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「頂き女子りりちゃん」の恋愛

頂き女子りりちゃんが話題だ。この騒動から、恋愛の構造問題について、考えたい。

それは「あなたが相手を好きに思う気持ちは、ときに相手をあなたから遠ざける」ということだ。


はじめに

りりちゃんについては、様々な報道がなされているために詳細な説明は割愛する。簡単にいえば、パパ活で男性からお金をせびる方法をマニュアルで販売していたために、りりちゃんは逮捕された。また、りりちゃんはそうやってパパ活等で得たお金をほとんどホストに貢いていた。

また、ここでこの事件の是非について議論するつもりもない。

ただ、なんて悲劇だと思う。現代社会の恋愛における闇の縮図のような事件だと私は思った。

しかし、この事件には恋愛というものがずっと昔から抱えている(その渦中にいる人にとっての)構造問題が潜んでいる。

それは「あなたが相手を好きに思う気持ちは時として相手を遠ざける」ということだ。

「どうせあなたは私のことを分かっていない」という感情

今回のりりちゃん問題では、(パパ活の)パパがりりちゃんに恋をしていて、しかしりりちゃんはパパを全く恋愛対象としては見ておらず、むしろ金づるのように考えていた。また、りりちゃんはホストに恋をしているが、ホストは(恐らく)りりちゃんをそういった対象としては見ていない、という構造があった。

つまり、下記のような片思いの構図だ:

「(パパ活の)パパ→りりちゃん→ホスト」

まさに、決して報われることのない負の鎖のように見える。しかし、こういった構図は世間の至るところで見られるのではないか。

年齢的な問題とかはともかく、もう少しパパとか、本当に自分のことを心配してくれている人の心にりりちゃんが目を向けていたら、(パパに恋をすることはなかったにしても)ホストへお金を貢ぐのを辞められたのではないかと思う。

今回の事件で最も私が悲しく思う点は、りりちゃんは自分がホストに金づるにされているという事実に(恐らく)傷つきながらも、自分自身もパパを金づるにして傷つけていたということだ。

でも、違ったレベルではあるものの、こういった構図は世間には溢れていると思う。

人によってはこう考えるだろう。「容姿や年齢の差が両思いが成立しなかった理由だ」と。しかし、少なくともこれに例示した例はもっと年齢が近い例や、容姿と関係ないところでも、世の中の至るところで起きているように思われる。

例えば、非常に美人であっても、ホストにドハマリする人がかなりの人数いることは、メディアを見ていればよく知られていることだ。

またホストにハマっている女性(いわゆるホス狂)はよく、「自分の担当(=自分が好きに思っているホストのこと)と結婚したい」という発言をよくするようだ。つまり、生涯を添い遂げたいと考えているのだ。容姿だけを本当に重視するなら、常に若いイケメンと付き合うのが最適になると思われるので、女性がその担当にハマっている理由は容姿だけではないはずだ。

この問題の根幹には、「どうせあなたは私のことを分かっていない」という感情があると私は思う。

りりちゃんは、パパの前ではいい子のフリをしている。ホストではなく、やむを得ない理由があってお金が必要だとパパには話している。だから、どれだけパパが優しくりりちゃんに接しても、「どうせあなたが好きなのは仮面を被った私。本当の私を知った後でも、あなたが私のことを好きだとは到底思えない」とりりちゃんは考えていたのではないかと、(私の勝手な考えだが)想像する。ホストもホストで、顧客に対しては「ホストという職業上の仮面を被った私をこの客は好いているだけで、本当の自分なんて好きに思ってもらえるはずもない」と思っている人が多いのではないか、と思う。

相手が好きに思っているのは、仮面を被った自分であるので、相手の「好き」という気持ちはただの相手の勝手な欲望に思えるのだと思う。

恋とは「相手を思い通りにしたい」という感情

「好き」という感情は、恋や愛に昇華する前の感情だが、恋愛という文脈の上では、世の中一般的にいえば「恋」に発展することのほうが多いと思う。

「恋」というのはその定義にもよるが、基本的には「相手を自分の思い通りにしたい」という感情だと私は思う。それは相手に「自分の思い通りであって欲しい」という感情だ。もっといえば、(片思いの場合は)相手に「自分のことを好きに思って欲しい」「自分の理想の人間であって欲しい」という一方的な欲望をもっているということだ。

つまり、非現実の押し付けだ。非現実的なことを押し付けれれば、誰でもそこからは逃げたくなる。なぜなら相手が好きに思っているのは、本当の自分ではないのだから。

理解しようとするしかない

これは他人事ではない。むしろ違ったレベルで日常に溢れていることだと思う。

「こんなはずじゃなかった」とあなたがパートナーに失望するのは、相手が自分の思っていた理想と違っていた時ではないだろうか。

また、あなたは相手のためを思ってやったことに対して、思ったような結果が返ってこなかったとき「身勝手な人だ」「冷たい人だ」と簡単に片付けてしまっていないか。

本当に自分は正しかったのか、顧みて見るべきだと思う。多くの現代人は「私のことを分かってくれている人など誰もいない」と人生の上で彷徨っているようにも思える。しかし、「分かろうとする」しか解決策はないのだ

だから、りりちゃん問題は他人事とは思えないのである。

→恋愛については、以下の記事で少し角度を変えて深堀りしているので、是非読んでいただければ幸いです。

Hikari「モテすぎて辛い男について」

https://note.com/to_hikari/n/nd246f0c00572

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