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沈丁花

ちょうど昨年の今頃かその少し先だったかと思います。ポスティングをしていた時に、ところどころの庭先で甘い薫りが漂ってきていました。

最初はどこからその匂いが来ているのか分からなかったのですが、しばらくポスティングを続けているうちに薫りのもととなる植物を発見。

毎回、ある花の周りで薫りが立ち込めていることに気がつくことができました。

趣味としてガーデニングをやっていることもあって植物には詳しくなってきていたのですが、全く知らない花の形。他人の庭先で勝手に植物を撮影する事はあまりよろしくないので、通りすぎる際に花の形状や色を目に焼き付けておきました。

帰宅後インターネットで、この時期に咲く薫りのある植物を調べたところ、「沈丁花」が候補でポンと出てきました。

出てくる画像を自分がインプットしたイメージと照らし合わせて、見事に合致。「沈丁花」という植物名は聞いたことがあったけれど、名前しか知らなかったのです。

隣に住む実家の母に「沈丁花って知ってる?」と聞くと「知ってるけど家にはないよ」と返答が。

我が家でも育ててみたくなりました。というか身近にあの花の薫りをずっと感じていたい。

そして花のシーズンが終わった頃、母が「これご近所さんからいただいてきたよ」と沈丁花の枝をぶった切った2、3枚葉っぱのついている短い切り枝を手渡してくれました。「土に挿しておけば育つって」と。以前、沈丁花の話をしたのを思い出して、ご近所から貰ってきてくれたのでした。

ただの小枝。とりあえず土に挿しておきました。時間が経過しても葉が落ちることはなく秋を過ぎて冬になっても何も変わらない状態だったのですが、2月に入る頃から残っている葉と葉の間からつぼみのようなものが出てきていて、気づいたら2月末に花が咲いていました。

いただいた枝から見事に花が咲きました。小枝に咲く1輪の花。ポスティング中に見た花いっぱいの沈丁花とは規模が違いますが、花に顔を近づけると、あの甘い薫りがしてきます。束の間だとは思いますが、ここ数日は出勤前と帰宅後にこの薫りを楽しんでいます。

昨日ポスティングをしていた時にも、ところどころでこの薫りが立ち込めていました。沈丁花はポスティングを始めてから出会えた植物です。それまではこの存在に気が付かなかった。

我が家のミニ沈丁花もこのまま世話を続けていき、もう少し立派な植栽に仕上げていきたいと思います。