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6/7 これが人生初の帰省ってやつなのか

息子が起きてきた。
リビングに入るなり、静かに一礼をし、場所をずらしてまた一礼、そしてトイレへ向かうべく、リビングを去りゆく際に一礼した。
そこには世界一かわいい来賓の挨拶があった。

起きてきたけどまだご飯を食べたくなーいな子どもたちを放って、わたしはウインナーをはさんだパンとカフェオレを摂取した。さいこー!

息子は学校へ、わたしたちは自転車に乗る。
娘が急にあ!と言うから何事かと聞くと、顔を洗うのを忘れてたと言った。
明日からは気をつけようと今日はそのままの顔面で保育園に行ってもらう。

仕事で思いもよらぬ人から「いつも頑張っているから」と言われ、びっくりしすぎて聞き返して二度「いつも頑張っているから」と言ってもらった。
いつも頑張っていると言ってもらえるということは、存在を認めてもらえたということではないか。
感激。
この言葉、人生において何度か言われたことがあり、以前その言葉をわたしにくれた、非常に微妙な、曖昧な関係だった人物のことを思い出し、思いを巡らせ少し、複雑な気持ちにもなって思いを振り切った。

終業時間になった瞬間にわたしは自転車のペダルを漕ぎ、娘を迎えに行った。
息子にも今日はいつもより早く帰るよう伝えてある。
自転車をかーっと漕いで、息子と家の玄関の前で会えた。
今日は実家に帰る日である。
家に入り、保育園や学校で使ったものたちを洗濯し干して、荷物を持って安全に家を飛び出した。

数ヶ月前のわたしは諸々の準備を終えて、東京から地元に帰るときに新幹線を乗り逃した。
前科持ちだ。
今回は子どもたちも一緒だし決して乗り逃したくはなく、気合いが違う。
気合いというか、数日前から気を張り続けていた。
20分前にはホームに立ち、無事新幹線に乗る。
いつの間にか眠っていた。疲れていたのだ。

起きたら列車は海岸線を走っていた。
海の深い青、夜の空の藍色、そのはるか上はまだ夕焼けの名残があり明るくオレンジ。
藍色とオレンジの間が、紫からピンクのグラデーションになっている。
息子も「空が綺麗」と言った。
わたしはずっと外を眺めていた。
そのままでいて。という気持ち。

地元の駅につくと母がホームで待っていた。
実家に着き、リュックサックから玉ねぎを出すとみな呆れて笑った。
「あんた着払いで送ってくれたらよかったんに。めんどくさかったんやろ。あんたらしいわ」と祖母。全てお見通しだった。
みんなでわーわーと話す。
なんだかんだでまだ2ヶ月ちょっとの東京生活。
いい出会いに恵まれてるなという思いが人々と話すことでみなぎってきた。有難い。
今日は子らも含めて夜更かしパーティーになりそうだ。

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