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2022-009【虹の秘密】ラジオドラマ脚本1106


ふるさとにいた頃、雨が嫌いだった。洗濯したスニーカーが泥だらけになるのが許せなかった。泥がスボンにシミを作るのも。
いつから、そんな潔癖になったのか?東京に出てきてから、アスファルトの道のおかげか、雨の日が苦痛ではなくなった。
スニーカーが汚れないからだ。虹に願いをかける。
【No rain no rainbow】〜 雨が降らないと、虹は見えない

青(M)放課後の教室。親友の恵那から、相談事。俺も、やつに秘密が…。

青 「早く言えよ、先約がさあ、あるんだよ」
恵那「ひみつ」
青 「なに、キョロキョロしてんだよ」
恵那「傘さしてるぜ、校庭の人」
青 「誰に告るつもりなんだよ」
恵那「俺より大事か?」
青 「どうでもいいだろ、なんか変だぞ。話があるなら…、お前らしくもない」

青 (M)雨が降らないと虹は現れない。

担任「お前ら、授業終わったんだから、さっさと帰れ!」

恵那「変に、思うなよ」
青 「雨が降らないと、虹は見えないんだよ」
恵那「実は…」

【SE】教室のドアが開く音

青 「ハナ、ごめん、外で待ってて…」
恵那「噂通りかあ…」
青 「秘密にしてたけど、ハナは、父親は違うけど兄妹」
恵那「えっ…」
青 「虹が出てるよ」

青 (M)雨が降らないと虹は現れない。

青 「提案だけど、3人で仲良くやろうぜ」
恵那「お前だけ、両手にハナか」
青 「俺も、決められないんだ。ダメか?」
恵那「秘密なんて…」
青 「知ったところで、いいことなんて一つもない、心がざわつくだけさ」

【SE】雨雲が、風で流されていく

                  ★完了★
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