【図解】デザイン思考・リーンスタートアップ・アジャイル開発、それぞれの繋がり
1. 注目を集める事業開発・製品開発の手法
書店のビジネス書コーナーやオンライン記事をチェックすると、デザイン思考、リーンスタートアップ、アジャイル開発といった言葉を頻繁に目にすることが増えてきました。
これらのキーワードは現代の事業開発・製品開発の手法として非常に注目されていますが、実際にこれらがどのように連携するのか、その関係性が明確ではないと感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、私の経験を元にこれらの概念の関係性を図解を交えて詳しく解説していきます。
2.各概念のおさらい
図解に入る前に、各概念を簡単におさらいしましょう。
デザイン思考
デザイン思考とは「ユーザーの視点に立ち、潜在的なニーズを発見し、解決策を探る思考法」です。
デザイン思考では以下の5つのプロセスを通じて、顧客の課題を解決していきます。
リーンスタートアップ
リーン（Lean）とは、「痩せた」「脂肪のない」という意味で、
リーンスタートアップとは、「少ないコストで最低限の製品を構築、顧客のフィードバックから繰り返し改善し、ビジネスを無駄なく回していくマネジメント手法」です。
アジャイル開発
アジャイル開発とは、「より良いプロダクト・ソフトウェアを素早く、効率良く、小さなサイクルで機能単位毎に開発する手法」です。
今回はアジャイル開発のフレームワークの1つである、アジャイル・スクラム手法を前提にして解説していきます
いずれも変化が激しく、先の見通しが立ちづらいVUCA時代に適用した開発モデルとなっています。
3.関係性の図解
では、これらの概念にはどのような関係性があるのか見ていきます。
関係性を図として表すと以下のようになります。
各概念は特定の順番で実施され、それぞれ異なる目的が存在します。
デザイン思考：このフェーズの主目的は、ユーザーのニーズや課題を明確に発見することです。5つのプロセスを進める中で「試作」や「テスト」の段階に差し掛かると、リーンスタートアップの仮説検証のプロセスと交差します。
リーンスタートアップ：デザイン思考を通して特定したユーザーのニーズや課題を基盤として、最小限の製品（MVP）を構築します。そして、「計測」や「学習」「構築」というサイクルを繰り返し、持続的に製品の改善を進めます。学習を通して得られた洞察は、新たな開発フェーズへと進行します。
アジャイル開発：このフェーズでは、リーンスタートアップで得た知見をもとに、短期間のスプリント（1～2週間単位）を設定して開発サイクルを進行します。このサイクルを繰り返すことで、迅速に機能のリリースを実現します。
4.ケーススタディ
各概念の関係性を理解した上で、これらの概念を組み合わせて新規事業を考えてみます。
シナリオとして「スキマ時間を効果的に活用したい学生のニーズを発見し、スキマ時間にバイトができるサービスを提供するビジネスを考案する」と仮定します。
先ほどの図を元に具体的なアクションに落とし込むと以下のようになります。
デザイン思考：学生の日常を観察し、スキマ時間に何を求めているか、どのような課題があるかを発見。
リーンスタートアップ： 初期のアイデアとして「スキマ時間バイトマッチングサービス」の構築を考え、最小限の機能を持つMVPを作成して学生たちに提供。定性調査・定量調査を繰り返し、プロダクトをアップデート。
アジャイル開発：MVPのフィードバックを基に、迅速に機能の追加や修正を行い、繰り返しリリース。
5.まとめ
これら3つの概念の連携による一連のフローは、以下のように整理できます。
デザイン思考：顧客課題の発見
リーンスタートアップ：MVP（最小限の製品）の構築と、その改善案に関する仮説の検証
アジャイル開発：素早く、小さなサイクルでの実際の開発
この一連のサイクルをイテレーティブに繰り返すことで、変化の激しい現代の環境でも、ユーザーに迅速に価値を提供し続けることが可能となります。
6.参考文献
本稿の作成にあたり、Gartnerが発表した「Enterprise Architects Combine Design Thinking, Lean Startup and Agile to Drive Digital Innovation」というレポートを大変参考にしております。
もし興味があれば「Combine Design Thinking, Lean Startup and Agile」でググってみると良いと思います。
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