見出し画像

自動化・ロボット化が進むベトナム製造工場

 先日、ハイフォンのある自動車工場を訪ねた。ボディ組立工場に入ると、何十台ものロボットがラインに並んだ自動車のボディに溶接をし、火花をあげている。人間はとみれば、ロボットをコントロールするパネルの前に何人かいる程度だ。ドアやシートを取り付けるラインには多少人間が作業をしていたが、工場に人影は少ない。

 数年前にもベトナムの乳業メーカーの工場も見学した。牛乳をテトラパックに封入し、箱詰めする過程はすべてオートメーションであり、工場内の荷物の運び込みも無人フォークリフトが担っていた。人間は工場の管理室でパネルに映し出された数字を管理しているだけだった。わずかに商品の入った段ボールの箱をトラックへ積み込む際に働いているひとを見かけた程度だった。スウェーデン・テトラパック社の提供する世界でも最新鋭の工場だという。

 ベトナムの一人当りGDPは2,500米ドル程度、平均賃金は2.2万円程度だといわれている。日本などから比べればまだ労働者の賃金は安い。しかし、ファクトリー・オートメーションやロボット化はベトナムの先進的な企業ほど進んでいる。近隣に工場ができたといっても、労働集約型の産業でない限り、雇用はそれほど増えない。

 ベトナムでは大学を卒業しても学生が希望する職種にはつけないという。カネとコネがなければ就職もままならない。経済発展が多くの人々の幸福には直結しない時代なのかもしれない。

日本ベトナム友好協会東京都連ニュース「ハノイからの手紙」2019年10月号掲載


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?