うちの農協は他の農協より大きいのか?

観光農園をやっている笠井時造さんは、80歳を超えて体はそんなに動けなくなってきたけど、話し声は覇気があって、考え方も上昇志向というか、対抗意識と言うか、負けん気というか、気力がすごい。そんな印象を受ける。

農協はうちだけじゃなくて、県内だけでもいくつもある。

全国で500とか600とか農業協同組合があるらしい。

笠井さんは昔は農協の役員もやっていて、支店の定礎石の並びにも、名前が彫ってある大物だ。

それだけ農協とのお付き合いが長いから、職員ではないけれど

「 “うちの” 農協」

という。まぁ、組合員さんの農協だから、正しい。

昨日、研修でいつもの日にちに伺えず、今日にずらしてもらい、伺った。

「すいません、日にちをずらしてもらって、ありがとうございます」

「おう!しっかり勉強してきたか」

「けっこう人数がいて、他の農協の人もいたんで、ちょっと落ち着かなかったですね」

「そんなに他の農協の職員は多いんか?」

「あ、農協自体も、いくつもの農協からの参加で、それぞれの農協から2、3人くらい来ている感じでした。1つの農協ではうちの農協が一番職員が多く来てはいました」

「そんなに大きいんか?うちの農協は」

「そうですよ!県内で一番大きいんですから」

「じゃぁ、日本でも上の方か」

「んー、いやぁ~どうですかね」

「違うんか?」

「例えば奈良県の農協は合併が進んで、1つの県で、1つの農協になって、JA奈良県ってなっていますから、そういった1都道府県で1農協になっているところがあると、さすがにうちではもっと合併が進んだりしないと・・・」

「そうか、奈良県は一つで、一つの農協なのか!」

「はい」

後で調べたら、うちは全国で貯金高が上位ではあるけど、そんなに上でもなかった。

日本全国、どこにでも農協は必ず管轄をもっている。

JA共済の契約は、農協が違っても、おおもとの全国農業協同組合共済連合会(通称:全共連:ぜんきょうれん)が全国組織だから、転勤や結婚で別の農協の管轄内に引っ越しても、新居に近い農協の支店に証書を持っていけば契約を引き継いでくれる。

あ、建物に保障を掛ける建物更生共済と火災共済は引き継げないこともあるけど。

JAバンクの貯金やローンの金利は、農協ごとに商品を個別に用意してるから多少の違いがあり、これらは引き継げない。

共済は、入院や後遺障害や死亡や満期、年金といったお金の受け取りもあるし、若い時に加入した契約を、歳を重ねてから解約して入りなおすのはもったいないから、転居があったらその地の農協に引き継げるし、保障と利回りは同じままだ。

だから学資保険と個人年金保険だけをJA共済で加入する人は多い。

いつしか合併が進み、笠井さんが喜びそうな、日本でトップクラスの農協の組織規模になる日はくるのだろうか。

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