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不条理短篇小説

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現世に蔓延る号泣至上主義に対する耳毛レベルのささやかな反抗――。
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2016年7月の記事一覧

悪戯短篇小説「河童の一日 其ノ八」

悪戯短篇小説「河童の一日 其ノ八」

夏が来た。河童だって流れるプールが好きだ。

今日は茨城から泳いできた爺ちゃんと、遊園地のプールへ行った。遊園地へ行くと必ず子供たちが寄ってくるけど、握手をしてあげると皆あっさり引き下がってくれるので問題はない。手が思いのほかビチョビチョだからである。奴らは逃げると追いかけてくるが、握手してやると蜘蛛の子を散らしたように離れてゆく。この逆説は河童の人生、いや童生(ぱせい)を見事に象徴している。追い

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