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連載記事#01|心に響く環境方針の作り方《ISO14001解説》

この記事は連載記事となっております。
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心に響く環境方針が大事な理由


本来、環境マネジメントシステムとして環境方針は「1番目」ではありません。
しかし、最初の記事として取り上げる理由があります。
それは、環境方針とは環境活動のポリシーだからです。

そもそも環境マネジメントシステムは「組織」として構築するものです。
組織とは複数の人が存在する集団。
そんな状況で、バラバラな考えで個人個人が活動しても大きな成果が得られない・・・と言えば想像しやすいと思います。
組織の活動を統制するには、ポリシーが必要です。

そして、ポリシーとして大事なのは「親しみやすさ」「わかり易さ」です。複雑で難解なポリシーでは、活動の歩幅が噛み合わず組織にいる人達が迷子になってしまいます。

だからこそ、心に響く環境方針が大事なのです。


1.環境方針の作り方


ポリシーなので、やはり語呂の良さや自分たちの組織の特徴をイメージしやすいキャッチーなものが良いです。私の独断と偏見でキャッチーな環境方針をピックアップしてみました。

どうしてもISO14001へ適合させなければならないので、環境方針はどの企業でも似通ってしまいます。
そんな中、独自のキーワードを盛り込むことで独自性や差別化を図ることは実はなんら問題ありません。
むしろ積極的に打ち出すものです。

2.条件(ISO14001への適合)


前述した通りISO14001では環境方針に対する制約条件があります。

5.2 環境方針
トップマネジメントは,組織の環境マネジメントシステムの定められた適用範囲の中で,次の事項を満たす環境方針を確立し,実施し,維持しなければならない。

a) 組織の目的,並びに組織の活動,製品及びサービスの性質,規模及び環境影響を含む組織の状況に対して適切である。
b) 環境目標の設定のための枠組みを示す。
c) 汚染の予防,及び組織の状況に関連するその他の固有なコミットメントを含む,環境保護に対するコミットメントを含む。
注記 環境保護に対するその他の固有なコミットメントには,持続可能な資源の利用,気候変動の緩和及び気候変動への適応,並びに生物多様性及び生態系の保護を含み得る。
d) 組織の順守義務を満たすことへのコミットメントを含む。
e) 環境パフォーマンスを向上させるための環境マネジメントシステムの継続的改善へのコミットメントを含む。

環境方針は,次に示す事項を満たさなければならない。
− 文書化した情報として維持する。
− 組織内に伝達する。
− 利害関係者が入手可能である。

JIS版

長いです。この文章の理解が、ISO14001で最も嫌われる要因です。これらを理解しやすくするHowToについては今後別記事で解説します。まずは上記内容を簡単すると、以下のように表現できます。


組織の経営層は、下記a)~e)を満たす環境方針を作って、それに基づいて行動し、一定期間に見直しをして継続する。


a)組織の事業目的、事業範囲、事業内容、事業組織と環境に与える影響と合致していること
b)環境目標を設定するための基準となること
c)環境汚染をしないこと、組織として固有の環境問題への配慮、気候変動、資源循環、生物多様性に関する宣言
d)環境に関する法規制や業界基準を守る宣言
e)環境に配慮した結果を得られるまで継続的に改善することの宣言


作った環境方針は、文字で表現され、組織の中の人達に伝達し、お客様、株主や地域住民などのステークホルダーが入手できるように公開や配布をする。

環境方針の意訳(作:黒田誠太)

大きく分けて3つの制約となります。
②は環境方針を作る時の「前提条件」
①と③は環境方針の「管理条件」となります。


3.よくある失敗例


さて、ついついISO14001への適合に気を取られ、「難解な文章」や「ISO14001の条件そのまま」な方針になりがちです。

例えば、c)の条件については以下のような失敗をよく目にします。

  1. 「汚染の予防」に対する宣言が抜ける(後述されている気候変動や資源循環に意識が集中する)

  2. 「気候変動を抑制します」と、手段を述べずに項目のみ宣言する

  3. 「組織の固有の宣言」が無い

特に2.の手段を述べないという失敗は致命的です。
ISO14001では不適合にならないレベル感がゆえに、気づきにくい失敗です。

環境方針は、組織の人が活動を行うために策定されるのですから、
●●をすることによって、気候変動を抑制します」
と手段を述べることが必須です。

加えて「組織固有の宣言」は、自由度が高いがゆえに省略もしくは単なる説明文になりがちです。
冒頭で述べたキャッチーなフレーズをここで用いるべきでしょう。

4.まとめ


今回は、なぜ心に響く環境方針が必要であるか、その理由と方法について解説しました。

環境方針からこの後に続く具体的な活動、そしてその活動の成果まで直線でつながっている(繋げておく)ことで、成果の出ない環境活動から脱却できます。

そしてもう一つ、環境方針に基づいた活動によって成果がでると、方針の正しさが証明されることになり、組織の人のモチベーションが高まり、さらなる活動の促進に繋がります。
俗に言う「良きスパイラル」です。

この「良きスパイラル」を引き込むことが、環境活動を楽しくさせる要素であることは間違いありません。

心に響く環境方針の具体的な作り方について、例文、助言やコンサルタントに関する依頼については私のXからお問い合わせください。

以上となります。次回もお楽しみに!



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