中学校の国語の授業 説明文編② 数学の合同証明との関連指導

①では、中学校第二学年から一般的な日常生活における論証の構造を基にした説明文が教科用図書に掲載されていると述べました。では、どうして中学校第二学年なのでしょうか。
中学校第二学年の数学科「B図形」では証明を指導することになっています。その中の三角形の合同証明の一つは以下のような構造となります。

 データ:二つの三角形は二辺とその間の角が等しい
  ↓ ←理由づけ:二辺とその間の角が等しい三角形は合同である
 主 張:二つの三角形は合同である

これは、「データ」が必然的な「理由づけ」(公理・定理)によって演繹的に「主張」として導かれるという論証の構造となります。
『中学校学習指導要領解説・数学編』には「中学校は生徒の発達の段階からみても、演繹的な推論の進め方に興味・関心をもち、そのような能力も高まっていく時期である」と、発達段階からみるその指導時期の適切さが示されています。
解説には続けて「図形による論証指導を通して、自分はもちろん他人をも納得させることができるよう筋道を立てて表現する能力を育成することが重要である。 筋道を正しく表現すること自体、推論の能力を高めることになる」と、数学科における証明指導の意義が示されています。
つまり、中学校第二学年から論証と言う演繹的な構造が意識化できるようになるということです(論証はそれ以前の学年でも当然行っていますが、それは構造など意識せず自然と行っているものなのです)。意識化できるということは、「自分の言いたいこと(主張)を『納得させることができる』ように」その構造を工夫していくことができる(よりよい「データ」や「理由づけ」を考えていくことができる)ということにつながります。

国語科教育で教えていくべきことは、この数学で学んだ論証の構造について「これは数学という記号の世界だけの話ではない」「我々の日常生活においてもそれを活用して生きているのである」ということになります。
よって、中学校第二学年から(どの教科書においても数学で証明を学んでから)の説明文教材に論証の構造が用いられているのです。

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