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太陽が嬉しい日

 昨今、紫外線はすっかり嫌われ者になった。
 紫外線は肌のトラブルの元凶だということで、なるべく曝されないようにすることが美容と健康に良いと思っている人が多いのではないか。
 天気予報でも紫外線量について触れられることがあるし、ドラッグストアに行けば日焼け止めが年中棚を賑わしている。
 過度の日焼けはいけない、というのがいつの間にかに紫外線は美肌の天敵とまでなった感がある。

 良く知られているように、食物からの摂取だけでは不足しがちなビタミンDの体内合成には紫外線を浴びることが必要だ。コレステロールを元に体内で生成されるビタミンDの前駆体に紫外線が照射されることによって、ビタミンDの合成が促される。
 ビタミンDは骨の形成には欠かせないホルモン。もちろんサプリメントや薬での摂取が可能だが、元々人間の身体は食物や体内合成によって栄養素を得るように出来ているから、サプリメントでの供給は必ずしも上手く働かない。
 だから、紫外線を適度に浴びることは悪いことというよりも、むしろ必須なのだ(ビタミンDの生成に必要な紫外線はガラスを透過しないので窓越しでは駄目だ)。

 田植えの終わったこの時期、夏にかけて少しずつ雨模様の日が多くなるが、稲を含めた作物の成長にとって雨は必須だ。
 朝起きて雨だと憂鬱になるのは、学校や会社までの道中の鬱陶しさを考えてのことだろう。きっと都会で生活する人は誰も恵みの雨とは思わないだろう。雨が嫌なのは、低気圧が身体に及ぼす影響や暗くて低い雲が与える心理的影響も原因のひとつだろうか。

 雨や曇が数日続いた後、スカッと雲一つなく晴れた朝には、気分爽快で心も脚も軽くなる。
 空を見上げて何だか気分がいいぞと思う時、自分が太陽を欲していたことに気付く。それは太陽とともにやってくる高気圧がもたらす気分だろうか。
 いや、もしかしたら生物としてビタミンDを欲していたからかも知れない。何でもビタミンDは骨の形成だけでなく、幸せホルモンと言われるセロトニンを調整する役目があるらしい。
 適度に陽を浴びて幸せな気分に浸るのも良い。

おわり

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