指導案の書き方マニュアル④ 書き方の解説

「5 単元について」の書き方の解説
ここは、単元の指導をどのように展開していくかというビジョンを示すところとなります。
「単元の目標」を達成するための指導を、目の前の児童の実態に照らしてどのように具現化するのかという方向性を明らかするところであり、各時間における指導計画を作成する際の羅針盤となる部分となります。

「(1)言語能力の系統性」の書き方の解説
単元において指導すべきことは単独で存在するものではありません。
その指導内容は、意図的・計画的・系統的に配列されているのです。この系統性を把握していないと、以前に学習したことを繰り返したり、以後に計画されていることを前倒ししてしまったりします。
まずは、本単元の位置と意味を明確にすることが大切です。
このことは、以下の(2)で児童の実態を把握する際にも大切になってくることになります。

「(2)児童の実態」の書き方の解説
「このクラスは男女仲良く活発で」「国語が好きな児童が40%いて」などと書かれたケースをよく見ますが、そのようなことを書く必要はありません。
繰り返しになりますが、国語科の目標は言語能力の育成にあります。ですから、育成すべき言語能力に関する実態を書かなければならないことになります。
言語能力というものは、新しいものがどんどん増えていくような性質ではなく、今まで身につけてきたものの質が高まるようなものです。よって、児童たちは今までどのよう能力を身につけてきたのかを明らかにしなくてはならないことになります。
具体的に、「何年生」の「何の単元」で「どんな能力」を身につけたのか、そして、その能力はその後の日常生活に「どのように活用」させてきたのかを示し、目の前の児童の「言語能力」の実情をよくわかるように示すことが重要なのです。

「(3)指導観」の書き方の解説
「単元の目標」と「児童の実態」から、「どのように言語能力を身につけさせていくか」ということを示す指導案の核となる部分となります。
単元で身につけさせるべき言語能力に対して、児童の実態がかけ離れていたのなら、既習事項の復習が中心となり、表面的な言語能力の育成にとどまるような単元になります。
児童の実態が、育成すべき言語能力に近いものであったなら、すぐに言語能力の育成のための指導に入れ、質の高い言語能力を育成することができる単元となります。
児童の実態に応じて、指導の在り方が全く変わってくることになります。
当然のこととして、教材研究がとても大切になってきます。全学年で育成すべき言語能力を明確に把握し、そのための指導を共通理解しておかないと、いつも表面的な言語能力の育成で終わるような単元ばかりになってしまうことになります。
また、ここでは単元の「指導の在り方」をもとにした具体的な指導方法にまで言及することが大切です。
仮に、実態として日常生活への応用力が足りないとしたなら、教材での学習を最低限にして、日常生活の場で活動する時間を多くすることが大切になります。「伝え合う力」が不足しているようなら、双方向的な活動の場を多く設けることが大切になります。
このように「指導方法」まで示すことが重要になってくるのです。

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