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あなたの売りは何ですか?

 あなたの売りは何ですか?
 面接で必ず聞かれるこの類の質問にきっとあなたは答えを用意して臨んでいるだろう。
 それでも上手く行かない就活生は是非これを読んでみて欲しい。何かの役に立つかも知れない。


 学生とビジネスパーソンの隔たりは実のところ愕然とするほどだ。学生が抱く仕事に対するイメージと実際のビジネスの現場で求められる事のギャップはかなり大きい。見ている世界がまるで違う。

 よく言われることなので耳にタコができていると思うが、本物の仕事にマニュアルはない。いわばリアルタイムでマニュアルを作り続けるのが本物の仕事だからだ。
 出来上がったマニュアルに基づいてやる作業はバイト仕事だ。

 就活しているあなたが大学生だとすれば、これから就こうとしている仕事は、課題や問題に対して解決方法を考案し実践することを通して、ほんの少しだけ社会の役に立つことだ。

 そういう文脈で、面接官はあなたに聞いてくる。

「あなたの売りは何ですか?」と。

 あなたは、サークルでまとめ役をしていた経験を活かしてリーダーシップをもってプロジェクトを遂行出来ますとか、世界中を旅して色々な国の風土や文化、人々の暮らしを見た経験が新たな商品開発に生かせますとか言うのだろう。
 言葉は悪いが、あなたのそんな経験談は個人的には興味深いかもしれないが、企業にとってはどうでもいい。
 そんな話であれば、いくらでも転がっているし、内容そのものは聞く価値もない。敢えて着目するとすれば、その話を語っている時のあなたの表情や発声や雰囲気から、自分の言葉として発せられているものかどうか、なるほどと感心させられるような説得力がある話し方なのかどうかといったことくらいだ。

 採用する側にもいろいろな考え方があるので正解は唯一ではないが、ひとつだけ言えることがある。

 あなたの売りは「レア度の掛け算」で測れるということだ。

 これは元リクルート社フェローで教育改革実践家の藤原和博氏が言っていることだ。藤原氏の話はキャリアについてだが、この論法は応用出来る。

 あなたが何かの分野で100人にひとりの人材だったとする。要するに上位1%に入れるような能力を持っているとする。1000人中10位以内に入れるくらいということだ。
 それとは別に、あなたは10人にひとり、つまり上位10%以内に入れるような何かの技術を持っているとする。1000人中100位以内に入れるくらいということだ。
 その2つの能力と技術を兼ね備えたあなたは、
1000人にひとりの人材ということになる。
 仮にもう一つ10人にひとりの何かを持っているとすれば、10000人にひとりということだ。こうなると、仮に志望者が数千人いるような企業であっても、その中にあなたのような人材はあなたただひとりということになる。

 もちろん、希少な人材だからといってそれだけでは採用とはなんの関係もない。その企業にとっての貴重な人材とは必ずしも重なり合わないからだ。

 だから、その企業がどんな人材を貴重とし、大切にしようと考えるのか、それくらいは下調べとして考えておいて、それにマッチした自分の貴重さをアピールすれば良い。

 もっと言うなら、就活が始まる前の学生時代からいろんな分野で希少性を意識して取り組んだ方が良い。

 100人にひとりの能力なんかとても持ち合わせていません、と思うかもしれない。そりゃ弁護士100人集めて誰が一番法律に詳しいかという競い方だとハードルは高い。けれどその100人の弁護士のうち英国生まれの人がいたとしたらひとりだけの可能性がある。
 何も同質な人々の中で考えるのではなくて、ランダムに集めた100人であれば、その中にいる日本全国全県足を踏み入れたことのある人はひとりかもしれない。

 希少性を考えるときの母集団は世界の全員でも全国民でもなく、もっとローカルで小さな、見える範囲の集団で考えて良い。例えばその年のその企業の採用面接者全員とかいう風に。

 そう考えれば、あなたの売りも少しは見えてくるのではないか。

 ただし、間違ってもただの変わり者であることをアピールするようなことにはならないようにして欲しい。

おわり

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