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「具体と抽象を行き来」するためのポイントとトレーニング方法について教えてと言われたのでnoteを書いてみる

グルメサービスRettyでPMと、プロダクトオーナーの役割を担っています、田中大登(@tnkdaito)です。

具体と抽象の行き来することが大事だと言われるけど、何を抑える必要があるの?その能力ってどうやって身につけるの?

若手PjMからの質問

Rettyではチームという縦軸はもちろん、職種という横軸でも情報交換や知見の共有などを行っています。その中の企画職が集まる場でこんな質問をもらいましたので、このnoteで回答してみます笑

こんな人に読んで欲しい

  • 「具体と抽象を行き来しろ」と言われているけど、何をすればいいかよく分からない方

  • 若手を指導する立場にいらっしゃる方


具体と抽象には順番がある

  • ①具体的な事象/事例の収集

  • ②1の事例の法則/共通点の言語化

  • ③法則/共通点に基づき、1以外の事例/ケースを検討する

画像転載元:https://studyhacker.net/abstract-and-concrete

原則、順番1の「具体の事例」がないと順番2の「抽象」は語れないです。

いきなり抽象的なオーダーを受けたことはありませんか?例えばグルメサービスに関わる僕だと「一度も行ったことがないお店だけど、Rettyなら行ったことがあるようなレベルでこういうお店なのかというイメージがわくようにしてあげたいので、うまく考えて欲しい」とか言いました笑

これはめちゃくちゃ抽象的な発言ですが、僕のこの抽象的な発言の元には、数々のユーザーインタビューでの実際の発言や過去施策の知見などの「具体の事例」がたくさんあります。

いきなり「行ったことないお店だけど、行ったことがあるようなレベルでイメージがわくようにしてくれ」と言われて「OKです、考えます」と抽象的なオーダーに答えたり抽象的な状態で議論できる人たちは、その抽象の元になる具体の事例が擦りあっている or 互いに具体の事例に心当たりがある状態にあります。

逆にいうと抽象的なオーダーに対処できない/抽象的な状態で議論できない場合は、その人がもつ具体の事例を集める/共有してもらう必要があります。

*この順番は思考の出発点という整理ではなく、抽象が語られる元には必ず具体が存在するという整理です。あくまで順番と表現することで、具体と抽象の構造を認識してもらえたらと思っております。

具体と抽象を行き来するためのポイント

①具体的な事象/事例の収集

ポイント1-1:数を出す/集める

  • 例:他社事例の収集においてグルメサービスだけでなく旅行/EC/住宅/ファッション/美容など広い選択肢から事例を集められる

  • 例:競合の状況とそこからの取りうる戦略性の理解のために、IRを読み込んでいる

  • 例:何が上長期待に添えるか分からないので、とりあえず施策案を100考えてみる

ポイント1-2:ゴールを見据える

  • この方向性で情報を収集していった先に、望むゴールに近づけるのかのすり合わせる

  • ほしい情報が収集できない/頭打ちになりそうな際、誰から助力を得られるか考える

  • どういう形でアウトプットしたら見やすいのか、法則を見つけやすいのか検討する

②事例の法則/共通点の言語化

ポイント2-1:問いかける(≒ロジカルシンキング)

  • Why so(なぜそうなっているんだろう)

  • So What(だから何が言えるんだろう)

  • どんな構造(ロジックツリー)になっているんだろう?

  • 構造の中のどこにアプローチしているんだろう?

ポイント2-2:図を書く/整理する

図で考える。シンプルになる。という書籍がオススメです!

画像転載元:Amazon_図で考える。シンプルになる。

このような形で7つの実践的な図を活用し、思考をしたり整理したりするノウハウ本です。図のパターンは様々ありますが、具体と抽象の行き来には「交換・ツリー・比較・重なり」が特にオススメなので、よければご一読ください!

ポイント2-3:適切な言葉を探す

  • 直感から仮説を考える

    • なんとなくこうっぽくね?

    • 直感的にはこうな気がするけど実際どうなんだろう?

  • 言葉の選択肢を広げる

    • なんとなくこうっぽいの「こう」を表現する言葉は何があるだろう?

    • 例:さっきのダイブの他に選択肢としてあった言葉たち

      • 来店後の体験イメージ

      • 雰囲気が掴める

      • 来店擬似体験

      • ダイブ、投影

      • 実際に行ったような感覚

  • 選択肢から言葉を選び取る

    • 例:雰囲気だと外観や内装に焦点が当たりそうで予算感とか客層とかワイガヤ感とかが漏れていきそうなワードだよなー

    • 例:具体アイデアの幅も広がりそうだがら「実際に行ったような」って言葉は良さそうだなー

③法則/共通点に基づき、具体案を検討

ポイント3-1:個人でアイデアを出しまくる

  • 例:「その飲食店に行ったことがないのに、実際に行ったようなレベルでイメージをわかせる」には何がいいアイデアか

    • VRの活用とかどうだろう

    • ストリートビューの店内verは活用できないか

    • 写真じゃなくて動画なら伝わる情報も多いかな

    • 口コミ投稿の投稿フォーマットを変えちゃうとかどうだろう?

ポイント3-2:他者とうまく共創する、叩き台を作る

  • 例:こういうテーマでこういうアイデア考えてるんですけどどう思います?他なんかいいのあると思います?

  • 例:(Figmaで実際に触れるものにしてみて)これどう思います?実際に行ってみたときのようなレベルでイメージわきます?

他者にあててみることで化学反応がうまれたり、期待と違った具体案が出てしまえばポイント2-3の言葉チョイスをチューニングするなどのアクションがとれます。抽象的な議論はフワフワとした空中戦になりやすいので、自ら具体的な案(叩き台)を用意することで他者との共創をより効率的に行えます。

能力の身につけ方・トレーニング方法

基本的にインプット/アウトプット/フィードバックの行き来でしか、能力獲得はできない(持論)

画像転載元:https://note.com/tnkdaito/n/n469d360ba232

トレーニング方法としては、まずはやる(行動する/着手する)こと。

やってみて(orやってみようとして)難しいポイントや行き詰まるポイントをインプットやフィードバックで改善するしかないです。(断言っぽく書いていますが自身の経験談からの記載になりますので、賛否両論があると思います。)

能力獲得できない人はやり方から考えて「まずやってみる」ことをしないケースが多い印象です。

補足をしておくと、やってみる(=アウトプット)がすべてのスタート地点ではありません。書籍や先輩など他の人の知見を吸収したり、同僚の仕事ぶりを日頃から追体験する(=インプットしておく)ことで、「やってみる」のハードル低下になるケースもあります。

  • 例:Aさんのユーザーインタビューをずっと見ていたので、自分もなんとなくユーザーインタビューを進めることができる

  • 例:デザイナーのBさんがFigmaで体験設計をうまくやっていたので、企画職の自分もFigmaで体験を整理して議論の土台を作ることはできる

  • 例:Cさんの書籍でマーケティング理論が記載されていたので、自社でもその理論やフレームワークに沿って進めてみる

「まずは行動する」という一見当たり前の話をしてしまったので、銀の弾丸を期待されていた方は拍子抜けされたかもですが、私はこれが真理だと思っている人間です。笑

まとめ

  • 抽象が語られる際には元となる具体が存在しており、元となる具体の理解をしていないと、語られる抽象が良くわからないケースが発生する

  • 具体と抽象を行き来するためには、具体→抽象→具体の順番を意識するのが王道

  • 具体と抽象の行き来は「やってみる」中で磨かれるので、やっていき!


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