見出し画像

電気代

 電気代が高いという。確かに我が家でも高くなっている気がするが、報道を見ていると月に10万円を超えるという家庭が取り上げられていたりする。安くはないと思っていた我が家の電気代を遥かに上回る話に現実感が無くなる。オール電化だとそんなになるものなのか。

 いくら高くなったとはいえ、10万円を超えるとは高過ぎじゃないか。
 よく読むとどうやら北海道のご家庭らしい。北海道のどこかにもよるのだろうが、寒い北海道で暖房も含めてオール電化とは、なかなか考え難い。もし仮にエアコンで灯油やガスの暖房と同じくらい暖めようとしたら、相当電気を食いそうだということは素人目にも想像がつく。余計なお世話だが、事前のシミュレーションはどうなっていたのだろうか。

 温暖化防止という観点から言えば、灯油やガスを燃やすよりも電気で暖房した方が効果的ということなのか。いや、そんなことはないのではないか。
 火力発電所で電気を作るには、まず何かを燃やす。いくら効率が良くても、燃やしたエネルギーのうち電気エネルギーに変換出来るのは60%ほどだ。しかも、電線を伝って家まで電気を運ばなければならない。電線を作るにも電柱を作るにも、そして工事して電線を通すのも、どれも二酸化炭素を放出せずには出来ない。
 発電のエネルギー効率が60%というのは、残りの40%は熱となって大気に放出されているということだ。それも家の暖房に使いたいものだ。
 灯油を燃やして暖房する場合は、燃えた時の熱が部屋を暖めるのだから、無駄がない。エネルギー効率は電気に比べて格段に高いはず。

 ところが、一般的に暖房には何が効率的かという検討が行われる時、電気もそんなに悪くない、場合によっては電気が一番良いという記事を見かける。これはどういうことか。
 そういった記事はどうやって効率を比較しているかというと、金額を用いている。つまり、同じだけ暖めるために安いのはどっちか、という比較が行われている。
 もちろん、家計にとっては安い方が良いに決まっている。だから金額で比 較するのだろう。
 という訳で、北海道電力もオール電化を勧めているらしい。

 しかし、電気代にしろ灯油代にしろ、単価がいつも同じということはありえない。今回のように電気代の単価が跳ね上がるとオール電化の過程は直撃を食らってしまう。
 投資の世界でポートフォリオという言葉がある。
 リスクを平準化するには、偏った投資をするよりも色々な投資商品を組み合わせた方が良いと言われる。この真偽は別として、家庭でのエネルギー源もひとつだけに偏らない方が良さそうだというのが、今回の電気代高騰で分かったような気がした。

おわり

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?