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「コロコロ変わる名探偵」


「分かりましたわ」
 全ての道筋が繋がった時パチンと音がして、私は瞼を上げました。
「事件を起こした犯人と、その方法が」
 皆さんがどよめいて、私に注目しています。重要参考人、警察関係者、今日は記者の方々も居るようです。
「今日はお嬢様だ」
 記者の方々が囁き合うのを聞き流しながら、真相を話します。私は多少のことでは動揺いたしません。

「探偵さん、少しお話を」
 自供した犯人が乗せられたパトカーを見送っていると、記者の方が笑顔を作りながら歩み寄ってきました。
「今日こそは秘密を明らかにしたくてね」
 初対面なのに馴れ馴れしい方です。
「日によって探偵を演じ分けているのは何なんだ。今日はお嬢様、ある日は医者の助手がいる男のように振る舞い、また違う日には祖父が高名な探偵だと言ったり、大人がわざと子どもらしく振る舞うようにしたりして。多重人格、という説もあるようだが」
 その単語が出てきた途端、私の視界はパチンと音をたてて暗転しました。


(空白含め410字)

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