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コロナウイルスで風俗はどうなったか

こんにちは、はじめまして。とある風俗嬢です。
都内で、昼職につきながら風俗で働いています。

今回は、コロナウイルスによって自身のまわりがどのように変化していったかを思い出しながら、残していこうと思っています。

これを残そうとしたきっかけはいろいろあるのですが、何よりも大きかったのが、移籍しようと面接を受けたお店があと数週間で閉店するということが面接前日に決まり、そして面接が中止になったことです。


まず時系列で風俗嬢目線でコロナウイルスによって、身の回りの風俗業界に何が起きたかをまとめておこうと思います。

★タイトル横の【】内は、
私…私自身におきた出来事
周り…SNSや、店舗内で見聞きした情報
を指します。

外国国籍のお客様お断り【私】

お店から、「外国人のお客様がきたけど、たぶんアジア圏の人。怖いなら断ってもいいよ」と言われた。(2020年2月上旬ごろ)

これが、一番最初の身近にコロナウイルスを感じるきっかけとなった出来事でした。

まだ、このころは閑散期ではありましたが、それでもまばらにフリーのお客様が来てくださいました。
この発言がきっと正しい、とか正しくないとか差別だとか、いろんなことを考える方がいらっしゃるかと思います。(きっとこういう判断をすることは、よくなかったとは思っています)

でも、当時の私はそんなことよりも『危険を自らジャッジすべき』状況が身近にやってきていたことに、ハッとさせられました。

そのころ、武漢市では1月23日から市内の交通網が閉鎖されており、
参考:武漢で交通機関を閉鎖 新型コロナウイルス、死者17人に

国内の出来事として、厚生労働省によれば1月15日の初感染者が退院しており、2月に入って、同省が各国の感染者数および死亡者数を掲示しはじめました。
参考:新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について(令和2年2月4日版)

ただ、世の中におけるコロナウイルスへの見方が変わり始めたのは、国内で初の死亡者が出た2月13日が一つ目の境目だったように感じます。
参考:新型肺炎、国内初の死者 神奈川県の80代女性

海外での死亡例は聞いていたものの、国内で出た初の死亡例。
高齢者だから体力がもともとなかったとか、そういう判断もあったかもしれませんが、それ以上に「死」ととなり合わせであるということを思い知らされたのかも。

風俗業界における閑散期はこの2月だとよく言われますが、とにかくひどかったです。一日を通して金曜でもお客様が全然来ない。
給料日を過ぎても。
そして、それは3月に入ってより深刻さを増した気がします。

閑散期が過ぎたはずなのに、お客様が来ない【私/周り】

忘れもしない、2020年3月。このころから、より一層お客様の足が遠のいたように感じます。ちょうど、全国でいろんなコンサート、ライブが一斉に自粛・中止となった日の後。正確には2月20日に、国からお達しがきました。参考:厚生労働省 イベントの開催に関する国民の皆様へのメッセージ

以下は参考までにですが、SNSのトレンドなどから数値でコロナウイルスによる影響が確認できたのは、2月17日からという記事があったので。
参考:潮目の変化は2月17日:新型コロナ感染拡大対策で企業のイベント中止相次ぐ

お客様が来ないって、そもそも本指名がとれていないからでしょ。
って思っていましたし、私もそう思っていたので本指名のお客様へめちゃくちゃ連絡をとっていました。

「フリーのお客様が来ないなら、ネット指名・本指名のお客様を呼ぶしかない」

2月の閑散期ではなんとかお茶を引かなかったものの、3月になって初めてお茶をひきました。

悔しかったし、悲しかったのですがそれ以上に閑散期って3月になったら終わっていたのに?という疑問が頭のなかでぐるぐると巡って、その日は茫然としながら家に帰ったのを覚えています。
そして、それは私だけじゃなかったのをSNSで検索していて少しほっとしたのも、この3月でした。

ちょっと、ここでは載せるのをためらうけど、Twitterでsince:2020-3-1で検索してみて、ああそうだった…と私も思い出しました。
このころから「初めてお茶引いた」「久々にお茶引いた」子達が増えた印象を受けます。

8~15時間待機で、お茶なんていままでめったになかった。
私はそもそも出勤時間が短いので、お茶でも仕方ないと言い聞かせましたが、この女の子たちは明日の私かもと思うと出勤が怖くなりました。

3月の出勤は数を少し減らしました。それでも2日お茶を引きました。
どちらともに4時間待機です。

営業自粛のスタート【私/周り】

こんな日が来るなんて思ってもみなかったです。

始まりは飛田新地。誰かのツイートで見たのは、4月3日。
3月31日に通知が行われ4月3日をもって全店休業開始したとのこと。
参考:飛田新地が全店休業決めた長い一日、「営業したら除名する!」

誰かのツイートがRTで回ってきて、「飛田、全店休業」というワードが信じられなくてTwitterで検索すると、飛田新地の全店休業について言及するツイートがちらほら。

ここへきて、「そろそろやばい」がもう身近に迫っていました。
緊急事態宣言がでれば、確実に店は休業するはずというツイートや、営業実態がわからないのできっと営業は続けるであろうというツイートも。

正直、この時点にきて初めて節制を開始しました。
そんなにお金をつかっていたわけではないですが、目標金額の貯金があったから絶対にそれに手をつけたくなかった。

そして、それは間もなくやってきました。
緊急事態宣言が発出されました。期間は5月7日まで。
参考:新型コロナウイルス感染症対策本部(第27回)

都内の風俗店が次々と自粛を開始しました。

ゴールデンウイークが稼ぎ時だと思っていた私にとっては、もはやいろいろ絶望的すぎてどうしようか悩みました。
ありがたいことに、昼職はリモートワークでも継続できることとなったのでリモートワーク期間へ突入し、給与は一定額もらえることになったのが救いでした。

生きる最低限のお金はある。
けど、目標への貯金額は減る。
風俗一本の方はもっと厳しい状態だったと思いますが、それでもやっぱり目標達成が大幅に遅れたくはなかったので、悔しくて期間限定で掛け持ちしていた、デリヘルに出勤希望を出しました。

そして、出勤希望日を待たずにそのデリヘルも営業自粛となり、いよいよ昼職だけで生きていく生活が始まりました。

営業しているお店に女の子が殺到している【周り】

さて、こんななかでもありがたいことに営業してくれているお店がありました。ちょうど5月に入る前です。
私はひとまず、そちらに籍を置きましたが1週間足らずで辞めました。

お客様ゼロ。

本当にあるんだ、と思ったのですがお店自体がお茶をひきました。
営業自粛が始まる前に、そういう噂は聞いていました。
吉原の某有名店で、店自体がお茶をひいたとか。
いつも予約完売の人気嬢が、お茶をひいたとか。

それでも、そのお店にはどんどん女の子が入ってくる。
出勤人数と即姫が一緒。(ダミー出勤があったようですが、確認する術なし)

みんな、7~8時間待機してるけどもう出勤2日目でなんとなく悟ってしまい、新人という箔はもはや意味がないなと感じて、新人期間を待たずにお店をやめました。

(きれいごと言える状況ではなかったけど、自分が感染したらお店にきっと復帰できなくなるなと思ったからです。復帰までに2~3か月かかるであろうことが、ダイアモンド・プリンセス号の一件でなんとなくこのあたりでわかってきていましたし、なによりこの自粛の一件でストレスがかなり溜まっていたこともあり、お茶を引き続けるのが耐えられなかったというのもあります)

それでも、周りの女の子たちは出勤している。
生きるために働くのは当たり前。
リモートワークできるなら、みんなしたかったと思う。
この職業は、そういったことができない職業だからこそ、みんな出勤しています。

でも、世間がそれを許さなかった雰囲気が出てきます。

色んな思惑が渦巻いた5月【私/周り】

自粛警察というワードが頻繁に飛び交い始めたのがこの辺りだったかなと思います。
参考:茂木健一郎氏、“自粛警察”に警鐘「営業中の店や他県ナンバー車に紙を張るために歩き回ること自体が変」

メディアにとりあげられたのは4月末、ワード自体は2月ごろからTwitterでは見つけることができましたが、この「自粛警察」が一気にトレンドになり、過激な行動に対するツイートが増えたのは、この件からだったかも。

参考:志村けんさん死去 新型コロナ感染で肺炎
3月29日の出来事です。
有名人が亡くなった、それまで高齢者の死亡は体力がないからだとか、いろいろ言われていた印象をうけましたが、一気にコロナウイルスへ対する恐怖心が伝播したなと思ったのはこの日からだった印象を受けています。

その日からより一層、自粛ムードが広がり3月の連休で自粛疲れからか出歩いていた人はどこへやら街はすごく静かになりました。
平日の夕方にも関わらず、主要駅がガラガラ。本格的に自粛が始まったなと思いました。

そうこうしているうちにゴールデンウイークに突入しました。
結局私は、家から一歩も出ずにゴールデンウイークを過ごしました。めちゃくちゃつらかったです。最初のほうにも書いた通り、ゴールデンウイークは稼ぎ時だと思っていたから。

そして、このゴールデンウイーク前からチャットレディに関するスカウトツイートを見受けるようにもなりました。
このコロナウイルスへの影響で、チャットレディを始めた女の子も少なからずいたかと思います。

ゴールデンウイークをすぎたら、本当にお店は再開されるのだろうか?その話題が多かった。自粛は5月7日には解除されないと言っていたツイートも多く見かけました。

ゴールデンウイークをすぎると、一部再開したお店もあったようですが、いわゆる姫予約のみ。女の子経由でご予約のお客様のみだったようです。

それでも再開しないお店のほうが多かったと思います。

そのため、女の子がいろんなところへ移籍していたのを見かけました。(いわゆる営業アカウントで、一時的に移籍をお知らせしているツイートもありました)
そして、このタイミングで業界を去った女の子も見かけました。

5月の半ばになるともう少し、再開しはじめたお店が増えたようにも見えましたが大々的に再開をうたっているところはなく、女の子の日記を見て再開したのだなと気づける程度です。

そんななか、一部地域を除き自粛解除が始まりました。
参考:緊急事態宣言 39県を解除 首相「県境越える移動自粛を」
参考:新型コロナウイルス感染症対策本部(第34回)

なんか、ざっくりと思い出しながら書いたので少し前後していますが。
そして、現状。

お仕事へは復帰していません。
お店は再開しているけど、お客様が来ていないという話。
本指名が呼べる子だけが出勤しているという現状から、私も出勤するなら本指名のお客様を呼ばないといけない。
呼べなきゃお茶をひく。3月のあの日を思い出して、出勤シフトは出せずにいます。

そのほかあった出来事(補足)

上でかけていなかった出来事を補足。

給付関連

・「新型コロナウイルス感染症の影響を受けた休業や失業等による緊急小口資金、総合支援資金(特例貸付)」について給付される
→緊急小口資金を貸し付けしてもらえた、という風俗嬢さんのツイートをみたのが4月上旬ごろ。2月閑散期、そして3月の客足減で困っていた女の子たちには朗報だったかも。
複数人振り込まれたっていう人を見かけたけれど、その条件はどうやらばらついていたみたいで、自治体ごとに対応が分かれるという状態だった。そのため、女の子でも窓口で追い返されたって子のツイートも見かけたけれどそのあとどうなったんだろう…。

・10万円の「特別定額給付金」の申請がスタートする
場所によって違うけれど5月1日あたりから続々と10万円の給付金の申請がスタートしていた。こっちは緊急小口資金とは規模もスピード感も違うようなので、振り込まれた報告は6月以降になるかもとのこと。
実際どうなるかはわからない…。
参考:10万円の「特別定額給付金」。必要書類などの情報を総務省が公開

・持続化給付金の申請対象に風俗業も対象になる
まさに、今現在申請のためにいろいろ調べている人もいるかもしれません。なお、2020年5月12日に確定した模様。
参考:持続化給付金、性風俗業も対象

最後に

給付金の話が出たときに、「風俗嬢に給付金を渡す必要なんてない。ただでさえ稼いでるのに、貯金してない奴が悪い」
このツイートをめちゃくちゃ見かけた。

「生活保護をうければいい」
これも見た。

貯金ができない状況だとか、本人がどういう状況なのかとか、想像力が欠けているのか、それとも自分も苦しいからお前も苦しめという思想なのかわからないけど、生きることってこんなに難しいんだなって感じた。

そして、一番ショックだったのは風俗を上がった子が、同じセリフをつぶやいていたこと。

びっくりしたし、もう、ただただ悲しかった。

風俗嬢は福祉をうける資格なんてないって、言っている人が身近にいたことがショックだった。

この業界以上に、稼げる女性の職業があるのか。
同じ条件で、体調にも、病気にも配慮してもらえて、学歴も、職歴にもとらわれず、短時間で稼げる職業ってあるのかな。

コロナウイルスの一件で、めちゃくちゃ疲れた。
5月も中旬に差し掛かろうととしているけれど、この一件が収束してまた元通りになるわけではないと思う。

まったく新しい生活が始まって、性病検査と一緒に抗体検査結果を写メ日記にあげる日がやってきそう。

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