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【大人の絵本のススメ】オールズバーグ氏の名作4冊ご紹介

大人になってはじめて、絵本を購入しました。

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幼い頃好きだった絵本作家 クリス・ヴァン・オールズバーグ氏の絵本。

有名なのは、映画にもなったJUMANJI(ジュマンジ)でしょうか。
ファミリー向けのあのエキサイティングな映画からは想像もつかない、白黒の暗いタッチで描かれた絵を見て、本当に原作かと思うかもしれません。

リアリティある絵なのに、内容は、リビングルームを荒らすサイ。

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それから、室内に降る雨。

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現実離れしたテーマに加えて、何がこの独特な暗い雰囲気を醸し出しているのかと考えてみたところ、構図だと閃きました。登場人物の表情が見えず、体の動きや場面全体で登場人物の感情を映し出すような構図が多いのです。

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やっぱり人の顔が見えないと、どことなく不安になりますよね。

あるいは、絵の一番中心となるべく部分をあえて隠される。
それによって、子供の想像力が掻き立てられるわけです。

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ここで一番注意を引くのが、怖いライオン。しかし、よく見えません。
そのかわりに、登場人物の怖がる表情で、いかに怖いかを表現しています。

次に有名なのは、「急行「北極号」」でしょうか。

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こちらもトムハンクス主演で映画化されています。
カラーですが、同じく絵の最も気になる部分があえて隠されていたり、絶妙に暗めの色味で表現されており、不思議な世界観で溢れています。

例えばこの絵。
誰もがサンタの顔を見たくなるのですが、見せてくれません。

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そしてオールズバーグ氏の処女作「魔術師アブドゥル・ガサツィの庭園」。

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主人公と魔術師が対峙するこの場面。
あえて奥の部屋を見せ、暗闇へと続く空間を作ることで、何となく不安感が漂います。

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そしてこの絵も好き。
魔術師の庭に迷い込んでしまう登場人物を、横の彫刻が忠告しようとしているように見え、「だめなことをしている感」が強まり、主人公は大丈夫だろうか。。と心配になります。

最後の4冊目。

私が一番好きな、「西風号の遭難」です。
美しい色合いで描かれた海は、「現実よりも美しい現実」を表しているといえるかもしれません。

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無数の点で表現された海の描写は、スーラを思わせます。

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大人になって絵本を読むと、こういう構図や色が気になり、幼い頃とは違う楽しみ方ができていいですね。

ちなみに折角なので、70年代〜80年代の初版・英語版を、古本で揃えました。この本は誰が読んでいたんだろう、その子供たちはもう立派な中高齢者だろうか、などと色々想像するのも楽しい。

ちなみにちなみに、オールズバーグ氏の絵本の多くは村上春樹が和訳をしていることでも有名。村上和訳版も是非手にとってみてください。

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