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葉桜

伝えたい言葉は春の訪れと一緒に
背伸びした青空へ吸い込まれていった
咲きはじめだけが取り柄の桜のように
きつく吹いた風に負けてしまいそう

本物のお姫様になりたくて
はりぼてのお城に棲んでいる
そんなの「かっこわるいよ」と
わらう君がいる

わたしがいつもとおんなじ
「元気」で在るために
並べた噓八百 浮かべた笑顔を
いまだけは 忘れていいかな

葉桜 まだらに複雑に
色づく姿のまぶしさが
なんだか とてもきれいに見えるよ

葉桜 取りこぼした朝日を
追いかける一途な哀しさが
なんだか 今日のだれかに似てるよ

心のひび割れから漏れ出した
何気ない日々のフラッシュバック
わたしの軟な体内時計なんて
簡単に狂っちゃった

本当の感情に気がついて
必死に咲かすまいとした恋心
馬鹿みたいなモザイクな気持ちを
君の色で染められたらいいのに

わたしがあの日とおんなじ
「友達」では居られないから
捨て去った夢と 選んだ道を
いまだけは 踏みしめていいかな

葉桜 いつしか巡りくる
希望に満ちた春の景色が
なんだか とても近くに思えるよ

葉桜 のみこんだ涙を
誘いだすような あざとさが
なんだか 今日のだれかを泣かしているよ


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