プロダクトをより良くするディスカバリーの型
グルメサービスRettyでプロダクトマネージャーをしています、田中大登(@tnkdaito)です。
需要がありそうだったので書きます(嬉)
こんな人に読んで欲しい
前提:プロダクトマネジメントにおける「問い」の位置付け
極端な言い方をするとプロダクトマネジメントとは、理想と現状の乖離(=課題)を埋め続ける(=解決する)ことで、より良い世界に近づけていくことだと思っています。
特に課題発見は名著「イシューからはじめよ」にもある通り、解決策よりも解くべきIssue(課題)こそが大切だという旨が記載されているように、とても重要な位置付けにあります。
その課題発見を要素分解すると①問いを立てること、②問いに答えるための設計をすること、③問いに答えることから成り立っているのでは、と個人的には考えています。
プロダクトマネジメントにおいてのファーストステップは課題発見。課題発見のファーストステップは「問い」とするのであれば、問いはプロダクトマネジメントにおいてとても重要な位置付けです。
①問いを立てる
問いを立てる力は本質に向き合うことで養われていくものだと思っていますが、「本質に向き合え」とFBしたところで育成に再現性は持てません。再現性を持たせるには型を用意して守破離することが良いと思っているタイプです。
そこでインプットや経験をもとに、向き合うべき問いを吐き出してみると意外に型化できそうだったのでまとめたものが以下です。
市場で考えるパターン
市場:世の中にはどんなニーズがあって、どのサービスが何のニーズを満たしているんだろう
自社:どんなユーザーさんのどんな期待に答えるためのに、この機能/プロダクトはあるんだろう
他社:他サービスではその期待に答えるために、どんな機能/プロダクトを提供しているんだろう
4Wに当てはめてみるパターン
Who:「だれが」自社サービスにハマっているんだろう、ハマっていないんだろう
What:「どんな」体験/価値を享受すると、ハマるんだろう
When:「いつ」Whatの体験/価値を享受してもらえると、ハマるんだろう
Where:「どこで、どんな状況で」Whatの体験/価値を享受したいんだろう
体験の線で考えるパターン
入口:どんな期待値を持って、どんな行動をしたか。期待に対して結果はどうなんだろう
中間:プロダクトの機能、提供体験として線になってるか。落とし穴はどこだろう
出口:理想状態のユーザーさんはどういう行動をしているか。何に価値を感じているんだろう
具体例のご紹介
例えば体験の線で考えた場合
Q入口:ユーザーさんはどんな期待値を持って、Appをダウンロードし、初回起動でどういう行動をしたんだろう
A:Webのアプリで開くボタンからアプリがあることを知り、サクサク快適にお店探しがしたいからダウンロードした
A:最初にホームの検索窓から検索条件を入力しお店探しを始めた
Q出口:Rettyを継続的に使ってくださっているユーザーさんはどういう使い方をしているんだろう?結果何に価値を感じているんだろう?
A:検索→店舗ページ→オススメしている人の確認→行きたいリスト(クリップ機能)に追加→実際にお店へ来店していた
A:Rettyで「詳しい人たちのオススメがあるから安心してお店が決められる」という価値を感じて、行きたいお店が見つかっている
Q中間:入口から出口の間に落とし穴はあるのか
A:検索をしているが店舗ページへは遷移していないユーザーさんx%存在していた
A:検索→店舗に落とし穴があるかもしれない
②設計をする
あなたはどんな体験ができれば自社サービスのファンになりますか?と知りたい問いをそのまま聞いても、知りたい答えは返ってきません。
真の意味で問いに答えるためには、入念な設計が欠かせません。
目的を明確にする
何を知るためのものか(=①で掲げた問い)
どんな仮説を検証するためのものか
目的達成後の2,3手先を想定する
アクションが明確に想定できなければ、2-1に立ち帰り目的&問いを見直す
例:1の問いに答えることができたら、次は???を知りたい。???を知ることでXXXが出来る
例:1の問いに答えることができたら、YYYという施策が課題解決に直結するので具体的に施策を企画設計する
目的にあわせて最適な手段を模索する
課題発見のための手段として多いものでいくと
インサイト把握:N1インタビュー
傾向調査:自社データ分析orアンケート調査
などがあるかと思います。
定性/定量や探索型/検証型と色々な手段があり、奥深いです。
設計概要書を用意する
ここまでの情報をまるっとまとめた設計概要書を用意しておくと、ステークホルダーとのすり合わせはもちろん、自身の設計に漏れがないかの確認/整理にもなるのでオススメです。
何を知りたいか
知るために何をするのか
知れた後は何をする予定なのか
知るためには具体的にどうするのか
などをまとめておくと、手戻りがなくなり進めやすくなります。
先にアウトプットの箱を作成しておく
実際に調査を進めている途中、「何の目的だったっけ?こっちに変えた方がいいんじゃない?」など道を失ったり方向転換に悩んだりすることは多々あります。
事前にアウトプットの箱があると、それがゴールとなり道を失わずにすみます。加えてアウトプットフォーマットが先にあることで、認識がすり合いやすくなります。
メリットしかないですね。
③問いに答える
②の設計に沿って実行し、問いに答えるための事実を集めます。
設計に沿った実行のスキルセットを獲得するには「インプット⇄アウトプット⇄FB」のサイクルを回すことが良いと思います。
定性調査の磨き方(例:ユーザーインタビューなど)
3-1. インプット:教科書を読む
3-2. アウトプット:実践を積む
社内のUXリサーチでモデレーター/インタビュワーを行う
他人の実践機会から追体験する(↑などを本気で見る)
自分で身近な人間を対象に行ってみる(例:美容師/パートナー)
3-3. フィードバック:指摘をもらう
第三者に観測してもらい、思ったことを伺う
知見がある人に観測してもらい、アドバイスを求める
他人の実践機会になぜその行動を取ったのか、確認してみる
定量調査の磨き方(例:クエリ力など)
3-0. 定量データを求められる/アウトプットを迫られる状態に身を置く
3-1,3-2. インプット⇄アウトプットを繰り返す
インプット:ドキュメントを読んで関数などを知る
アウトプット:気になる定量データを調べてみる
3-3. フィードバックをもらう
オーダーをくれた人にアウトプットしてみる
知見がある人にアウトプットしてみる
最後に
Rettyは実行力を身につけるには良い環境となってきました。今後は問いや設計の力を磨いていけるよう、みんなで絶賛Discoveryに力を入れている最中です。
ユーザーさんに向き合い、よりよい価値を届けていきたいと思う方と一緒にDiscoveryを進めていきたいと思っています!もしご興味があればお話ししましょう〜!
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