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読書感想|IDGs変容する組織
2023/6/9発行された書籍の読書感想文です。
主観に基づく率直な意見を綴っており販売促進等を意図していません。
ご了承下さい。
2016年に策定されたSDGsも、はや7年が経過。
私が当時「環境企画業務」に携わっていた時から、SDGsの重要性を積極的に上告し、2022年になって社内でようやく「サステナビリティ委員会」を設立できました。
しかしそれも、「プライム市場」に移行するための要件の一つだから進んだまでで、本質的なSDGsの社内浸透度は・・・一歩進んだかなという程度。
残念ながら表層的に知っている人が大部分です。
従業員約2000人(連結約5000人)を相手に本来の業務を担当しつつSDGsの推進を牽引するにも、孤軍奮闘で疲弊していくばかり。
そこでぶち当たった壁の一つに、
「SDGsを推進するための仲間(人材)」をどうやって増やしていくか?
だった。
その課題を解決してくれるであろう1冊が、本書だと感じました。
1.本書のベネフィット(得られる価値)
まずは本書の構成を簡単に説明します。
全4章構成となっていますが、本題は4章で、1~3章はそれらを理解するための前提知識の解説が中心となっています。
1~3章はサステナブル経営を実践するための多角的な視点を養う内容です。
環境、SDGs、社会貢献、CSV/CSR、マーケティングなどを知っていたので、人材マネジメントや経営学のパートをざっくりと理解するのに役立ちました。
幅広く知識を得たい方にはちょうど良いと感じます。
4章は本題だけあって情報密度が高くなっています。
理解を促すための例えを多用しており、著者の配慮を感じます。
しかし、忖度なく表現すれば、THE・教科書といった雰囲気です。
しっかり集中して読むことをオススメします。
巻末にはIDGsToolkitというワークに使用する資料(の日本語解釈版)も掲載されています。
私はまだ使用していません。今後の活用事例に期待ですね。
紙面では要所でグラフや実際にワークでの使用を意図した図解表現はあるものの、全体的には言葉の解説が多いので、直感的・視覚的な理解には苦労します。
ですから、本書を読んで、自らの手で図示化するなどの工夫の余地があります。IDGs自体、日本初上陸といった位置づけですから当然だと思います。
本書のベネフィットは、
サステナブル経営に関連する背景や状況を知ることができる
IDGsを本質的に理解できる
ことでしょう。
2.どんな読者に合うか(期待価値)
私自身、冒頭述べたようなSDGsの牽引役を担っていたからこそ、そういった理解者・仲間を増やす必要性を感じていました。
そういった企業内での人材育成の一手を考える人には本書を活用できると感じました。
書籍のタイトルにもある「変容する組織」という言葉から連想するように、「組織」に「変化」を促す意図がIDGsにあります。
組織に限らず自己啓発の一部として活用できるとも思いますが、やはり人材育成マネジメント手法の一つであるため、マネジメントする立場の人から手に取ってほしいと願います。
どんな読者に合うかというと、
組織に柔軟な思考をもたらせたいマネージャー
サステナブル経営を人の内面から始めたいと感じている人
といった感じです。
3.どんな場面で活かせるか(利用価値)
それではいよいよ内容に触れていきます。
※私自信全てを正しく理解できたわけではない旨ご容赦願います
4章はP196~P301にわたっていますが、まず初めに一番印象に残った文章から紹介します。
VUCAの時代で多くなるのは、正しい問題に対して間違った解決策をとってしまう失敗よりも、間違った問題を解決したから失敗してしまうことの方が多くなるだろう。
もちろん他にも無数の格言が本書にも存在します。
しかしながらこの一文は、環境企画を長年勤めていた自分には痛いほど刺さりました。なぜなら、環境・社会問題は利害が複雑に絡み合い、それぞれの立場から見た者同士の意見は必ず対立するという実体験を幾度となく経験してきたからです。
実際に、一方の意見に傾注することで他方の問題を握りつぶす、またはその理由探しに奮闘する。そういった会議は大変苦労しました(結局上手く解決した、という手応えはほとんど感じないまま)。
そんな状況を解決するために、集団で情報を追加したり対話することで合意形成することの必要性を、センス・メイキングという言葉で説明されています。
言うが易しとすぐにリアクションしがちですが、こうして言語化されている事は感謝すべき事です。
・・と、たった1文でも感銘を受け、共感が得られてしまう。
何度も何度も読み返すことで理解が進む、懐の深い本です。
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23のターゲットスキルを全て解説しています。
5 行動する 変化を推進する
の項目では、人としての内面にフォーカスされています。
特に(4)粘り強さについて、内側から伸ばす方法と外側から伸ばす方法など、一般的には精神論で片付けられる場面も言語化されているため、日本人にとっては良くも悪くも衝撃的だと思います。
IDGsに触れる段階である程度の思考の柔軟性は必要だと思うと、活用の場面も敷居の高を感じるかもしれません。
それでも、どんな場面で活かせるかというと、
集団(組織)単位での方向性の議論を先導したい時
自身の経験から得た精神的・定性的な教えを言語化して伝えたい時
などが想像できました。
この項の結論は私の感想であって、活用の場面は手に取った読者の数だけ存在するはずです。
是非、多くの人の手に渡り、色んな意見や感想が著者に届くと良いですね。
4.結論
初めて目に触れる人には、率直に言えば難しい。
しかし、自身の経験や知識に合致すると「良くぞ言語化してくれた」と感じる文章がそこら中に散りばめられています。
多くの経験をより自身の成長の糧になるように、効率よく、吸収力を高めてくれる、という手法をIDGsは教えてくれるのです。
「組織」を「変化」させることは簡単ではありません。
だから、一人ひとりの内面の「変化」を促す必要があるんです。
殺伐とした現代社会を、少しでも良くするために。
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