画面が「劇場で観てるよな?」と語りかけてくる;; 映画『ナイル殺人事件』
1978年に公開された昔のバージョンは小学生のころ祖父と一緒に観ました。
ほとんど内容は覚えていなかったので新鮮な気持ちでストーリーは楽しめたものの、劇場のスクリーンで観るべきだったとめちゃくちゃ後悔しています;;
公開当時に無理矢理でも時間を作って観に行けばよかったです…
あらすじ
エジプトのナイル川をめぐる豪華客船の中で、美しき大富豪の娘リネットが何者かに殺害される事件が発生。容疑者は彼女の結婚を祝うために集まった乗客全員だった。名探偵エルキュール・ポアロは“灰色の脳細胞”を働かせて事件の真相に迫っていくが、この事件がこれまで数々の難事件を解決してきたポアロの人生をも大きく変えることになる。
シアター?ジェニック
序盤のピラミッドを空撮するカットやナイル川に浮かぶ豪華客船、薄暗い遺跡など、シアターの大画面で味わうべきだと素人目にも分かる映像ばかりです…
もちろん他の映画もスクリーンで観るに越したことはないと思いますが、今作は特に劇場向き、言うなればシアタージェニックなつくりになっていたと思います。
サロメのブルースも大音響で聞きたかったです;;
ド安定のアガサ・クリスティ
この前作にあたる『オリエント急行殺人事件』を見逃していたので、ブークとポアロの関係を詳しくは知らなかったんですが、それでも楽しめました。
元々映画館で観るべき作品として映像面が強く押し出されていた作品だったと思います。
ですが、いざ観てみると一クセも二クセもある登場人物、その特徴が活かされた複雑に絡み合う事件に釘付けになってしまいました。
主人公ポアロはもちろん魅力的ですが、序盤からヤバそうな雰囲気全開のジャッキー、思想強めのスカイラーおばさん、口を開けば皮肉が湧いて出るバークの母親が特にお気に入りです笑
観始めて1時間ほどは各キャラクターの掘り下げ、関係の匂わせが中心なので、こういった強烈なビジュアル、物言いをする人がいるとちょうどいいアクセントになって飽きずに観ることが出来ました^^
事件とラスト
事件は簡単過ぎず難解過ぎず、それでいて解決しても余韻が残る、ミステリーに求めたいものが全てそろったような展開でした…
殺人に関して「誰が、どうやって」の部分はもちろんミステリーとして気になりますし、「何故」の部分がポアロの重厚なドラマにもなっていました。
最初のポアロと恋人のシーンは途中まで何のためにあるのか分からないんですが、最後まで観てみるとポアロという探偵の孤独さ、もの悲しさを補強する大事なシーンだったと分かります。
亡くした恋人への想いを紛らわすために謎に取り組んでいるのか、それとも自分の推理力が原因で彼女を殺してしまったことを悔い、自分から愛を拒んでいるのか分かりませんが、いずれにしろこの映画の中では最も孤独なキャラクターだったと思います;;
周りの人が事件に巻き込まれるという探偵ものの性質上、主人公のドラマに孤独が絡んでくるというのは当たり前のことなんですけどね(^-^;
最後に
本当のラスト、サロメが歌うクラブに足を運んだポアロは彼女と結ばれるんでしょうか。
自分が原因で恋人、友人までもを失ってしまった彼が人と深い関わりを持つ姿はなかなか想像できませんが…
兎にも角にもスクリーンで観たかった映画筆頭です;;
最後まで読んでいただきありがとうございました!!
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