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貯蓄したお金はどこにあるのか

 ボーナスをどう使うか考えるこの時期、使いみちは決まっているだろうか。それとも既に使ってしまっただろうか。あるいは、元々ボーナスなんて無いよという人もいるだろう。

 ボーナスを貰う人の多くは使いみちの一つに貯蓄を挙げるという。
 貯蓄は貯蓄で良いとして、あなたが貯蓄した「お金」はどこにあるのか。そしてどこに行ってしまうのか。

 あなたが持っているはずの「お金」の出どころから考えてみよう。

 あなたが会社から給与やボーナスとして支給された「お金」は、現金支給でない限り、銀行振込されたものだろう。
 ちなみに、あなたは振込された「お金」を見たことがあるだろうか。
 大抵の人は「ある」と答えるかもしれない。なぜなら、キャッシュカードを持ってATMに行けば、口座残高以内の金額であればいつでも引き出せるから。
 でも、それはATMから出てきた紙幣であって、振り込まれた「お金」ではない。それは屁理屈だって? ATMから引き出した瞬間に口座残高が減るじゃないかって?
 もちろんその通りだ。
 でも、手にした紙幣が給与として振込まれた「お金」ではないことも事実だ。

 ところで、会社はあなたの銀行口座に給与を振り込む時、会社の経理担当者が現金を手にして銀行の窓口に行って手続きしているのだろうか。中にはそんな会社もあるかもしれないが、普通の会社であればそんなことはしていない。
 会社の銀行口座からあなたの銀行口座にオンラインで振込手続きを行っているはずだ。その時、会社の口座のある銀行からあなたの口座のある銀行に「お金」が移動したのだろうか。しているわけがない。単に、口座残高という記録、つまり電子データが書き換わっているだけだ。「お金」はどこにもない。

 では、あなたの勤める会社は、どこであなたに払う給与の「お金」を手にしたのだろうか。それは業態によって違うが、例えば小売業であれば、商品を買ったお客さんが払ったお金だということかもしれない。しかし、お客さんが現金払いではなく、クレジットカードだったらどうだろうか。〇〇payだったらどうだろうか。たとえ現金払いだっとしても、お客さんから貰ったその紙幣をあなたの口座に給与として振り込んだ訳ではない。
 貰った現金は間違いなく一度銀行に振り込んでいるだろう。銀行に振り込むと銀行の口座残高という記録、つまり数字が増える。ちなみにこの時あなたの会社の経理担当者は、現金として記帳していた金額を当座預金として帳簿の数字を書き換える作業を行う。

 もしかすると給与の支払いに際してあなたの勤める会社は、銀行から借り入れしたのかもしれない。その場合、その借入した「お金」はもともと誰のものだったのだろうか。
 銀行の扱う「お金」は普通、その銀行が持つ日銀当座預金口座にある。
 しかし銀行が企業に貸出(融資)を行う時、その日銀当座預金から引き出すのではなく、借り手の預金口座に金額を記入する。それだけだ。これを信用創造という。まるで何も無いところからお金が生まれるようだが、実際に行われていることだ。

 そう考えると、もはやあなたの財布の中身が誰のお金なのかを考えることの意味があまりない事に気付くのではないか。金は天下を回っているのみならず、銀行によって作られてもいるのだから。
 
 さて、あなたが今年使うボーナスという「お金」はいったい何なんだろうか。
 もし誰かが返さなければいけないお金だったとすると、とばっちりを受ける前に使っちまった方が良さそうだ。違うか。

おわり

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