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AIと人類の未来

 AIへの期待感や不安感は高まるばかりだが、これは一過性のものなのか、はたまた技術的に大きなブレイクスルーなのか。10年後には汎用AIが人知を超えると想定する人もいる中で、その動勢から目が離せない。

 かつてコンピュータが登場した時、人類は今の私たちがAIに対して抱くのと同じ様な受け止め方をしたのではないだろうか。それは、便利なのか脅威なのかあるいは今後発展し続けるものなのか。何れにせよコンピュータが現代のような使われ方、つまり誰もがポケットに入れて持ち運び、生活の多くの部分で活用しているなんて最初は想像もしなかっただろう。

 それと同じく今の私たちは、将来の社会でAIがどう活用されているのかを見通せる地平にはいない。だからこそ言ったもの勝ち、想像したもの勝ちなのかも知れない。未来はこうなると決め打ちしてそこにエネルギーを注ぐのが正解なのかも知れない。

 AI界での技術的ブレイクスルーは、これまでのコンピュータの延長線上では無いという点で、それは既に始まりかけている。
 プログラムを組んで逐次実行させるという、いわゆる手続き型のコンピュータに慣れてしまった私たちには、AIがどことなく奇妙で不可解に思えるし、どう発展していくのかを想像するのが難しい。AI技術の発展は、今の私たちが触れているスマホを含めたコンピュータとは異なる動線上にあり、私たちとAIとの関わり方は、私たちとコンピュータのそれとは違ったものになるはずだ。

 自在なタッチ操作によってスマホが私たちに新しい地平を見せてくれた。しかしAIによって開かれようとしている地平はそんなものでは無い。
 今の私たちから見れば異世界の様な世界だ。
 AIの進歩には、これまでとは違ったアーキテクチャのデバイスが必要になるし、デバイス間のインターフェイスもマンマシンインターフェースも現在とは様変わりする。そうなると、社会の中でのAIを含めたコンピュータ位置づけが変わる。現代のようなコンピュータは人にではなくAIに使われる存在になる。人がAIに従属するかどうかは人次第だが、従属したくなる様な気にされられはするだろう。何故ならその方が楽だからだ。

 人はインターネットによって知識を奪われた。検索すれば分かるものを常に持ち合わせる必要がないからだ。それに対してAIは人から知恵を奪うことになる。
 しかし一方で、インターネットが私たちの知識への扉を大きく広げてくれたように、AIは知恵を深める井戸を開拓してくれるかも知れない。

 絶対的に正しい知識や知恵が無い以上、何かを鵜呑みにしさえしなければ大丈夫だ。
 しかし、鵜呑みが高じてAIシンパとアンチAIの対立闘争が起きるようになれば、人類の未来は明るくない。

おわり

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