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【地声⇔裏声】ミドルボイスに繋がる声

toAミドルボイス構築コーチです。

今回は「ミドルボイスに繋がる声」についてお話します。

何度、音階練習をしても繋がらない
繋がっているのかわからない
音程が高くなると詰まる

ミドルボイスを練習していて、このような悩みを抱えている方々の参考になれば幸いです。



ミドルボイスに繋がらない原因


ミドルボイスを習得する上で多くの人がつまずいてしまうポイントがあります。

それは地声と裏声が切り替わってガラッと声質が変わってしまうことです。

特に声帯が長いという特徴がある(地声が低い)方は
その差が大きく出てしまいます。

さらに、
そのガラッと声質が切り替わってからの声(ほぼ裏声)が、多くの曲でサビの音域にあたるため、
ご自身が思い描く歌いたい声質ではないかと思います。

「練習しても切り替わるところがうまく繋がらない!」


というお声が聞こえてきそうですが、


繋がらない原因は

切り替わってしまう音域よりも低い音域の段階

で、すでに起こっています。


つまり、

ご自身が地声(チェストボイス)と感じている声の段階

で起こっているのです。


「どういうこと?」


と、疑問を感じていらっしゃると思いますので


まずは
ミドルボイスについてみていきましょう!



ミドルボイスのベース


表声ベースと裏声ベース


ミドルボイスは
地声と裏声のどちらを発声のベースにするのか?
によって、大きく2つに区分することが出来ます。


地声を発声ベースとするミドルボイスを
表声ベース

裏声を発声ベースとするミドルボイスを
裏声ベース

といいます。

表声ベース
[メリット]
ダイナミックで力強い表現が出来る
歌詞が伝わりやすい

[デメリット]
繊細なコントロールが難しい
呼気を多く使い身体や喉への負荷が大きい

裏声ベース
[メリット]
共鳴感や透明感があり繊細なコントロールがしやすい
呼気を必要最低限使い身体や喉への負荷が小さい

[デメリット]
ストレートでダイナミックな力強さが足りない
言葉の説得力が伝わりにくい

といった特徴があります。


これらの特徴から2つの発声ベースには
身体や喉への負荷の違いがあります。

表声ベースは呼気を多く使うため身体的な負荷が大きく、長時間の歌唱を行なうには非常に体力が必要となります。
また、長期間に渡って使用し続けると、喉を壊してしまう可能性があります。

一方、裏声ベースは身体的な負荷が少なく、
音程のコントロールや繊細な表現がしやすいため、
多くのプロミュージシャンが基本的な歌唱方法として
使用しています。

この2つのベースのミドルボイスは
歌唱時に使い分けたり、瞬間的に切り替えること
が可能です。

負荷の違いやシンガーとして長く歌っていくこと
を考えると、
裏声ベースを目指すことが重要である
といえます。

裏声ベースのミドルボイスを習得するには、
さまざまな筋肉群の作用が必要となってきます。

そこで、
もう少し詳しく喉の筋肉からみてみましょう。



輪状甲状筋の作用と仕組み


喉の筋肉は

内喉頭筋群外喉頭筋群舌筋群口蓋筋群
と大きく分類出来るのですが、

今回は内喉頭筋群(喉の内側の筋肉)の一つ、
音程をコントロールする、輪状甲状筋
という筋肉をみていきます。

斜部と垂部

輪状甲状筋は
図のように左右に2腹、計4つの筋肉から構成されています。

垂部と呼ばれる部分は音程が大きく動くとき
斜部と呼ばれる部分は音程がなだらかに変化するとき

に作用します。

輪状甲状筋が作用すると、
声帯は前後に伸展して薄く引き伸ばされます。

身近なものとして、
輪ゴムで実際にお試しいただきたいのですが、

輪ゴムを前後に引っ張って弾くと
引き伸ばす前に弾いた音程と
引き伸ばした後に弾いた音程では、
引き伸ばした後の音程の方が高いことが
確認出来ると思います。

声帯も同じく、

高い声を出すためには声帯を引き伸ばす必要がある

ということです。


輪状甲状筋の動き


実際に喉の中ではどういう動きをしているのでしょうか?

輪状甲状筋が緊張・収縮すると、
輪状軟骨が甲状軟骨に引き寄せられます。

これにより、声帯の後部が後方に引っ引っ張られます。
その作用を受けて甲状軟骨が若干、前に傾きます。
甲状軟骨が前方に傾いたことにより、声帯の前部が前方に引っ張られます。

これら一連の作用によって、

声帯は前後に伸展すること

ができます。


輪状軟骨が甲状軟骨に引き寄せられる

という動きは、

輪状軟骨が最初に前下方にスライドし、
その後、回転運動を起こして、
甲状軟骨に引き寄せられます。

スライド運動を担うのが、輪状甲状筋の斜部
回転運動を担うのが、輪状甲状筋の垂部
とされます。


「ちょっと、何言ってるのかわからな...」

と、お思いの方もいらっしゃるかと思いますので、


シンガーさんに必要なことは

ミドルボイス発声時には、
輪状甲状筋の斜部と垂部が両方使われていなくてはならない

ということです。

この斜部と垂部は使用する割合をコントロールすることが可能です。



喉頭ポジション


喉頭ポジション(発声ポジションとも呼ばれます)
というものがあります。

この喉頭ポジション(喉頭の位置)が

高い→裏声優勢に発声できる
低い→地声優勢に発声できる

という特徴があります。

外喉頭筋群(喉の外側の筋肉)をバランス良く使い、
さまざまな引き上げ筋により
偏りなく喉頭の位置を引き上げることで、
ミドルボイスに繋がりやすい声が発声できます。

ここで勘違いされやすいことは
ハイラリンクスという状態です。

ハイラリンクスは
舌根や舌骨を上げることにより、偏った喉頭の引き上げ方で、この状態で音程を上げようとすると、
甲状舌骨筋などが優勢に働き、力みや声帯が開いてしまうといった状態が起こります。

喉頭ポジションを上げるときに
主に使われるのが、口蓋咽頭筋と呼ばれる筋肉になります。

口蓋咽頭筋は
軟口蓋と喉の奥を繋ぐ筋肉で、
喉頭を輪状甲状関節を支点として回転運動させます。

その結果、

・音程の天井を感じなくなる
・地声と裏声の行き来がスムーズになる
・共鳴感が増す
・声を張ることが出来る

といった感覚的なメリットを感じられることができます。


ここまでをまとめると、

・ミドルボイスは表声ベースと裏声ベース

・ミドルボイス発声において、輪状甲状筋が音程をコントロールして、斜部と垂部が両方使われなくてはならない

・喉頭ポジションが高い状態はミドルボイスに繋がりやすい


ということになります。



ミドルボイスに繋がる声


では、実際に

ミドルボイスに繋がりやすい声

を体感してみましょう!


今回のエクササイズは

初めから声に地声感がない方
普段から裏声のように話している方

は当てはまりませんのでご了承ください。


1.「Nn」でサイレン

口を開けて、舌の奥が軟口蓋にくっついた状態
を作ります。

その状態でハミングのように「んー」と
発声してみましょう。

この時に体感として、
口から声が出ているのではなく、
鼻側から声が出ている、鳴っている
という感覚があれば正しい感覚です。

正しい感覚で発声できましたら、
サイレン音のように、
音程を下から上に連続的に上がってみましょう。
音程はご自身が苦しくない範囲でおこなってください。
(地声から裏声に切り替わるところより上の音程までは上がってください)
最高音に達しましたら、
そこから元の音程まで連続的に下がります。

この時に声色が急にガラッと変わることなく、

地声から裏声、裏声から地声にスムーズに移行すること

が、このエクササイズの目標となります。

速さは重要ではないので、
ゆっくりと声色の変化に気をつけておこなってください。


2.軽い声「Ho」でサイレン

発声練習の時に、
普段、ご自身が何気なく話している「話し声」
からスタートしていませんでしょうか?

これは、喉頭ポジションのお話の部分で触れた内容
でもありますが、
ポジションが低い状態で発声練習を始めていること
になります。(地声優勢の発声)

一つ前のエクササイズの「Nn」でサイレンの時に、
鼻側から声が出ている、鳴っていると感じた体感、
これこそが喉頭ポジションが高い状態
になります。

ですので、
まずは「Ho」と発声してみます。
この時、鼻側から声が出ている、鳴っているという感覚を体感してください。
※「Nn」の時のように舌の奥を軟口蓋につけることは行わずに、通常通り発音してください。

体感しにくい場合は、
先程の「Nn」から「Ho」と移行してみてください。
同じような位置で声が出ている、鳴っている
と体感できましたら正しい感覚です。

比較してみると、
いつもより軽い声に感じられるかと思います。

この状態から
「Ho」のサイレンで音程を上下してみましょう。

地声と裏声をスムーズに行き来することが重要です。

エクササイズを積み重ねていくことで、
ガラッと声色が変化することなく、
行き来することができるようになってきますので、
継続してみてください!


最後に

いかがだったでしょうか?
今回は「ミドルボイスに繋がる声」についてお話しました。
筋肉の名前が多く、混乱してしまう部分もあったかもしれませんが、

・ミドルボイスは表声ベースと裏声ベース

・ミドルボイス発声において、輪状甲状筋が音程をコントロールして、斜部と垂部が両方使われなくてはならない

・喉頭ポジションが高い状態はミドルボイスに繋がりやすい

この3点を抑えていただければ、問題ないかと思います。この記事がミドルボイスの習得につまづいている方の
お役に立てればと思います!


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最後までお読みいただきまして、ありがとうございました!

それでは!

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