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銀行破綻 〜 嫌な予感
銀行が破綻するという事態は相当にヤバい状況のはずだが、それほど騒がれていない。
嫌な予感しかしない。
バブル崩壊前夜もそうだった。 当時、このままではマズいのではという声はジュリアナの歓声にかき消され、⤴️ ⤴️ムードは無くならなかった。
バブル経済の崩壊は、世界が最悪の事態にこうして直面することになるという見本のような歴史だったはずだが、歴史から学ぶのが難しいことは歴史が語っている。
改めてここ数年の世界の動きをおさらいしてみよう。
2020年春、新型コロナウイルスが世界的に流行し、日本でも新しい生活様式が叫ばれた年だ。世界でもロックダウンを始めとした人流抑制が起こり、経済が停滞した。人や物の移動が制限されることはもちろん、物流が滞って様々なモノの入手が困難になり値段が上がった。海外では経営体力を維持するためのレイオフが盛んに行われ、労働者は企業や商店からいなくなった。
それと同時に数年前からのエネルギー価格高騰は継続しており、物価上昇が続いた。
一度いなくなった労働力はなかなか戻らず、海外では労働市場が過熱。人を確保するために賃金がみるみる上がった。
欧米での最低賃金は時給換算で2000円~3000円、2022年のアメリカでは時給4000円で募集しても人が集まらない事態となった。
物価および賃金上昇を受け、世界各国の中央銀行はインフレ抑制を企図して政策金利の利上げを段階的に実施した。これに連動して国債などの債券を含めた市場の金利が上昇した。
インフレ抑制策については様々の方法論があり得るはずだが、経済金融理論では金利上昇の一手というのが世界の共通認識だったからだ。しかし金利を上げればインフレにならないという保証はないと言われている。やらないよりましということだ。
金利を上げることは一方で、痛みをともなうことになるとも言われていた。
つまり、お金を借りればその返済がキツくなることになるわけだ。当然に住宅を始めとした各種ローンの金利も上昇することになり、住宅市場など特に高額な商品の不況が予測される。
また通常の企業経営で借り入れを行わない企業は無いから、企業の収支も悪化する。上昇する賃金により固定費が上昇していた企業にとってはダブルパンチとなった。
金利上昇にともなって、米ドルやユーロ、ポンドなど欧米の通貨は相対的に強くなり、日本でいえば円安が進んだ。
欧米では、輸入企業にとっては自国通貨高が良い方向に働いたものの、輸出企業にとっては物流停滞や物流費高騰と併せて販売高を抑制する方向に働き痛手となった。
米国で最初に破綻したシリコンバレー銀行の顧客にはスタートアップ企業も多く、政策による融資キャンペーンと相まって預金残高が増えていた。
会計上、預金は銀行にとっての負債であるから、通常銀行は預金残高を利用して運用を行う。
シリコンバレー銀行は、平時であれば比較的安全と言われる国債を中心とした運用を行っていたとみられるが、政策金利の上昇に伴って国債市場は下落し、含み損が膨らんだ。
2月のFOMC(連邦公開市場委員会)でも政策金利の上昇は継続が決定されており、銀行の含み損は増えることはあっても減らない状況に陥っていた。
銀行の含み損の増大は少し前から噂になっており、顧客企業では銀行から引き出す動きが加速した。
銀行が引出しに応じるためには、含み損となっている債権の売却を行って現金を確保する必要がある。それはすなわち、損失確定を意味することであり、経営状況は急速に悪化したのである。
2行目のシグネチャーバンク破綻は、シリコンバレー銀行の破綻を受けた金融不安が招いたものだろう。
米国政府は預金元本の全額保護を表明したが、そのために税金は使わないと説明するなど対応に矛盾がみられる。
今回は米国での銀行破綻がきっかけではあるが、欧米各国での金利上昇リスクはどの銀行にとっても同じであり、破綻の連鎖を食い止めるべく各国政府の対応が急務となっている。
この銀行破綻で分かるように、世界の金融市場が水面下でかなり危ない事態になっていることが否めない。
今は、嫌な予感が的中しないことを切に願うだけだ。
おわり
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