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人はそれを希望と呼ぶ〜日経平均と明るい未来?

 東京の最高気温が30℃を上回ると予報されていた昨日、日経平均が3万円を超えた。一年8ヶ月ぶりだという。
 株価が上昇する要因は多々あれど、普通は企業の業績が良くなると見込まれていることを意味する。
 個人生活の視点から見れば、株価と身近な経済の関係性はあまり感じられないだろう。大切なのは企業の業績や株価よりも自分の給与や貯蓄が増えること。そんな感じではないか。

 確かにそりゃそうだ。
 投資、投資と言うけれど、株だって所詮ギャンブルと同じじゃないか。そう思っている人が多いはずだ。
 何の株を買ったら儲かった、あるいは損をしたという話を良く聞くからギャンブルにしか見えないのだろう。だったら競馬の方が面白いし、宝くじの方が簡単だ、となるのも無理はない。

 資本主義を資本家と労働者という労使の枠組みでしか捉えていないとしたら、それは勿体無い。その延長線は、会社は誰のものか、という議論に通ずる。
 企業が行う事業にギャンブル性が全く無いというと嘘になるが、ギャンブルが当たり外れしか無いのに対し、事業にとっての正解はそれ程明解ではない。ギャンブルが短時間で決するのに対し、事業は継続性が問われる。
 ギャンブルの収支は大概マイナスなのに対して、事業は短期間に儲かれば良いのではなく長期的には大きくプラスの収支になる必要がある。

 貯蓄より投資と叫ばれるのは政府と業界がタッグを組んたプロパガンダだろうと思うが、高校生までに資本主義や投資のそれぞれ本質的なことについて習ったり議論したりする機会が、もっとあったほうが良いだろうとは思う。
 投資がギャンブルと思っている限りは、貯蓄するより投資した方がいいなんて思うはずもない。

 投資を少し理解すれば、日経平均がいくら上がっても自分には関係無いと思う人は減るはずだ。そうなれば日本経済は少しは上向くだろう。なぜなら、景気は人々が経済やお金に期待する熱量によって決定づけられるからだ。
 景気は物事の結果によって下がり、人々の期待によって膨らむのだ。だから期待が低すぎてもいけないが、高すぎても良くない。
 信頼できるレビューの星の数が多ければ良い商品だと錯覚するように、好景気のキッカケは錯覚みたいなものだ。みんなが好景気と思えば、自然と景気が良くなる。要するに将来に期待が持てると思う人が多いほど景気は良くなる。

 明るい未来が待っていると思いにくい時代が何十年も続いたこの国が、日経平均の上昇と一緒にみんなの将来への期待が膨らむ切っ掛けになるだろうか。
 以降も日経平均が上がる保証はないし、世界の経済不安は解消された訳では無い。
 景気や経済は個人を幸せにしてくれるものでもない。
 しかし良い展望は希望を与えてくれる。
 もう少し言えば、展望を抱きさえすれば希望に繫がる。
 その展望がギャンブルで無い限りは。

おわり

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