⑥ 叙述・描写指導の在り方 動画『大造じいさんとガン』その1

マガジン『小学校の国語科の授業② 物語編(何を教えるのか) 』の③の記事においては、「叙述」の中でも特殊なもの(暗示的なもの)を「描写」と名付けました。そして④の記事では、『大造じいさんとガン』の情景の「描写」の色の変容から大造じいさんの心情の変容が想像できるものとなることを具体的に示しました。
この「描写」が読めるようになれば、高学年からの複雑な「場面」についても捉えられるようになります。4年生までで「場面の移り変わり」については理解してきました。5年生となる高学年からはさらに「場面」は複雑な構造になってきます。この「場面」を明確にとらえていくためには「描写」が読めなくてはなりません。つまり、自分なりに主題を捉えるためにも「描写」が読めなくてはならないのです。
『大造じいさんとガン』で具体的に示します。5年生ですから一読後すぐに以下のように「場面」を捉えるでしょう。

「はじめ」 (残雪に対して)いまいましい
「な か」 残雪とはやぶさとの闘い
「おわり」 (残雪に対して)英雄・えらぶつ

児童は「なか」の「残雪とはやぶさとの闘い」に主題が隠されていることはすぐに理解できます。しかし、じいさんが最も変容したのは具体的に「どこなのか」「そう言えるための根拠は何か」についてはわかりません(今までの実践や授業参観によると、最も多いのは「何と思ったか再び銃をおろしてしまいました」という「叙述」です。次は「強く心を打たれただの鳥に対しているような気がしませんでした」という「叙述」です。しかし、いずれも「どうしてそこだと言えるのか」と問うと答えられないのです)。
このような児童に「描写」を教えると「なぜそこだと言えるのか」が明確に理解できます。まるで謎が解けたようです。文学は科学なのだということを実感することでしょう。

動画のパスワード kokugo2-6

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