陰火/太宰治

 読了。ネタバレあり(?)。

 太宰治なりの御伽噺なのかしら、と思った。最初はとある学生の話。次は誰かに宛てて書かれた手紙。次は愛憎入り乱れた男女の話。最後は御伽噺を聞かせる尼の話。

 とりわけ印象に残ったのが最後の尼の話で、御伽噺を語る尼が男の隣で眠りについたとき、如来様が現れるのである。悪臭を放ちながら現れた如来様はすぐに消えてしまう。すると、隣で眠っていた尼が小さな人形に変わってしまうのである。

 御伽噺にしては内容がそれらしくないが、まあこういう御伽噺があってもいいかしらと思った。三本目の愛憎入り乱れた男女の話などは、御伽噺にしては物騒だし、これを御伽噺と言っていいかはわからない。でも、最後の尼の話は御伽噺だなあと思った。

 多分この話にテーマ性はない。多分。普通の物語として書かれたものだと思う。わたしには致命的に読解力が欠けているので、頭を使わずに読める物語はありがたい。

 どんどん本を読んでいこう。

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