鮮やかなミスリードと嬉しい裏切り 映画『オリエント急行殺人事件』
この作品の次作にあたる『ナイル殺人事件』から観てしまったんですが、そこまで繋がりがあるわけではなく今作は今作でしっかり完結していたので良かったです^^(一話完結というのは分かっていても、少し不安でした...)
『ナイル殺人事件』とはまた違ったポアロが観れてちょっと意外でした。
この記事は映画『オリエント急行殺人事件』のネタバレを含みます。ご注意下さい。
あらすじ
トルコ発フランス行きの寝台列車オリエント急行で、富豪ラチェットが刺殺された。教授、執事、伯爵、伯爵夫人、秘書、家庭教師、宣教師、未亡人、セールスマン、メイド、医者、公爵夫人という目的地以外は共通点のない乗客たちと車掌をあわせた13人が、殺人事件の容疑者となってしまう。そして、この列車に乗り合わせていた世界一の探偵エルキュール・ポアロは、列車内という動く密室で起こった事件の解決に挑む。
超豪華キャスト
ジョニー・デップ(今回は”らしさ”が控えめでしたが)を筆頭として『スター・ウォーズ』のデイジー・リドリー、『スパイダーマン』グリーンゴブリンのウィレム・デフォーなど個人的に嬉しすぎる配役でした...
肝心のポアロはというと『ナイル殺人事件』の時から「あまり観たことない俳優さんだな...」と思っていたんですが、まさかの監督本人でした。
もう見逃すことはないと思います笑
「おそらく世界一の探偵です。」
『ナイル殺人事件』と比べて(本来の順番としては今作のポアロを基準に『ナイル殺人事件』のポアロを観るべきなんですが...)変人っぷりに拍車がかかり、少しだけナルシストっぽさも出ていました^^
卵のくだりをやっておいて「朝食を食べれなかった;;」とぼやく場面は「何を言ってんだこのおじさんは」となりそうなところなんですが、計算され尽くした推理の披露によってどうでもよくなってしまいました笑
ベネディクト・カンバーバッチがシャーロック・ホームズを演じたドラマ『シャーロック』でも独り言のような推理シーンがあったものの、今作のポアロほど芝居がかかった推理をするキャラクターはあまり知りません。
トントン拍子に進む推理と有無を言わせぬ断言っぷりにいつの間にか聞き入ってしまいました^^
見出しにした「おそらく世界一の探偵です。」というポアロのセリフも、観終わるとあながち間違いではないと思います笑
鮮やかなミスリード
原作の小説がどうなのかは分かりませんが、今作にはまんまと騙されました...
序盤のブークのセリフや途中の容疑者など、こちらを惑わせてくるシーンはいくつもあるものの、最も印象的だったのは終盤にトンネルの入り口で13人が横並びになっているシーンです。
明らかに「最後の晩餐」を意識した構図になっており、13人の中にユダ=裏切者=犯人がいるとどうしても疑ってしまいます。
ところが犯人はまさかの...
なかなか味わえない、「してやられた感」を楽しむことが出来ました^^
嬉しい裏切り
13人の中の裏切りではなく、名探偵ポアロの裏切りに驚愕しました。
探偵と言えば犯人を見つけ、法律で裁けるようにするイメージしかなかったんですが、今作では見て見ぬふりをするという探偵としては衝撃的な決断をします。
この決断によって私の中のポアロ像が大きく変わりました。
軽い言い方をしてしまうと「話の分かる名探偵」なんですが、探偵としてはダークヒーロー的な立ち位置になったんだと思います。
単に高い推理力があるだけでなく、独自の尺度で道理に沿った決断ができるからこそ「世界一の探偵」なのかもしれません。
最後に
相変わらずキャストもセットもゴージャスで、旅行気分も存分に味わえました^^
想定の何倍も衝撃的な内容で、当分は頭から離れそうにありません...
ポアロもとんだ休暇になりましたね(^-^;
最後まで読んでいただきありがとうございました!!
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