんと実践できるかどうかを2年目で実地で検証する。そこをクリアすれば、独り立ち、という感じでしょうか。

介護現場でも、必要最低限の接遇と基本的介護技術をマスターできないと現場に出さない、という徹底した教育システムが介護保険スタート当初から徹底されていれば、おそらくもう少し介護業界の評価は高かったと思います。

「ワークマンでは、分析チームが実験によってわかった事実を発表する機会を設けています。そこでは仮説どおりにいかなかった失敗事例も共有しています。例えば、陳列する商品の種類は同じでも、見せ方や陳列方法によってまったく売れないこともあります。こうした失敗は貴重です。重要な教訓をみんなで共有することで、データへの関心はより深まっていると思います」

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これも非常に重要ですね。やはり成長している企業はやる事をしっかりやっている感じがします。

介護現場でいうと、事故報告書だと思いますが、こういう失敗の報告を、こういう視点で作成したり報告したりしている介護職は、ほんの数名にしかあったことがありません。
多くの介護職が、まず書く事を嫌がります。
その時点でこいつだめだな、と思ってしまうのですが、書くことで振り返るし、どうしたら再発が防げるかの糸口が見つかる可能性があるんです。
同じ事故はないにしても類似した事故は防げる可能性が高くなります。

反省分みたいな内容を書いてくる職員は論外です。
職員一人が反省したところで何も変わりませんし再発も防げません、ただの時間の無駄ですし、だいたいそういう内容を書く職員は、本当に反省したり再発を防止しようという気持ちで書いて無くて、書けと言われたから書いているだけの人が多いです。

何も言わなくても当事者でもなくても、私が書きますという職員がいます。
こういう職員は、その事故の場面だけではなく、その前後の状況や周りの状況、職員の動きなど全体を俯瞰した上で再発の提案を示してくれます。
こういうのが本当の事故報告書なんですけど、何度研修で口酸っぱくいっても何回も何回も説明して書かせても、意識が変わらない職員は本当に変わらないんですよね、ここを変えたいんですけど、まだ糸口が見つかりません。

事故報告の共有の場でも、職員を責めるような内容ではないのですけど、なぜか事故が起こる=自分たちが悪い・・・と考えてしまうようで、再発防止を考える方向にきちんと意識が向いていない職員が多いように思います。

中には直接介助中に転倒するなど、ケアの方法に問題があるケースなどもありますが、それでも反省文を書く職員が多かったです。
反省してるのは見たらわかるので、再発しないためにどんな工夫と対策を考えたかを教えてほしいいのに・・・。
そこがないと助言のしようもないのですよ。

反省文ばかり書いてくる職員に、リテイクを連発して6時間も一緒に残業した事がありますが、結局何度言ってもだめでした。・・・あれは疲れた・・・。

データ活用に関してはハードルを思いっきり下げて、ちょっとしたツールを作れば、すぐ褒められるようにしました。こうすることで"ワークマンはデータを重視しているのだ"という会社の方向性や意気込みが、確実に従業員に伝えられます」

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何をどう褒めるか、は本当に大切ですよね。
データを重視しているワークマンは、ちょっとしたツールを作成すれば褒められてそれが社内で共有される。
社員も褒められる事で、これでいいんだ、これがいいんだ、と理解できますよね。

介護の業界でも、この褒める、というのはもっとどんどんとやるべきだと思います。

僕は、自分の事業所の職員には、みんなで称えあうように。と伝えています。ちょっとした何気ない事でも評価しあう事を尊重してきました。

「Excelが不得意だった、ある社員の例を紹介しましょう。その社員は、性格的に押しが強く、データよりも直感で動くタイプのSVで、Excel研修も6回以上受けていました。しかし、研修後はデータを根拠にした話ができるようになり、担当する加盟店の業績も急激に伸びました。その結果、トップクラスのマネジャーに成長しました」

結果が出るようになったのには、この社員が開発した「未導入製品発見ツール」の効果があるといいます。このツールは、Excelのフォームに店番を入れると、その店舗に置いていない製品が、他店でどれだけ売れていたか、その売上金額を順に表示するというものです。つまり、"導入しておけば、売れていた可能性があった"という機会損失を可視化するツールです。このツールを使うことで、他店で売れ行きの良い商品を仕入れようという判断につながります。

「別の社員の例も紹介しましょう。その社員はコミュニケーションが苦手で、店長からの評価は低かったものの、データを根拠にすることで、自信を持って店長に説明できるようになりました。彼は現在、商品部に移り、データ分析グループの中心的存在として難しい需要予測を担当しています。いまやワークマンにとっては欠かせない貴重な人材です。

データで話せるようになると、人は大きく変わります。自信のなかった人や、頼りなかった人が貴重な人材へと生まれ変わります。データは社員の人生を変える力があり、それは難しいことではなく、Excelから始めることができるのです。

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データを活用して報告できるような仕組みを作れば、介護現場の報連相にも有効かもしれませんね。
そういう意味では、やはり介護現場へのICTの活用は急がれるべきですし、各現場職員がデータを活用できるような育成支援のシステムも必要な課題なのかもしれませんね。

評価されていなかった職員が、データ活用ができた事で会社にいなくてはならない存在にまで成長した、というのはすごい事だと思います。

自信を持つことで成長する事ができるというのも素晴らしいですね、自信をもてるためにデータの活用が必要ともいえます。

介護現場でも、それぞれの職員が自分のケアに自信と誇りをもって提供できるような育成や研修の仕組みづくりは必要だと思います。



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