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笠を被った僧侶が

笠を被った僧侶が
子どものわたしに道を尋ねる
杖を持たないわたしは
「できません」と諦める
ニコリと泣いた僧侶は
笠を外して虚空に回しだす
いびつに楽しんでる土煙たちが
時計を壊しはじめた
そこで生まれた世界で
卑弥呼がスマホアプリで占ってる
嬉しくなったわたしは
時計を喰らいつくしていく
狂う心臓を嘗めたら
僧侶が笠を破る
地面と同化したわたしに
彼は経典を差し出す
でもわたしは獣のレンズで
首を振るばかり
平成に精製された血液には
昭和の匂いが混じっているから
嘆いて躍り出した僧侶は
わたしの肝に経典を押し込んで
鎖をほぐすための
素肌とひよひらの呪文を唱えた
わたしは立ち上がって
赴くべき西を指さす
僧侶は再び笠を被って
逢魔が時に沈んだ






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