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早川書房Kindleセール愛好者が、2022年の対象書籍からおすすめの本を紹介します(フィクション編)

こんにちは!ちょろきちです。

この記事は下記の続編となります。

今回はセール対象本のうち、おすすめのフィクション(小説)をご紹介します。

あの古典ミステリも期間中50%OFF!

オリエント急行の殺人

今年のセールでは、「ミステリの女王」アガサ・クリスティーの作品が多数50%OFFの対象となっています。
『オリエント急行の殺人』は、名探偵ポアロが活躍する「ポアロ・シリーズ」のひとつ。何度も映像化された超有名作品なので、結末を知っている方も多いかと思いますが、書かれた当時の読者はさぞ度肝を抜かれただろうなーと想像します。
現代からするとちょっと人種差別含む偏見が入った表現などもありますが、そこは致し方ないかなと。

ちなみに、私は今回のセールでは『春にして君を離れ』を購入予定です。美しいタイトルが前から気になっており、実際にサンプルで冒頭を読み、惹き込まれました。

ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ

今回「お!」と思ったのは、ル・カレのスパイ小説も多数がセール対象になっているということです。

私がこの作品を知ったのは実写版映画(邦題『裏切りのサーカス』)でした。東西冷戦下の英国を舞台に、ゲイリー・オールドマン演じる老スパイ「スマイリー」がMI6の上層部に潜んだソ連の二重スパイを探す…という内容ですが、犯人捜しというよりも緻密な描写や、ファッションなど細部へのこだわりを楽しめる映画です。

それまでスパイ映画といえば、007シリーズや『キングスマン』のような派手で華々しいアクションというイメージがあったので、暗くて地味な絵面に衝撃を受けましたが笑、すぐにこの世界観の虜になり、原作小説、原書と遡って読みました。
小説版では、主人公はじめ作中人物たちの内なる葛藤などの心情描写にも引き込まれますし、あらためて映画版の脚色の素晴らしさも確認できました。

原書(ペーパーバック)です。難しかったです…!

今回のセールでは、本作に『スクールボーイ閣下』『スマイリーと仲間たち』を加えたスマイリー三部作がすべて対象になっています。
私は『寒い国から帰ってきたスパイ』をこの機会に購入しようかと考えています。原書を積読しているので、買ったら読み始められる気がして……。

この機会にぜひ!新旧SF小説

定番・古典とされるSF小説も、毎年セールの対象になります。今年は特に、アイザック・アシモフやフィリップ・K・ディックの作品が特に多く入っているように見えます。(どちらも未読なので、おすすめがありましたらぜひ教えてください!)

華氏451度

これは去年のセールで購入しました。焚書がテーマのディストピアSFという前知識はありましたが、実際に読めてよかったです。我々読書家を肯定しつつ、決してスノッブにならぬよう戒めるセリフも印象に残ります。

ちなみに焚書といえば、最近「焚書に対抗できる『燃えない本』を作った」としてニュースになったマーガレット・アトウッドの『侍女の物語』も、今回のセール対象となっています。

カート・ヴォネガットの作品群

カート・ヴォネガットの作品はSFか?というのは議論が分かれるのではないかと思います。『タイタンの妖女』は中盤までハードSFの雰囲気をまとった人間賛歌で、『スローターハウス5』はミューテーションものの設定を借りた私小説であり戦争文学です。『猫のゆりかご』は終末SF、『プレイヤー・ピアノ』はディストピアものと分類できますが、それぞれに人間の業だとか悲哀だとかがシニカルに描写されていて、読了後には独特の余韻が残ります。

でも、SFか否かというのは大した問題ではありません。ヴォネガットは一貫して戦争反対の立場を取り続け、それに翻弄される人間の愚かさやせつなさを皮肉とユーモアたっぷりに書きました。そういうことだ(”So it goes.”『スローターハウス5』で繰り返し用いられるセリフ)。

紙の動物園

昨今の中華SFブームは、この短編集が端緒と言っても過言ではないでしょう。表題作「紙の動物園」は国語の教科書に載っていそうな雰囲気の端正な佳品で、「これってSF?」と困惑するほど抒情的で美しい物語なのですが、他の収録品もあわせて読むと、その着眼点やストーリー運びに唸ると思います。
著者のケン・リュウは中国生まれでアメリカ在住なのですが、本書には単一文化圏からは絶対に生まれえない奇想の数々であふれています。収録作の中では、文化人類学と分子生物学がユニークにリンクした「結縄」が一番好きです。

ここ最近で、読書家の話題を大きくさらった中華SFといえば劉慈欣の『三体』シリーズで、この三部作(全5巻!)のハードSFも今回のセール対象となっています。

こちらに手を出すのは重厚すぎて気が引ける……という方にも、ケン・リュウは中華SFの入り口として良いのではないかと思います。
ちなみに、私は『三体』第一部を面白く読みました!しかし長編ゆえに、なかなか続きに手を出せずにいます……。

おわりに

早川書房のKindleセール2022は、プライムデー最終日の7/13まで続きます。
私はあらかた候補をリストアップし、ひたすらサンプルをKindleへ入れたところです。これからじっくり吟味して、また下半期の予算も練り直してから、予算の上限額と買う本を決めていこうと思っています。

今回の前後編は、いつものお金の記事とは少し毛色が違う内容になりましたが、参考になれば幸いです。
今回もお読みいただき、ありがとうございました!

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