トンネルを抜けるから、眩しいのさ。【後編】
世の中の理不尽さを、あなたは受け入れることができますか?
唐突な問いに困惑すると思いますが、例えばニュース番組を見れば毎日のように凄惨な事件を目にします。そういった情報で心を痛めていたり、行き場のない憤りを感じている人は、理不尽さを受け入れることが苦手かもしれません。
それは、「なんとかしたい」という「善意」が根底にあるからだと思います。
そんな「善意」こそ、人として社会的・文化的に必要不可欠なものです。
ところが、そんな「善意」はとても壊れやすく、いとも簡単に踏みにじられます。
善良な行動を通じて「世のため人のため」を地で行く人が、報われないどころか大きな損失を負う事を、何度も目にしてきました。
私自身、世のため人のためという大義に重きをおいて社会貢献活動に尽力してきました。
それが当たり前で、「善意」は誰しも持っているものだと信じてきました。
・・・しかし、残念ながらそういった「善意」を持った人々のほうが、世の中は少数派だという事を、会社生活15年を経て気づきました。
そして、私自身の善意が踏みにじられることを経験しました。
しかし、そこから再起することもまた、経験することができました。
4.生き地獄
「組織」に負け、管理者にたてついた代償は思っていたより小さかったです。
物理的・精神的な苦痛を浴びることもなく、ただ仕事を回されないだけです。灯りのついたトンネルに「どうぞこちらへ」と誘導されたような感覚です。
会社生活で過ごす時間の大半が、上司や同僚たちが右往左往している情景を見ているだけになりました。
会社生活を無味無臭で過ごしたいと思っている人には楽園でしょうね。
それほどに時間を持て余すのであれば別の事に集中すべきだと思う方もいるかもしれませんが、「善意」が崩壊しているとそもそも「その気」にならないのです。むしろ満たされない欲求が増長され、本能的なモノにしか惹かれないようになります。
追い詰められるような閉塞感はない。
楽園のごとき開放感に溢れている。
しかし、得体の知れない不安(出口がどこに繋がっているかわからない)こそ、本当の生き地獄なのかもしれない。
こうして1年の間、トンネルの中で確実に自分が腐って行く感覚を覚えました。
5.社会実装例との出会い
前編から通じて、意図的に「善意」という単語の意味を説明していません。
実は当時は具体的なことは何も考えていなくて、「何か世のためにしたい」という空虚な希望的観測=なんとなくそう思ってた、という程度でした。
だから、
『で、何をしたいのさ?』
そんな問いかけに対する答えすら持ち合わせていませんでした。実際聞かれたことは無かったし、「組織」の中ではそんな事だれも聞いてきません。
今思えば、中身のない「善意」だけを主張していても、誰からも相手をされないのは当然でした。
気持ちだけでは、共感や同調を得られないのが社会だと思ってます。
だから、こんな状況の中で光を見いだせたのは「具体的な社会実装例」だったと思います。
当時、SDGsがちょうど良かったと思っています。
「何か世のためにしたい」というわかりやすい善意を形にしていたからです。本業で環境企画を担当していたことから、自然と接点を持てたのもラッキーだったのかもしれません。
こうして、「なんとなく」程度だった善意に、具体性が加味されていく事になりました。
6.善意を揺り起こす
「善意」は誰しも持っていると信じています。
しかし、大半の人が具体性を持っていないと感じています。
理不尽な現実によって、諦めたり忘れたりせざるを得ない状況も多々あると思います。
そして、「組織」という仕組みの中では、「善意」を育むことすらできません。
だからこそ、社会実装例の中に飛び込み、周囲にいる人の「善意」を揺り起こすことが重要ではないかと思っています。
私一人で「善意」を形にすることに挑戦するより、多くの人の共感を呼び集めるほうが成果もより大きいものが期待できるようになるはずです。
SDGsを紐解くと、ビジネスへ視線が向きます。
そんな中で、ビジネスの世界では「熱意」が重要だと説かれる本を見かけますが、それは「最後には」だと思います。
その前にはやはり、具体的なロジックやスキームを考え抜く論理的な思考と、それを支える知識、形にする行動力など、あらゆる要素が必要だという事も知りえる契機になりました。
単なる「お人好しの善意」から、ソーシャルアントレプレナーへ。
善意を叶えるための答えは、これだと思います。
🌱🌱🌱
世の中は、思っていた以上に理不尽です。
でも、その理不尽さに抗うために「善意」が生まれるものだと思ってます。
今まで当たり前だと思っていた世の中にも、善意は溢れています。
トンネルを抜けると、同じ景色でも眩しさを感じるように。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?