① 場面の指導の在り方 動画『大きなかぶ』

小学校1年生で初めて学習する物語である『大きなかぶ』では、「場面とは何か」について理解させることが指導の目的になります。『おおきなかぶ』の場面構造は以下のようになりますので、この構造を把握させていくことになります。

 はじめ  悲しいおじいさん
 な か  かぶがぬけた
 おわり  うれしいおじいさん

マガジン「小学校の国語科の授業③ 物語編(何を教えるのか)」の⑤の記事で述べてきたことから言えば、「なか」である「かぶがぬけた」ところに主題が仮託されていることになります。
1年生の授業では、「どうしてかぶがぬけたのでしょう」と問うていくことになります。すると「みんなでかぶをぬいたから(=協力)」という物語のテーマである主題を容易に把握できることになるでしょう。そうしたら、「これから皆さんが勉強していく物語は、このように『はじめ』と『おわり』で主人公が変わります。そして変わったのには理由があります。その『理由』が書かれているのが『なか』になります」と「場面」の構造について理解させ、「この『なか』には、物語を書いた人が皆さんにわからないように隠した宝物があります。物語を読む楽しさは、この宝物を見つけることにあります」と物語の読み方を教えていくことになります。
上で「主題を容易に把握できる」と述べましたが、単に「みんなでかぶをぬいたから(=協力)」と捉えるだけでは本当に主題を把握したことになりません。「なか」を漠然と把握しただけでは文学を読んだことにはならないのです。私たち教員は、「見えてはいるが読めてはいないところ」「文字としては読めるが文学としては読めていないところ」に気づかせていくことが大切です(ここが腕の見せ所です)。
この教材の場合の国語科授業中における発問・指示としては、「ねずみが一番力持ちなんだね」「犬と猫、猫と鼠は仲良しなんだね」となるでしょう。
「大きなかぶ」はロシアの民話です。民話ということは民衆に何かを教えるという文種になります。ロシアのような巨大なたくさんの国から構成されている国を維持していくためには、「大きな力の強い国が小さな国 を攻め落とすようなことをしてはならないのです 」 そして「それぞれの国が人種や宗教が違うからといって戦っていてはいけなのです」。この民話の意味が小学校 1 年生なりに把握できないと「大きなかぶ」を学んだ意味は無いものとなります。

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