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心のアンテナと受信機

 現代の生活に欠かせない電波は、ビームの様に飛んでくるのではなく日中の光の様に私たちの周囲に満ちている。様々な周波数が折り重なる目には見えない電場と磁場の伝播を掬い取る役目をするのがアンテナだ。多くの電波の中から共振するものを選び出すのが受信機だ。アンテナや受信機の特性によって受信できる電波が違ってくる。

 同じ様に、私たちの心にもアンテナや受振器がある。その特性によって受信できるものが違う。

 微弱な電波をも掬い取るアンテナやノイズだらけの受信機もあれば、特定の周波数に特化したアンテナやマルチチャンネルの受信機。一人ひとりが違ったタイプの受信設備を持っている。

 だから、同じものを見ても、同じことを聞いても、感じ方はそれぞれ違う。感動する人、しない人。共感する人、しない人。芸術作品に心を震わせる人、そうでない人。
 違って当然だ。アンテナが違うのだから。

 受信機で増幅し過ぎて負担を感じている人もいる。アンテナの方向が違っていて受信出来ず無頓着な人もいる。立てていたアンテナを片付けてしまい込んでしまった人もいる。

 心の受信設備は子供の頃に形成される。
 周囲の人との関わりの中でつくられる。
 大人になって改造することは出来ても交換はできない。

 心のアンテナも受信機も周囲には見えない。同じ受信設備を持っていると思い込みがちだ。
 それを知るには、色々な電波を送信してみて反応を覗うしかない。

おわり

 


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