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日本から生まれる

法的な縛りを設けなくても、お願いレベルで従ってしまうほど従順な日本国民を擁した日本という国は、国内ではそれで良いが、海外に対してはそんなお人好しではいつの間にか言いくるめられてしまって、気づけばすっかり相手のペースということになりかねない。

だからと言ってただ外国に反発したり、鎖国して閉じこもったりしろというのではない。グローバルレベルのずる賢さとタフな交渉力を身に付けなければならないということだ。

交渉というのは交換条件の出し合いで両者が合意に至る点を見出す行為だ。
それには相手を欺くことも含まれる。欺いたことがすぐにバレてはいけない。相手がその交渉で得をしたと思わせておいて、実はそうではないというのが上手な交渉だ。見かけ上はWin-Winだが、数年経って振り返ってみるとかなりこちらに有利な条件だった、となるような交渉条件を如何に作れるかが勝負だ。
もっとも、欺くとは言っても騙すこととは全く違う。

海外との交渉の為には、強いエリート層を作らなければならない。
国際交渉力を持つエリートは今の日本には少ない。そもそもエリートがいない。勉強や試験が出来るだけでは駄目で、帝王学を叩き込まれた真のエリートが必要だ。けれどそんなものはすぐには手に入らない。
だから、世界に飲まれず日本を背負って世界の中で戦える人材を作るためには、地道な方法ではあるが若い世代をどんどん世界に放出して世界の人と関わり、世界を見て学ぶ機会をどんどん増やすことだ。そして、そういう人達が喜んで日本に帰ってきて活躍出来るような日本社会を作っていかなければならない。間違っても海外留学した挙げ句に海外の方が生きやすい、住みやすいなんてことにしてはならない。海外の方が性に合っていたからアメリカ国籍を取りましたというような人を作るようではいけない。

日本の良さを残したまま、日本をより住みやすい国にして、日本人にとってどこよりも生きやすい国にして、かつ、世界的競争力を持った人を造り上げるか。競争力を持った産業や技術を継承していくか。
これは、とてつもなく困難な課題だ。
なぜなら、これまで日本が積み上げてきたものが、もはや老朽化し始めて、根本が腐りかけて来ているからだ。
今の日本に国際競争力のある技術を伴った産業はどれだけあるだろうか。
世界と戦える工場が日本にどれだけ残っているだろうか。
世界に先んじたサービスや技術がどれだけ我々の生活を支えているだろうか。
世界を受け入れることは大切だし素晴らしいが、国内だけのホスピタリティでは世界と戦えない。ホスピタリティを武器に出来るとしたら、ホスピタリティを輸出出来るようなものに仕立て上げることが出来たときだ。

先端的基礎研究も乏しい、先端技術もない、習熟した技術は定年退職で失われ、受け継ぐ者もいない、デジタルもその実用も駄目、未だに理系だ文系だというつまらない分類をしている、未だに受験勉強に熱を上げている、内輪もめに終止する、世界が見えていない、そもそも世界のニュースが流れずゴシップしか放送していないテレビしかない、見ている動画サービスやSNSは日本語だけ。見ているのはスマホの画面、聞こえているのはイヤホンの音、買い物はショッピング・モールかアウトレット。
いらっしゃいませ、ありがとうございました、またお越し下さいませと唱えるのは義務だから。作られた笑顔、だからスマイルはゼロ円。
都会だけかもしれないが、家族は核家族によって解体され、人々は孤立し、家が無くても社会は救ってくれない、本当に困っている人は救われず、そんなに困っていない人は救われる。
都市に出ることが夢、カネを稼ぐことが全て、地方は寂れ、都市は住みづらくなる。
全てがアンバランスで、それを誰もアンバランスと思わない。
全てが不自然で、自然から乖離していくのに地球環境問題。

流れやすい、流されやすい、空気を読むからこそ、皆が従うからこそ従う。
皆と同じなら良い。
ドロップアウトすると二度と戻れない。
失敗は将来への糧ではなく終わりの始まり。
1回きりの機会を逃すと就職出来ない。
満員電車では息を殺して人間であることを諦める。
隣の家の人を見たこともない。

これでは世界と戦えない。

世界に毒される前に、中国が侵蝕してくる前に、日本が無くなる前に、そろそろ井戸から飛び出て世界に目を向けて歩きだしても良い時期ではないだろうか。
まずは、人間の中に自然を取り戻そう。
日本人の心を取り戻そう。

おわり

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